はしびろこう
2026-03-11 23:39:24
28368文字
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マハバ特異点

みんな大好き!1ページ練習のちよどさんが描かれたOPEDがはちゃめちに良くて‥三次創作書かせていただいたらアフターストーリーまで頂戴したっていうこの世の夢みたいな一週間でした‥
こちらに掲載許可頂いてるのでみんなぜひ
最初のOPED
最後のマハバ聖杯戦争後日談
がちよどさん作品です!



「マハバ聖杯戦争 後日談」

 成人の祝いに旦那から贈られた甲冑は初めて纏ったのにまるで何年も身につけていたかのようにしっくりと身に馴染んだ。
 胸部の金属に朝焼けが反射してぴかりと光る。
 森の中の小さな野原。派手好きの旦那が俺をこっそり誕生日の朝のこんな時間こんな場所に呼び出したのは父がクシャトリヤからの贈り物を嫌がるからだ。
 重い甲冑は夜のうちに運ばせたのだろう。ひとりで俺を待っていた旦那はその手で高価な金属鎧を俺の体に纏わせてくれた。顔まで甲冑で覆った俺に旦那が得意そうに笑う。
「ふ、ふ、ふ。どうだ。わし様が知るなかで最高にかっこよいものだぞ」
「──こんなもの初めて見たぜ?」
 見たことのない鋭角的な全身鎧だ。今までこんな甲冑を身につけた奴がいたなら絶対噂になっていただろう。
 どこで旦那はこんな造形の甲冑を見たのだろうか?
 疑問が態度に出ていたのか旦那はくふくふと笑う。その眼差しがふと俺からズレた。唇が小さく動く。
……似ているとは思っていたが、どうしてこんなにも」
「旦那?」
 聞き取れなかったので聞き返すと旦那は気を取り直したようににこりと笑った。
「この甲冑の持ち主はだれよりも強く、どんな敵からもわし様を守った男だ。──おまえもわし様を守ってくれるな。アシュヴァッターマン」
「もちろんだ!どんな奴が相手だろうと『あんたにゃ傷一つつけさせねえよ』」
 俺の言葉に旦那の目が見開かれ、ゆっくりと眩しそうに微笑む。朝の光に彩られたこのひとを俺は死ぬまで。──死んでも守り抜くだろう。

    ◆


 ──そう誓ったのに。
 夜の間にパーンダヴァの天幕を全て蹂躙し。数え切れない程の返り血を浴びたため旦那に贈られた甲冑はその輝きを失ってしまった。
 だというのになんの成果も得られず俺はただ走る。
 いつかのような朝焼けが森の空を覆い始めていた。森の中の小さな野原にひとり横たわる人影が見える。
 滴り落ちる生臭い匂いを振り払って俺は死を迎えようとしている旦那に駆け寄った。
「旦那っ!」
 顔と下半身を潰された旦那はかはりと血を吐いて、ろくに開かない目で。──『俺』を見た。
「──あー、ちゃー?」
 ああ、それはこの甲冑の持ち主の名前なのだろう。
 死の淵で旦那がこの甲冑に思うのは、俺ではなく、その男なのだ。
 俺は歯を食いしばり無言で旦那の体を抱きしめた。俺が旦那が望んだ『あーちゃー』だったらよかったのに。『あーちゃー』ならば、どんな敵からも旦那を守り抜いた男ならば。このひとを死なせたりしなかっただろうに。
 旦那が子どものように俺に、『あーちゃー』に体を預けてくる。その重みが、重く、重く、重くなって。
「──だんな」
 ゆっくりと事切れた体を横たえれば、ビーマに潰された顔が朝の光に彩られて微笑んでいるように見えた。
 旦那のその微笑みの理由を。『あーちゃー』と旦那の間に何があったのか。『あーちゃー』とは誰なのかを。──俺は英霊となって知ることとなる。

    ◆

 いくら人理の危機とはいえ生前の知り合いが同じ陣営に召喚されるなど、奇跡がいくら重なっても叶わないぐらいの願いだ。
 カルデアの召喚は完全にランダムだが縁のあるモノに惹かれて召喚に応じる英霊もいるらしい。
 マスターの少女が祈る先で召喚陣が虹色に輝いている。触媒として連れてこられた俺はその中から現れた人影に息を飲んだ。
「我が名はドゥリーヨダナ‼︎ ──久しぶりだな『あーちゃー』」

 Posted byちよど