お芋さん太郎
2022-07-26 21:11:55
38092文字
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僕のヒーロー

#ツイステ×映画ベイマックスのクロスオーバー
#シュラウド兄弟
#設定捏造
#オリキャラ・モブキャラ
#爽やか読後感
#最後にオマケあり





「これだから子供は嫌いなんだ。自分の能力の限界も知らずに勝手に突っ走って、勝手に顔つっこんで、勝手に死ぬ。周りでそのフォローをしてるこっちがバカを見るってモンだよ」

 ヒロと別れて寮の自室に帰ったイデアは、上等なジャケットをベッドに脱ぎ捨て座り慣れたチェアにドカッと座り込む。ドギツいコーヒーでも飲もうかと思い机の上のマグを手に取ったが、底に前回飲んだ何かの液体がカピカピに貼りついてるものだから面倒くさくなって諦めた。もう足が上がらないくらいに気だるく、賢者の島まで戻って来たことすら褒められて然るべきだろうと思う。

「あんなに運動したのは久しぶりじゃない?兄さんがあんなに速く走れるだなんて、僕びっくりしちゃった」
「兄ちゃんはもう一生分走ったんで。もう二度と走らないし歩かない。部屋から一歩も出ないから」
「明日は生身で受けないといけない授業が
「出ない!歩かない!走らない!」

 魔法でいつもの部屋着に着替えたイデアが駄々っ子のように吠えた。足腰の疲れももちろんだが、魔法の使えない環境というのが余計にイデアを疲れさせたのだ。
 普段は息をするように自然に使っているものが使えないというのは何とも不便なもので、ピンチに陥るたびイデアは何度ペンに手を伸ばしたことかわからない。あの場所では使えもしないのに。使えるとしたらせいぜい紙にメモをするか寝ている誰かの顔に落書きするくらいしかできないのだ。
 このツイステッドワンダーランドで絶大な力を誇る魔法も、ワンダーランドでは全くのゼロ。かのマレウス・ドラコニアでさえ、あの地域では金と権力と二本の黒い角しか持たない「ただの」青年になり下がるのだ。
 今まで信じ切っていた魔法という力のあまりの不安定さを実感し、イデアは「もう絶対にワンダーランドなんかに行きたくない」と愚痴をこぼした。
そもそも今回はタダシのことがあったから顔を出したのだ。ワンダーランドには彼以外ほとんど知り合いはいないし、もしも行くことがあるとしても学会か何かへの参加のためになるだろう。今回のような危険はもう無いはずである。ましてや自分が息を切らせて白いマシュマロを追いかけたり、黒い小さなロボットから追いかけられることも無いはずだ。

「魔法ってのは僕ら魔法族にとってはアイデンティティと同じだしライフラインみたいに大切な存在だ。それが使えないなんてナンセンス。ありえないね。あと50年で、こことワンダーランドの垣根がなくなる?嘘言え。そんなの科学で魔法に追いついてから言えってんだ」
……
「オルト?」

 歯切れの悪いオルトにツと目をやる。手をキュッと胸の前で握り、眉は八の字を書いていた。

「ヒロ、大丈夫かな」
「家まで送ったんだから大丈夫でしょ」
「そうじゃなくて、マイクロボットの盗作の話。警察も信じなかったし、落ち込んでないかな」

 イエローアンバーのぴかぴかした瞳が、迷子の子供のようにわずかに揺れた。

「タダシ・ハマダさんのことも相当落ち込んでた。それに学校にも行ってないし、キャスさんのことも」
「オルト!どうしたんだよ。さっきから様子が変だ。バグでも発生した?」
「バグバグか。そう、なのかな」
「こっちおいで。原因を調べよう。魔法が使えない場所でちょっと無理しすぎたのかも」

 イデアの手招きに応じてラボへ。二つの青い炎が隣り合わせで揺らめいた。そして彼らが部屋から出たその3秒後、イデアのデスクのPCがメールの新着を告げる。

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