はしびろこう
2026-03-11 23:39:24
28368文字
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マハバ特異点

みんな大好き!1ページ練習のちよどさんが描かれたOPEDがはちゃめちに良くて‥三次創作書かせていただいたらアフターストーリーまで頂戴したっていうこの世の夢みたいな一週間でした‥
こちらに掲載許可頂いてるのでみんなぜひ
最初のOPED
最後のマハバ聖杯戦争後日談
がちよどさん作品です!


ことここにきて

 ことここにきて、いくつかの疑問がある。第一次聖杯戦争は、一八一〇年。それから六十年おきに行われているはずである。
 それなのにこれは、紀元前五〇〇〇年代――マハーバーラタの舞台そのままの年代。
 ここには生きているオレもいるし、生きているビーマもいる。英霊として召喚されたのは――やはり、ドゥリーヨダナが関係しているとみていいのだろうか。
 
「なー、あーちゃー!」
「あ?」
 思案をめぐらせていれば、小さな主人は吸い込まれそうな大きな瞳で見上げて。
「おまえ、武器はなんなんだ?昨日のやつは槍持ってたよな。もしかして素手でたたかうのか」
……一応、弓ってことになってんな」
「弓がじょうずなのか?」
 神兵が操る弓ってどんなものなのか、とキラキラした目で見つめながら、やってやってと弓を持たされる。
……
 どうしたもんか。
 簡単なもん撃ち抜きゃいいわけでもないだろうし、不安にさせないためにもそれなりのもんを見せておくべきだろう。
 見渡す山々に、空は突き抜けるように高い。
 空をかけるナーガ、森の木々に備えられた丸マークの的に、近くにはキラキラ見上げる旦那のひとみ。
 んー、とナーガを見れば、鱗の反射が違う場所があった。ああ、一枚鱗が浮いている。
 古い鱗が剥がれる時期なのか。ちょうどいい。
「あれ、見えるか」
「ナーガ?」
「ナーガの、浮いてる鱗」
「みえる」
 確認させてから弓をつがえる。飛び方の癖、身体のうねり、浮いた鱗――体を向けて――キンッ指から弓が離れ、空を割く音。鱗を掠めた。
 きらきら、落ちてきた鱗をキャッチして旦那に渡してやれば、ナーガの鱗に目をキラキラとさせて、すごいすごいと飛び回っている。
「すごいぞ!あーちゃー!」
「まぁな」
 及第点だろう。教えて教えて!と弓をかっぱらわれて構えようとしたのでそれは引っ張る。
「この弓じゃ重すぎる、こっちにしときな」
 素直に弓を引いて、的を狙う旦那へ。まずは武器を収めなきゃ話になんねえが、今は遊びでいい。
 当たって楽しい、になりゃあもうけもんだと思っていたが――。見てみれば、さすがだった。
 よたよたとしていた立ち姿勢も、バランスで立て、的に対して意識は全身で向けろ、といっても結構できてしまうし、大分的に当たるようになった。
 そろそろ疲れてくる頃か。
「そのくらいにしときな、根詰めすぎても良くねえぜ」
 切り上げさせれば、汗をいっぱいにかいてニコニコして胸に飛び込んで。
「つかれた!抱っこ!湯あみに連れてってくれ」
「はいよ」
 抱え上げて、ぴたりと止まる。
 狙い――の思考じゃない。だがこれは。
 ゴオッ!!影が濃くなって、反射で避ける。腰布がはためいて、巨体が先程自分と旦那がいたところを潰した。
 着地点で足を踏みしめれば、地面へ接近の反動で腰布は真逆に風をながした。
「ッナーガ……?!」
「そうだな」
「さ、さっきので怒ったのか?」
 そんなわけない。
 抜けた髪の毛に怒るか?抜けかけた鱗だったということは、新しい鱗が生え始めているということだ。そんなものが抜けたとて、ナーガが気にするものか。
 これは。
「敵性サーヴァント、っぽいんだが……
