はしびろこう
2026-01-29 21:30:58
25104文字
Public
 

メカクレ特異点

メカクレ特異点再録
アシュヨダと、ちらっとパーバソが香るかも
バーソロミュー、アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナ、カルナ、岡田以蔵、最後にパーシヴァルがそっと出てきます



御曹司偽装計画
ヨダナ御曹司偽装計画
「髪は――そうだな、角度によってメカクレにするくらいか」
「それ必要か?」
 アシュヴァッターマンがドゥリーヨダナの髪を整えながら確認すると、バーソロミューが力強く立ち上がった。
「私を相手取るならば!メカクレは必須だと思う!というか角度によってメカクレでなく、常にメカクレを推奨するが、どうか!?」
 熱弁する政治家って言ったら誰も信じそうなくらい熱い。常識的に考えて、より情熱的に考えて、の枕詞が似合う。
「どうか? じゃねーが?」
 ドン引きしている以蔵さんとアシュヴァッターマン、そして我が友はなんでも似合うのでとばかりに、特に口を出す気がないカルナさん。
 当のドゥリーヨダナは腰掛けた椅子から乗り出して、少し気崩した胸元と、首を軽く傾げてメカクレにし、バーソロミューを見上げて。
「これでどうだ?」
 バーソロミュー、完全にした顔をして、着席。
「カルナ、君の友はなんでポテンシャルなんだ……
愚問そうでしょう
「おい、旦那を変な目で見るな」
「ああ、気を悪くしないでくれたまえ!君もメカクレの才能はあると!私は無論気づいているとも!」
「違う、そうじゃねえ」
 バッチンとウィンクを決めた男に、こんなに綺麗に意図が伝わらないこと、ある?アシュヴァッターマンが髪を寄せないで欲しい旨で全力で顔に寄せられた指を止めている。無理強いはしない主義のバーソロミューは至極残念そうに手を下ろした。
 着々とパーティメンバーをメカクレにしようとしてくる。
「うーん、しかし、戦闘とか考えるとやっぱり常にメカクレにしとくか?」
「アシュヴァッターマン、このギャンブル性が良いのだ。今回、もう少し話したら見れるかも?次回も、もしかしたらみれるかも、というギャンブル性が残った方が相手の
 うーん、悪い男である。ギャンブル性についてはそれで五兄弟を国から追い出した実績を持つ男。言葉の重さがダンチである。
「俺たちどうしよう?顔割れてるよね」
「ああ、心配せずとも、酒呑たちが暗がりの人間の顔なんかちゃんと覚えている訳ないよ。安心したまえ」
 カスのライフハックありがとう。

 ▪︎

 さてそれから、悪事働かせたらまあまあ良い手練手管のドゥリーヨダナのことである。手慣れてるのがすこし気になったが、うまいことバーソロミュー(この時代の)数回の接触に成功、何度か商船を襲わせ、信頼を勝ち得ていた。
「情報はものすごく価値があり、耳打ちだと証拠も残らん!ハーッハッハッハ」
 宿で悪役の文言出すのやめて欲しいけど、それくらいだ。
 次回、いよいよお誘いの文句を入れようと話しているドゥリーヨダナと、夜に祝杯。
 アシュヴァッターマンとドゥリーヨダナは台頭してきたブルジョワの嫡男とそのお付きとしてバーソロミューに何回か接触を成功。
 計画は順調だった。遠くからバーソロミューもこの時代の自分を見ながら(途中、おしい、とか、クッ監視がもう一階上ならば、とかドゥリーヨダナのメカクレに意識持って行かれた気がしなくもないが)当時との細かい装飾や部下の配置を確認しており、概ね予想を的中させていたし、もしよしんば闘いになった時はメカクレにして応戦することが決まっている。
 順調を祝しての乾杯をして、オレはジュースだけどみんなは酒を飲んで夜はふける。

 ――朝、オレと同室の以蔵さんがおそらく酒場でそのまま寝てしまったのだろう。部屋にいない。仕方ないなぁ、とドゥリーヨダナたちの邪魔をするわけにいかないので、二日酔いだろう以蔵さんを回収に行くことにした。
 みつけた以蔵さんは、バーソロミューと寝倒れている。バーソロミューがこんなに飲んで寝こけるなんてよほど楽しい夜だったんだろうと二人を揺すり起こす。
「起きてふたりとも!」
「おっと、久々の陸で羽目を外してしまった。メカクレを肴に飲んでいたらいつのまにか」
 バーソロミューさん、メカクレを肴に呑むってことをするんですね。初めて聞くツマミです。とはいいつつもいつも通りではあるので、まだ大口開けてむにゃむにゃしてる以蔵さんをゆすった。
「もー、かえるよ」
「待てぇ、船見せるちゃ約束したき」
「ああ、そうだったね」
 この特異点にきてから結構ドン引きしてたのに随分仲良くなったみたいで良かった。酒の力は偉大なり。飲んだことないけど。
「いつでも見せて貰えばいいでしょ、酔いどれてるんだから」
「いやいや、私の船は少し凄いぞ?」
「えー?まあそうだよね。そしたら見せてもらってきなよ。」
 なんせこの時代随一の海賊の大船団である。圧巻と言えば圧巻。黒船とかで揺れてた以蔵さんも船とか気になるのかも。
「君も(メカクレに直される)どうだい?」
「オッフ、まあ、そしたらお邪魔しようかな」
 かつら、少しずれてたみたいだったのでメカクレを直されても言えることはない。だってこの特異点だとこれが正装なので。
「さあ、見たまえ!これが私の大船団だ!」
 港町、カツカツと先導する男に船着場で橋をかけた船に堂々と案内されて気づく。


 ーーこれ生身のバーソロミュー・ロバーツでは?

 血の気が引き潮みたいに引いた。

 .