はしびろこう
2026-03-11 23:39:24
28368文字
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マハバ特異点

みんな大好き!1ページ練習のちよどさんが描かれたOPEDがはちゃめちに良くて‥三次創作書かせていただいたらアフターストーリーまで頂戴したっていうこの世の夢みたいな一週間でした‥
こちらに掲載許可頂いてるのでみんなぜひ
最初のOPED
最後のマハバ聖杯戦争後日談
がちよどさん作品です!


バラモン

 旦那に呪法の素養なんてもんはない。
 なぜ一番最初に気づかなかったのか。サーヴァント召喚の儀式なんて、神々に近いこの世代だって奇跡のみわざである。
 何より、サーヴァントなんか、召喚する相手を間違えれば召喚した瞬間に術者を殺しかねないやつだっているのだ。あの日、旦那は触媒らしきものなんか持ってなかった。ならば、成立させたのは。
 バラモンの領域だろうが。
「弟たちの噂で聞いたんだ」
 私のベッドは人気の場所なんだが、怪我をした弟たちは優先的に寝られるのだと自慢げだ。
「まあ今は、そうもいかないのだが」
 もじょもじょと歯切れが悪い。いつ命を狙われるかわかんねえのもあるし、俺をそばに置いてても弟たちの安全まで担保はできねえから。
「不便かけてすまねえな」
「ううん、きてくれたのがお前でよかった」
「そりゃ何よりの賛辞だ」
「どの弟が言ったか覚えてっか?」
「兄弟は覚えてるけど、噂の出所だと本人に聞いた方が間違いがないと思う……
 寝る前の夜伽に聞いたそうな、そんな噂話。
 教えてくれた男の名前は忘れてしまったが、弟たちに聞けば誰か覚えているだろう。――これは王宮に帰ってからだな。そこから他愛無い話をしながら思考を回す。
 確認できているサーヴァントは
 アーチャー、俺。
 ランサー、ビーマ。
 アサシン、百貌のハサン。(生死は不明)
 ライダー、シャドウサーヴァント(消滅)
 セイバー、バーサーカー、キャスターは不明。
 キャスターにでかい陣地作戦とか使われても困るが、旦那を王宮から連れ出しすぎるわけにもいかねえ。しかし、シャドウサーヴァントがいた意味がわからない。
 ほぼ半世紀に一回の大勝負に、シャドウサーヴァントなんて半端な存在をわざわざ召喚して使役なんかしないだろう。
 どうしてもシャドウサーヴァントじゃなければならない理由なんて。
……
 ――正規の魔術師ではないから、魔力満点のサーヴァントを呼び出せなかった、くらいだろうか。
 だから、あのシャドウサーヴァントは本来の力とは程遠い力しか出せなかったとか。
 まあ正規の魔獣乗りこなした伝説があるほど力を使いこなすのを召喚して、宝具や格闘する分の魔力ぶん回して使役するのなんか、何世代も身体に魔術師としての系譜を刻みながら根源を目指すと聞く魔術師か、天才にしかできないものだろう。魔力のめぐりは悪いが、動ける程度の力でしか召喚できない奴が喚んだのかもしれない。
 ――そうなれば、あの日付近で体調を崩したような奴を洗えば少しは絞れたりしないだろうか。
 俺たちを狙う理由とか、少しは絞れるかもしれない。
「あーちゃー?」
「あ?ん、わるい、なんだ?」
 生返事に気づかれたのか、不服そうだが仮面をぺたぺた触られる。
――お前、わたしについてから寝ておらんだろう?疲れているのではないか?作戦会議は後でもいいぞ」
 顔が見えんから体調もわからん。唇をつんととがらせた。
「ああ、そりゃ、ここに座ってると少しずつ回復すんだよ。ありがとな」
……ここに?」
「そ」
 ふうん?と地面をぺたぺた触って、祠に目をやる。
「お前、シヴァ神の眷属なのか?」
――そうだけど、なんか話したか?」
「ここ、シヴァ神を祀ってるから、元気になるのかなって」
 シヴァ神を祀った祠に、礼をする。
「そうだな、――そうだ」
「へえー」
「ま、休まったから――帰って弟たちの話も聞こうぜ」
 抱えて立ち上がれば、なれたように俺の身体にぴったりくっついた。なれてきてるな。
「こうした方が動きやすいだろう?」
「さすが旦那」
 信頼が築けていてるようで嬉しい。馬がいるところまでひと駆けすれば、馬の隣で――影。
……
「だれだ?……いや、あれ……
「シャドウサーヴァント、」
 ……だが、隠れてもいないし、ライダーの比じゃなく安定していない。何か呟いているようだが、距離が離れすぎていてわからない。
――――――ッ!!」
 絶叫に馬が驚いて暴れているが、シャドウサーヴァントの意識はすでにこちらに向いて――まっすぐ拳を構えて特攻してくる。
 瞬発力や機動力がライダーの比ではない。
……
「あーちゃー!」
 来たぞ!と怯えたようにすくんだ旦那が怯えないように自信満々に声を上げる。
「あんたのサーヴァントを信じろ!」
「うん!」
「いい返事だ!」
 たし、身体に当たる前に威力を殺し切るが、勢いだけで足は数歩分後ろに滑ったのと、拳の余った威力で周りにブワッと風圧が起きる。
 目の前に止まった拳にもかかわらず旦那の髪がふわりと舞ったが、目の前で止まった拳に悲鳴ひとつあげなかった。涙目ではあるが。
 ――信頼すると決めた、という顔だ。ありがたい。
 この感じは間違いない、バーサーカー!
 頭がトンチキになったキャスターという可能性もあったが、拳でこの攻撃力と聞き取れない言葉――なにより先ほど仮定したシャドウサーヴァントの仮説が正しいならば、魔力消費が少ないキャスターより――アホみたいな魔力量を使うバーサーカーがシャドウサーヴァントなのは道理。
 周りに風が起こるほどの拳だが、力を相手にぶち抜きさせるような格闘技術は全く使っていない。
 ――力はあるが、技術はないなんてのは、ここじゃ通用しねえ! 足を踏み締めてこちらに向いた力を利用して旦那と自分を軌道から外し崩した体をそのまま地面に叩きつける。
「お粗末だぜ!!」
 軽く浮かせた体で背中を踏み抜く!
 がァ!!と悲鳴をあげて――シャドウサーヴァントはやはりもろく、体がぶち抜けた。足首を掴んで断末魔を上げるが、――膝を顔面に落として潰す。
 生身なら血が詰まって呼吸ができなくなるように。
……ふう」
 しばらく暴れていたが、旦那に掴みかかろうとする手だけ弾いていけば、段々と力が抜け――キラキラと実態が消えていく。
「さて、帰るか」
「馬を落ち着けてやらないと」
 馬は興奮していたが、怪我はしていない。しかしまだ落ち着いてもいない。
「落ち着くまでは俺が馬を引いて――、旦那はおぶっていくか」
「すごい距離だぞ?」
 視線を合わせる。見えないだろうが、雰囲気でわかるだろう笑って。
「俺はあんたのサーヴァントだぜ?」
……できる?」
「おうよ」
 
 20250321.