botanin5
2024-11-14 03:17:26
18728文字
Public 薬さに♀(小説)
 

わたしの赤

ハッピーエンド
薬研から審神者への恋愛感情ゼロの状態で、お付き合いがはじまりますのでご注意ください




「薬研、ちょっといいですか」
「宗三か?」
「えぇ、渡したいものがあります」

からりと開けられた障子から顔を覗かせた薬研は、少し憔悴したように見える。
結局、薬研藤四郎という男は、けなげに自分を想う女を無下にできるほど冷淡ではなかった。好意を寄せられ、毎日を共に過ごし、これまで以上に愛情に触れて、今までと同じでいられるはずがない。人や犬や猫のように、幽霊も妖怪も神サマも―――物だって、恋に落ちる。
割り切るなんて器用なことはできないくせに、己を隠して無理をするからこうなるのだ。


まぁ、今の自分はさらに追い詰めに来たのだけれど。


「どうぞ」
「なんだこれ日記?」


「貴方が、踏みにじったものです」


訝しげな薬研に「よく目を通すことですね」と一瞥をくれて障子を閉めた。