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botanin5
2024-11-14 03:17:26
18728文字
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薬さに♀(小説)
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わたしの赤
ハッピーエンド
薬研から審神者への恋愛感情ゼロの状態で、お付き合いがはじまりますのでご注意ください
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思い返してみれば、やけにあっさりとした返事だった。
じわじわと熱が漂う初夏の夜、入浴してようやく汗が落ち、さらさらになった腕をそっと寝間着の袖に通す。部屋に着く頃にはまたじわりと汗をかいてしまうので、早くも扇風機が欠かせない。本丸内にいくつも設置されているエアコンは、もちろん審神者である私の部屋にも置いてあるのだが、身体の芯まで冷えてしまうようであまり好きではなかった。
ぶぅんと音を立てて回り始めた扇風機のぬるい風を浴びながら、誰にも見られぬよう押入れに仕舞っている空き箱を取り出す。短刀たちと鬼ごっこをするために買ったスニーカーが入っていた箱だ。段ボールの擦れる音を聞きながら蓋を開ければ、そこに入っているのは小振りの日記帳が三冊。中でもまだ使い込まれていない一冊を取り出す。
これは、ラブレターだ。
決して届くことのない、私の気持ち。
審神者の習慣として、寝る前に日誌をつけるようにしている。資材や刀装についてではなく、目についた刀剣たちの様子を記している。昨日より少し元気がなかった。いつもよりご飯を多くおかわりしていた。その日の皆の様子を思い出して気になったことを書き出して、何かあった時にできるだけ早く対応できるよう頭にとどめておく。
そんな中でふと気づいてしまった。一日を振り返る中で、特に強く印象に残っている短刀のことを。やけに、薬研藤四郎のことばかり鮮明に思い出せる。
あぁ、私は、彼の事が気になっているんだ、と思った。
それはほんの出来心で、自分用として日誌と合わせて買った小さな日記帳に、その日薬研にしてもらって嬉しかったことを書いた。買ってみたはいいが、日の目を見なかった日記帳の一ページに書かれたそれは、小さな秘密みたいで少しわくわくした。
なんとなく日付は書かずに「今日は池に落ちた虎を助けていた。優しいな」「薬研が遠征のお土産に和三盆をくれた。美味しかった!」と簡単に綴っていった。次第にそれが楽しみになって、ますます薬研と話すことが楽しくなって、一ヶ月が経つ頃にはすっかり彼に惚れこんでいた。薬研と一緒にいるとき(今日は日記になんて書こうか)なんて考える日もあった。初めは、恋に恋していただけかもしれない。それでも、日記は不思議と毎日続いて、日に日に重みが増していって、一冊目が終わる頃には これが私の恋なのだと気がついた。
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