はしびろこう
2026-01-29 21:30:58
25104文字
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メカクレ特異点

メカクレ特異点再録
アシュヨダと、ちらっとパーバソが香るかも
バーソロミュー、アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナ、カルナ、岡田以蔵、最後にパーシヴァルがそっと出てきます



交渉

 夕方。夜8時に消灯する海賊船なので、夕方の6時には密会の席を設けた。ガヤガヤと、人の集まる酒場である。
 内密の談合は、これで他には漏れないことだろう。
 さてそこで、こちらの出番だ。船着場で、帆の畳まれた船が静かに揺れているそばに控える。先ほどバーソロミュー(生前)が数人携えて降りたのは確認済みだ。
「我々は、階段の席の少し前に船に駆け込んで、忘れ物と言って船長室に入り、海賊からお宝を盗もうというわけだ」
悪徳なことだ理解しました
 夕方といえど、陽は傾きあたりはもう暗い。
「我々はマスターと聖杯という宝を、海賊から奪おうというんだ。おお、胸が高鳴るね」
 くす、と小さく笑うバーソロミューと、戦闘になっても大丈夫なように絶対に必要なことだ!!と丸め込まれて片目隠れの霊衣に着替えたカルナがそばにひかえる。一応、戦闘になって乱戦になっても、どちらのチームも動けるようにである。
 ――ああ、あの青い目が見え隠れするのを、合法的にできる特異点だなんて――なんて素敵なんだ。とは言いつつも、この身はサーヴァント。無論、最終目的を違えることはない。
 無論、ちょっと残念ではあるけども!!
「さて、そろそろ談合の時間だ」
 カルナに耳打ち、堂々としていたまえ。ちいさく頷かれたが、カルナに関してはこれは不要な心配だったかもしれない。
 船にかかった橋に足をかけ、早歩きで船内へ。
 きし、きし、ギッ、船が揺れるたびに軋む橋、だが迷うことなく帆を進める。少し急足に見えるスピードで、横を通り過ぎる男たちの声には「忘れ物を撮りにきただけだ」と微笑んで。
 なんせ、同じ男なのだ。疑われることはない。
 そして気づく。気付きながらおくびにも出さず、一つのドアの向こうへとカルナと共にはいる。
「ーーこれはーーロイヤル・フォーチュン号じゃない!」
「なに?」
「船長室があるのは別の船だ。くそ、帆がたたまれていてわからなかったーー怪しまれる前に撤退しよう」
 おかしい。
 夜間の、とまでは行かずとも薄暗い中の航海、間違いなく乗り慣れた、お気に入りの船で来るはずだ。その方が、手筈もわかっている。眉を寄せる。
 ーーさて、これは。
 読まれていた、と考えるべきか。

 ▪︎

 ドゥリーヨダナとの会席に現れたバーソロミューに酒を勧め、後ろにはお互いの護衛が立っている。あくまで和気藹々と、軽く肩に手を置くような形で親しげにグループを組んで、であるが。
「さて、ここにきてもらったのは他でもないがあるからだ」
 テーブルに腕をついて顔を傾ける、おお、バーソロミューは至高の宝石を見るように頬を緩ませ、旦那に顔を寄せた。
 うまくやりやがる。
「君からのおねだりならば、叶えてやりたいのは山々なんだか」
「そうであろう」
「一つだけ、確認させて欲しい」
 少しだけ、声のトーンが下がる。ん、と少しばかり正した。と言っても体の中だけの話で、姿勢にはださない。
 この場に武術の熟達者がいても、重さの変化を見咎められないほどの微量の変化だが、場の空気が変わるには十分。
 
「今まで君の情報で船を襲って稼がせてもらった件だ。君に教えてもらった場所と時間は正しかった。ただ妙なんだ。拿捕した船は数時間前に急遽メンテが入ったらしい。それでも君がくれた時間は正しかった」
「ーー」
 ぴり。空気が張り詰める。
 なるほど、こちらはカルデアの歴史上の情報とカルナの目視で調べているのだ。
 少しばかりの故障など、そこまで厳密な記述がなくてもおかしくはない。
 
「君は、何者だい?」

 響く。流石は歴史上、最後に成功を収めた海賊である。嗅覚がいい。
 
「まったく、お前みたいに勘がいいのは長生きせんぞ」
 手のひらをみせて、ドゥリーヨダナ旦那は椅子に身を引いた。ぎし、椅子が軋む。
 
「構わないさ!私は太く短く生きるとーー決めたんだ」

 後ろの奴らが臨戦体制に入りそうだったので旦那とバーソロミューとの間に体を滑り込ませ、すぐにひっくり返せるようにテーブルに足を突っ込む。旦那はぴえん、まだデザート食べてない、みたいな顔してるが突っ込んでやる時間がない。
「旦那どうする? そいつ人質にとるか?」
 じり。足の位置、相手は3人のメカクレを連れている。サーヴァント並みの戦闘能力とまではいかないだろうが、それでも膂力は旦那とどっこいってとこだ。
「おや、怪しいところに、策も打たずくると思うかい?」
「ーーおっ、と」
 がたがたがた。旦那が椅子から立ち上がる。周りのテーブルは全員、――メカクレだった。だが。
「船員じゃねえな。顔が違う」
「ふふ、そうとも、陸で雇った荒くれメカクレたちだ」
 いや、荒くれメカクレってなんだよ。だが参ったことに、この荒くれメカクレたち全員が旦那と同じ膂力であると考えれば。
「旦那、囲まれてる。撤退だ」
 タゲ集中の礼装を借りてきていて助かった。
 礼装をつれば、別につけなくても構わん、下手に怪我するなと服を掴むが、バーソロミューは先ほどの男たちを連れ立って出て行った。
 ――乱戦でバーサーカーの打たれ弱さを突かれてはたまらない。
 
「それではね、素敵なメカクレの君」
 
「アシュヴァッターマン、」
「旦那は数相手じゃダメージがでかい。ついてきてくれ、ーーそれに相手にバフがかかるならだめじゃねえこともある」
「うん?」
 ぐ、拳を握り込んで腹から声を出す。
 
「多少思い切りぶん殴っても問題ねえってことだ!!いっくぞおらぁ!!!」
 
 ぶっちゃけこれの方が、わかりやすくて嫌いじゃねえ!!!

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