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botanin5
2024-11-14 03:17:26
18728文字
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薬さに♀(小説)
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わたしの赤
ハッピーエンド
薬研から審神者への恋愛感情ゼロの状態で、お付き合いがはじまりますのでご注意ください
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絶対に伝えないって心に決めてたのに。
背中をだらだらと伝う汗は、確実に暑さのせいではない。縋るように白衣を掴む手は小さく震えて、放さなきゃいけないことは分かっているのに力を緩めることができない。
からん、と氷が鳴った。
仕事の合間に縁側へ出て、薬研が持ってきてくれた冷たい麦茶とゼリーに舌鼓を打つ。桃のゼリーは昨日、乱と五虎退が燭台切に教わりながら楽しそうに作っていたものだ。今は二人とも、遠くでホースを持った鶴丸によって撒かれる水から逃げ回っており、きゃあきゃあと楽しそうな声にこちらの頬も自然と緩む。
「いいなぁ、私も水浴びしたい」
「そう言って去年、全身ベタベタに濡らした夜に風邪引いたろ」
「そうだっけ、覚えてないなぁ」
「熱だして『薬研行かないで~』って泣き言いってたな」
「言ってないよ!!」
「なんだ、覚えてんじゃねぇか」
からりと笑う薬研から赤くなった頬を隠すように顔を伏せる。覚えているに決まっている。毎日、薬研のことを日記に書いているのだから。熱が出たあの日も、夜中少し身体が楽になったのを見計らって「きょうは やげんが かんびょうしてくれた」と書き込んだ。翌日読み返すと全部ひらがなだし筆圧も弱くて、まるでダイイングメッセージだと笑えてしまった。
あの時の薬研は、おかゆを持ってきてくれて、冷えピタがぬるくなったら交換してくれて、お薬もくれて、優しかったなぁ。思い出すと顔が見たくなって、そろりと薬研の方を見ればこちらを見て優しく微笑んでいて、ぱちりと目が合って、また頬がぼわんと赤くなるのを感じる。
ふっと笑った薬研が「片付けてくるから、大将は仕事に戻ってくれ」とお盆を持って立ち上がる。
あ、
目の前をふわりと舞った白衣を無意識に掴んでいた。
「ん?」
不思議そうにこちらを見下ろした薬研と、目が合う。
「好きなの」
自分が何を言っているのか、理解するまでに時間がかかった。夏の暑さにやられてしまったのだろうか。するりと出た言葉は、日記に何度も何度も書きつけたもので。でも、一度も口にしたことはなかったもの。どうして今、言ってしまったんだろう。沈黙が怖い。
「あ、の。私、ずっと薬研のことが好きで。その、お付き合いしたいというか、恋人になりたいというか、そういう意味で好きで。あっでも、薬研は別にわた」
「いいぞ」
「へっ!?」
今すごく、私に都合の良い返事が聞こえた気がする。
白衣から手を離すのも忘れて、呆然と薬研を見上げる。おかしそうに笑った薬研は、お盆を持ったままふわりとしゃがみこんで私と視線を合わせた。眼鏡の奥から綺麗に並ぶ灰紫に見つめられると、動けなくなる。
「いいぞ、って言ったんだ」
「え、あ
…
え?」
「なんだ?暑さにやられちまったか?」
「
…
薬研こそ、大丈夫?熱中症になったんじゃない
…
?自分が何言ってるか分かってる?」
「わかってるさ。大将は俺と恋人同士になりたくて、俺はそれを了承した」
「
…
ほんとに?」
そう言ってるだろ。もう一度笑った薬研は、今度こそ食器を片づけてくると立ち上がって廊下を歩いて行った。
「
…
何をしてるんですか?」
「あ、宗三
…
ちょっとほっぺ摘まんでくれない?」
「嫌です」
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