 おそらくナーガの上にいる。ナーガは攻撃してこない。先ほどの押しつぶされるほどの衝撃だって、ナーガからしたら単なる着地でしかない。
 もしかして――ライダーの騎乗スキル?!乗り物ならば、乗りこなすことができる。ナーガを乗り物として使うならば、そうなのだろうが。
「ありか、そんなん!」
 しかも、サーヴァントの輪郭がハッキリしない。キャスターならわからなくもないのだが……手を組んだ、ということか? とにかく旦那がこんなに近くちゃ、ナーガか当人にあばれられたらどうにもならねえ。抱え上たからだを押し付ける。
「足も絡めてしっかり捕まってろ!できるか?」
「ああ!」
「よし!」
 ふっ、ライダーが横付け(?)したおかげでナーガの体が地面に近い、跳躍して体を駆け上る。体がうねっている部分は足場の体を蹴って上へ。――やはり誰かが頭に乗ってる。
「ナーガの頭に……なんだあれ?影?」
 そう、ことここに至っても
――それにおかしいのは。
 グンッ、最後に体を傾けて加速を加えて近づいたというのに――
……!!」
 反応もおそい、――そして試しに、ただただ力任せにぶん殴ってみる。
……っ!!」
 ゴボ、そんな音がして身体に穴が空いた。――あまりにも弱い、というか。
「あぁ?!こんなもんか?」
 煽りのつもりだったのだが、身体の主はこちらを見上げてキラキラと――消えてしまった。退去、したのだ。
 サーヴァントの、退去反応である。
……
「今のは……?」
「サーヴァント、」
……全然姿がハッキリしなかった」
「ああ、ありゃあシャドウサーヴァントだ。――普通、聖杯戦争にこんな中途半端なやつなんか呼んで成立するわけがない」
 だが、ナーガを乗りこなして見せたのだ。龍騎伝説の一つもあるはずである。
 ならば、こいつはなんなのか。
 形の輪郭が煌めいていくのを観て、眉を顰めれば――ライダーに操られていたナーガが正気を戻し、何かが乗っている不快感に体を暴れさせながら上空へ飛び始めた。
「うわぁっ!?」
「やべ」
 大暴れして上空に飛ばれる前に降りなければ、と背中から降りれば――体をうねらせて尻尾をぶん回し――どうやら相当のおかんむりである。
 落ちていく俺たちに狙いを定めてツノが煌めく。
 そりゃ散歩してたら勝手に操られて地上近くまで落とされたらキレるわ!
 はあーー、軽くため息。空中を飛ぶ感覚、地面に着くまでの数秒で、手の中に法輪を呼び出そうとしてやめる。
 ――あまり魔力を使いたくない。
 パキパキ、力を抑えて持っていた弓に魔力を回して強化し、つがえる。
「あああああ!!あーちゃー!あーちゃーおちる!」
「ヘーキヘーキ、あんたのサーヴァントを信じろ」
「しぬ!しぬ!いやぁああ!ぎゃあああ!」
「男なら腹きめな」
「うっ、ぐ、」
 ――男なら、という言葉にギッ、奥歯を噛み締める音が聞こえる。よしよし。
「いいもん見せてやらぁ!」
 キンッ――キンッキンッ――光が矢尻に集まる。
 
「見てな!あんたのサーヴァントはつええぜ!」
 
 旦那が見上げていた顔が、胸元からナーガを振り向く。青空から落ちるような光景、太陽から逆光のナーガへ――指から滑るように出された三本の光が――流星のように神の竜を撃ち抜く。
 ギャアアアアア……ナーガの悲鳴が上がり、地面へ落ちる。
――なあ、あーちゃー」
 きらきら、一人で神獣殺しをするような奴はこの時代だってそうはいやしない。
「あん?」
「これって、――私たちの上に落ちてこないか?」
 当然の疑問。そいつから振り落とされたのを、落下中に撃ち落としたのだから。
「そーだな」
「どうするんだ?」
 巨体が、力を失ってこちらへ落ちてくるお仲間へ。
 
「走って逃げる」
 
「いぎゃあああああああ」
「だーいじょうぶだって!」
 
 あんたのそばなら俺は無敵の戦士だぜ!

 20250320.