お芋さん太郎
2022-07-26 21:11:55
38092文字
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僕のヒーロー

#ツイステ×映画ベイマックスのクロスオーバー
#シュラウド兄弟
#設定捏造
#オリキャラ・モブキャラ
#爽やか読後感
#最後にオマケあり





 オルトはハニーレモンに支えられ、地上にフラフラ降り立った。
 エネルギーは残り8%。戦う力は残っていない。

「あとは僕らに任せて」
「うん、気を付けて」

 短いやりとりを残し、ヒロとベイマックスは再び空へと舞い戻った。

 それからは早かった。
 皆で必死にマイクロボットを削ったおかげだろう、キャラハンはすぐに弾切れに陥り、抵抗不能になった。あっさりとベイマックスがお面を破壊し、制御を失ったマイクロボットは崩落、同時にポータルも崩れ落ちた。
 キャラハンを拘束し、一件落着。と思いきや、ポータルの動きは止まらない。地に落ちてなお、物質を吸い込み続けているのだ。

「まだ動いてる。停止させなきゃ!」
「磁場が衰弱しているんだ!決壊するぞ」
ここから離れよう」

 ヒロがポータルを止めようとしたが、クレイがそれを遮った。磁場が崩壊すると近くにいる者すべてに危険が及ぶ。致し方ない判断だ。
 その場の全員が科学に精通しているため、異論を唱える者はいない。できるだけポータルから遠くに離れようと、一斉に走り出した。

「ベイマックス!」

 ベイマックスだけが、その場から動かなかった。稼働し続けるポータルを身じろぎひとつせずにジッと見つめている。
 気が付いたヒロがベイマックスに駆け寄った。

『センサーが生命を感知』
「え?」
『あの中です。生命体は女性、仮死状態のようです』

 抑揚のない機械的な声で、ベイマックスがポータルを指さした。キャラハンがハッと息を飲む。オルトもスキャンを開始し、静かに頷いた。

「キャラハンの娘は生きてる!」
「アビゲイル

 ヒロが素早くベイマックスに飛び乗った。ポータルの入口を鋭く睨み。

「行こう」

 ベイマックスに声をかけた。
 クレイが驚いた様子でそれを制止する。

「もう入口が崩壊してしまう!」
「生きてるんだ。助けないとそうだろ、ベイマックス」
『飛べば人助けになります』

 ヒロはベイマックスと顔を見合わせニヤリと笑った。そしてベイマックスの背に赤くて固い翼を広げ、勢いよく飛び立つ。
 加速をするために一度急上昇。方向転換をしてポータルに向かうところで隣を飛行する青に気が付く。

「オルト!」
「僕も僕も一緒に行くよ!」
「君には無理だ、もう限界なんだろう⁉」

 彼の胸に灯る炎はもはや絶え絶えだ。きっともう飛行するのもやっとなのだ。
 オルトが眉根を寄せて耳部分に手を当てた。イヤホン機能を切ったらしい。

「ヒロ、僕は君を見捨てられない。どうかお願い。守らせて」

 次第にオルトが遅れ始めた。

「兄さんは兄ちゃんは、いつも僕を守ってくれた。僕のヒーローなんだ。僕も、君のヒーローになりたい。もしも君が帰ってこなかったら、僕は

 さっきまで隣を飛んでいたオルトだったのに、もう振り返らなければ見えなくなってしまった。エネルギーが足りず、減速し始めているのだ。それでもオルトは飛ぶことを止めない。
 ヒロは一方の手を後ろに回し、オルトの手をキュッと握る。

「オルト、大丈夫だから待ってて」
「ヒロ」
「僕の兄さんは僕の元へ帰ってこなかったけど、僕は絶対に帰るから」

 手が離れた。オルトが遠くなる。
 それでもヒロは、振り返らなかった。