さもゆ
2024-11-16 22:21:28
45032文字
Public BF
 

【BF腐】ツイログ

ツイッターまとめ!女体化とか学パロとか暗かったりとかもあるから地雷原です!
最初の1ページだけ月英。あとはA英、CPなし。

2020.4.4 たまごのお粥pixiv投稿作品


(リクエスト、英のかさかさお手々を労るA)

ささくれ




「お前、ささくれとか剥くタイプか?」
 疑問形の割にはしっかり断定的な瞳を向けられ、英二はどう答えたものだろうと考えた。
 まさに今、僅かにささくれている左手人差し指の皮膚を引っペがそうとしていた右手を止め、「ええと」ノーともイエスともとれるふうな首の振り方をする。両方だった。
 もとは、手はちゃんとケアしていた。リップクリームさえつけたことのない男子高校生だったが、ハンドクリームにはお世話になっていた。ささくれは、剥いたら痛いことが分かっていたし冬場のポールは冷たいしで、できるだけ痛くないように、剥かないことの方が多かった。
 でも今になっては、そんなことは気にしなくて良いし、ニューヨークの冬はよほど寒くて防寒だけ気をつければ良いし、既に水仕事で手は荒れていたし、ささくれって気がつくととことん邪魔くさいし、剥いたところでそれほど痛くないことが分かってしまったし。
 たぶん惰性で剥いている。
 英二の曖昧な答えに納得がいかなかったのか、彼は眉をひそめ、こちらの手をぐいと引っ張り包みこんだ。皮の厚く、掌が大きく、指が長細い、ごつごつ骨張った手だ。英二より体温が高い。
「大事にしろよ」
 言いながら、自分こそが一番大事にしているとばかりに、手の中を揉み込んでくる。
「ハンドクリーム買いに行こう。水使うの、つらいだろ」
 あっ。
 その声音と眼差しを受けて、英二は急激に恥ずかしくなった。恥じ入って、誤魔化すように笑いかけ、「うん、そうしよう」心の中でつけ加える。きみのために、だ。
 僕はこれがいいような気がしていたし、実際さほど気にしていないけど、でも手が荒れる理由がきみのためなら、手を労わる理由だってきみのためにある。どうして、こんな簡単なことに気づかなかったんだろう? 結局は、それが、自分のためになるのに。
「僕はアッシュを通さなければ、ささくれさえ剥けないのかもしれない」
……そんなに剥きたいのか?」
「ううん。大事にするよ」
 手の中から、手を、もみもみ、揉み返した。