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はしびろこう
2026-03-11 23:39:24
28368文字
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マハバ特異点
みんな大好き!1ページ練習のちよどさんが描かれたOPEDがはちゃめちに良くて‥三次創作書かせていただいたらアフターストーリーまで頂戴したっていうこの世の夢みたいな一週間でした‥
こちらに掲載許可頂いてるのでみんなぜひ
最初のOPED
最後のマハバ聖杯戦争後日談
がちよどさん作品です!
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渡辺綱
旦那は、声が届く範囲にはいない。相手のマスターもいない。
――
本来なら、名乗りを返してやるべきだろうが。
「
――
あんたには名乗っときてえが、すまねえな。あんたのマスターには教えてやれねえからよ」
「おまえが名乗らなくても俺は構わない」
柄がこちらをむいて鯉口を切ったようだが、目につけられているので、刀の長さを教えてくれない。
「こちらの方が、お互い名前よりよほど伝わるだろう」
刃が一瞬、暁に輝く。すぐさま自分の目に向けられたので、やはり長さはわからない。
だがわかる。その刀、間違いなく退魔の逸話がある業物だ。
――
ふうっ、短く息を吐いてチャクラムを後ろに構える。確かにそっちの方が、話が早い。
「だよなぁ、お互いこっちで語り合おうや!!」
チャクラムを撫でるように回しあげ、それについていくように体を浮かす。持ち上がりの頂上まで息を吸って、上限で少し止まり
――
息を吐きながら法輪を回転させ指から離せば
――
綱に落下する。
「っらぁっ!!」
直線で飛んでくるものというのは、距離が掴みづらい。先ほどの刀の目付と同じ理屈だ。ギャリギャリと法輪の円に任せた直線運動は、重力と相まって地面を割れるそれに昇華した。
キンッ
――
。
刀は横腹から受けると弱い。直線で受けねば一発だ。それを
――
法輪の横に刃先をぴたりとつけ、刃先を反転、滑らせるように避けた。
法輪が地面を抉っている間に
――
地面を蹴って突きの形を崩さず直線。嫌な付け方を知ってやがる!切りつけが入るのに合わせて足からの落下。踵落としのように体反転、刀の背に踵を合わせ、腰布で包むように動きを邪魔してさらに反転、着地。
「
……
ふッ」
「
……
」
一合ずつの撃ち合いだが、この相手に対して空中戦はお互い向いちゃいないことはわかった。
間合いが全てだ。ビリビリ、肌を走る静電気のような神経のけずりあい。
こういうしのぎの削り合いは
――
笑ってしまうほどに楽しい。向こうは待ちの姿勢。だよなぁ、そういうやつって後の先を好むもんなぁ。
――
誘いに乗って、先ほど目測した間合いの少し手前で指を引っ掛け法輪と体の位置を入れ替え、袈裟斬りの要領で、今度は先ほどの避け方をしづらいよう斜めに殴り掛かれば、低く低く、低く入られる。
そりゃ腰から下を許されてりゃそう入るわ、という太刀筋に法輪に欠けた指に力を込めて体を浮かす。
「轢き潰してやらぁな!!」
回転で轢き潰そうとしたところ
――
減速すると思ったが、加速して下を通り抜けながら、三合ほどとんでもない速さで法輪を切りつけた。
――
ギャンギャンギャン!!!凄まじい音がしたが、弾き飛ばした。退魔の刀。この法輪が少しでも魔の力が入っていたら
な
・
ま
・
す
・
切
・
り
・
一直線だったろう。
息を吐きながら法輪を身体の周りを回して笑う。
「やるじゃねえか!」
もう一発、と思ったが
――
ガサッ
しまった。ドゥリーヨダナがガサガサと出てきた先は渡辺綱の真横。
「あーちゃー?」
「
――
旦那!出てくるな!!」
男の目が旦那をはっきり捉え、こちらに向いていた意識と刃が
――
旦那の首を狙う。
「くそっ
――
ふせろッ!!」
腹から声を上げ、駆け出すが
――
人間の反射神経で、間に合わないことなんかわかっている。
俺が間に合うか、否かである。
「旦那ァ!!」
――
ザンッ
20250321.
