はしびろこう
2026-01-29 21:30:58
25104文字
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メカクレ特異点

メカクレ特異点再録
アシュヨダと、ちらっとパーバソが香るかも
バーソロミュー、アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナ、カルナ、岡田以蔵、最後にパーシヴァルがそっと出てきます


 
海賊戦

 近代の海賊の戦法はシンプル。船に小型船で接近。船員を人質に船を保有する会社に金銭を請求するやり方である。だがしかし、小型船でつけて速攻を仕掛けたのは何も近代だけではない。
 バーソロミュー・ロバーツもその戦法を使い船を襲って終生大切にしたロザリオも手に入れている。

「と、いうわけで奇襲しようと思う」
「向こうにマスターがおるが」
「岡田以蔵がいる」
 ドゥリーヨダナの言にカルナが静かに、しかし通る声をあげた。岡田以蔵は、護衛ならば失敗したことがない。本人の言もそうであるし、そういう逸話にされた英霊はその分野につよい。
「速攻でロイヤル・フォーチュン号に近づき、船の船員だけを相手にして聖杯とマスターを掻っ攫おう」
「船員だけってうまくいくもんか?周りの船が船長の船の異変に気づかないことねえだろ」
「だから周りの船でも騒ぎを起こすのさ」
「あーー、なるほどなぁ。続けてくれ」
 ドゥリーヨダナの宝具で弟たちを周りの船に向かわせて、揺動。こちらは周りの船員を相手取りながら聖杯とマスターを手に入れる、という塩梅だ。帰りはカルナが宝具ぶっ放すか、サーヴァント、バーソロミューの宝具で逃げるという手筈である。
「問題は、向こうの私がマスターを人質にしようとするかもってところなんだが」
 遠くを見るバーソロミューの目が細まる。
「以蔵、任せたぞ」

 ▪︎

 さて、こちら船の上の藤丸です。聖杯はさっきこの船の船長室にて見たので、この船で港につけるのかと思っていたけど、どうやらバーソロミュー(生前)は別の船で行ったらしい。
 作戦が早くも破綻したことを察したけど、聖杯持って逃げちゃう? とかいう作戦には賛同できなかった。
 オレも以蔵さんも泳ぐのはできても、夜の海で港まで泳ぎ切れるような逸話があるわけではない。夜の海のもずくになってしまう。藻屑です。
 また少し目を離してもらったときにでもみんなと通信して作戦立て直さなくちゃかもなぁ、と思っていたらバーソロミューが歩いてきた。
 商談は済んだのだろうか。とも思ったけどこちらはマジで何も進んでいない。どうしようかなぁ。
「やあやあ、客人を待たせてしまって申し訳ないね」
「お気遣いなく」
 うーん、やはり人当たりがいい声と顔である。
「すまないんだが用ができてね。明日には出航したい。朝日が昇ったらすぐに港に返すから、今夜はここで寝てくれないか?」
 オッ!!生存ルート!だけど聖杯は遠ざかり、ってやつだ‥うーん、どうするべきか。
「もちろん乗っていたければ君たちも海賊の仲間入りするのも悪くないよ」
「ありがたい申し出なんですけど港に帰りますね!」
 海賊行為ダメ絶対。うーーん、どうしよう。こうなったら港近くに行ったときに一か八かで聖杯月かっさらって走って逃げる、が一番なのかなぁ。無論星4バーサーカーレベルの身体能力から、以蔵さん1人で守ってもらうみたいな地獄が発生はするわけだけど。
「まあ今夜は楽しんでいきたまえ。武勇伝になるぞ」
「はは、そうします」

 びゅんっ。海風に紛れて、何かが海から飛び出した。
「おっと、残念ながらそうはならないとも!」

 バーソロミュー・ロバーツが帆船のロープに指を引っ掛けて、月を背景に見下ろしてきた。
「おっ、と?」
「バーソロミュー!」
 生前のバーソロミューが一瞬またたくが、まわりの船の騒ぎだしたタイミングですぐに元の微笑みを浮かべる。
「ああ、なるほど。ここ最近の、なんだか怪しい視線は君か?私の偽物なのかな」
「偽物でもなんでもいいだろう?――私は君から、奪いにきた者さ」
「ふふ、それはいいね。すごくいい!」
 映画みたいな口上に思わず惚けて見惚れていれば、――キンッ!――腕を引っ張られ、先ほどまでいた場所で金属が弾ける音。
「?!」
「おまん今、マスターを盾にしようとしよったな?」
 気づけば、バーソロミューが自分を引っ掴もうとしていたのが見て取れる。
「おっと残念――私相手なら、人質が通じると思ったのに」
 ごくり。ああ、爽やかな表情と声に忘れていた。
 
 彼は、混沌、悪である。

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