魔性
はあ、はあ、はあ、はあ
――
。
精神的に追い込まれた荒い呼吸と
――
木にめり込んで止まった刀の刃が、朝日に煌めいている。
「
――
この子供が、魔性?」
結論を言えば、あわや、首が跳ね飛ばされる直前でチャクラムを当てて軌道を変えることに成功はした。
旦那の首はついている。
渡辺綱の刀は軌道を途中で変えて
――
木の幹を、えぐっていた。
「
――
……
ッ」
「はっ、はぁ、はっ、はっ」
へた、旦那は座り込んで、ひい、ひいと恐怖に呼吸を荒げている。男が旦那を見て固まっている間にようやく追いついた身体で震える手で旦那を庇い、今度こそ絶対に守り切れるよう抱える。
「旦那、旦那
……
だんな、」
「あ、ちゃ、
……
う、わああああん」
「だんな、すまねえ、だんな
……
」
「ひっ、ひっ、う、あ、ゔぁあああ」
恐怖で泣き出す子供に、情けねえことに震える腕。相手の刃先が変わらなければ、数瞬でも遅ければ、この細い首は。
「
……
その子供が、凶兆の魔性
……
」
「
……
お前の狙いは旦那だろ」
ぎり、睨みつける。
ああくそ、情けねえ、力が入らねえ。 くそ、くそ。
「
――
その子供がドゥリーヨダナで間違いないのか」
「ひっ、う、う、」
「
……
だったらなんだ」
「
……
ドゥリーヨダナ、きみは、悪いことをしたことがあるか?」
渡辺綱が旦那に話しかける。
子供に、ではない。一人の人として、という声の掛け方である。
「
……
?」
ドゥリーヨダナがポロポロと目玉から涙を流して、渡辺綱を見る。
震える声で、わたしは悪いと思っていない、と強く言う。
「スータの子供に、食事を施したことか?」
身分違いの人に関わったことが罪かと問う旦那に、渡辺綱はそっと膝をつく。
俺は旦那をより強く抱えるが、男に旦那に対する害意がすっかりとないので様子を伺う。
少し考える様子を見せ、他に言葉が見つからなかったように諦めて旦那の目を見ながら目を伏せて。
「
……
人違いだったようだ、すまない」
そのまま、静かに立ち上がり、すっ、風に消えるようにたち消えていった。
なんだったんだ。あいつの目的は旦那じゃねえのか。ともかくとして、今だけは。
「
……
っはぁー
……
旦那
……
」
すまねえ、と謝ろうとすれば、両手で仮面の口部分を押さえ込まれて。
「
……
っなんだあーちゃー、ふるえてるぞ、怖かったのか?」
ボロボロ涙を落としながら、震える俺の腕を軽く撫でて、わたしは大丈夫だと強がる旦那を、必死に抱えて、自分があまりに情けなくて。
「怖かった、」
「しかたないな、しばらく、このままでいるのを許す」
ぐず、旦那も胸板に顔を押し付けて、二人で縋って
――
朝日が、生き残りを祝福するように朝露を反射させていた。
※
自分を召喚したバラモンが根城とする住まいへと戻れば、昼は宮殿の仕事をすると言うバラモンたちはおらず、戻った俺をビーマが壁に背を預けてこちらを睨んでいた。
「なんで戻ってきてんだ」
非難する声が廊下に響く。
「俺は魔性を祓うため呼ばれたはずだ。アレが魔性だと?まだ何もしていない子供だ、魔性を成した時にこそ、俺は魔性と認めよう」
「歴史がそう言ってんだろ」
一人立つだけで廊下を半分以上埋めるような威圧感のある男が体をこちらに向けて威圧をする。
「だがまだ、魔性を成していない、無辜の子供」
「話になんねえな」
「こちらの台詞だ」
この身はサーヴァント。
そして喚ばれた理由は、魔性を斬ること。それに反感はもたない、俺は人斬り包丁にほかならない。
さりとて、悪事を働いてもいない子供を斬るのは、道理に反する。
魔性ならば切り伏せよう、悪ならば打ち捨てよう。
だが、無辜の子供一人を寄ってたかって殺すというのは。
「道理に反する、お前たちに協力はしない」
「そうか、ならお前も片付けねえとな」
ちき、鯉口に指を乗せる。人の心などはよくわからない。これは道具の矜持である。
俺は、
そ
・
う
・
す
・
る
・
べ
・
き
・
だ
・
か
・
ら
・
そ
・
う
・
す
・
る
・
。
・
20250322.
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