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望月 鏡翠
2026-01-22 20:21:07
30877文字
Public
庭師は何を口遊む 霊山班
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やばい店に潜入捜査するパロ その2
自陣の二次創作/庭師通過済み前提/
https://privatter.me/page/696cf10600785
の続き
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扉の前には男が一人。腕組みをして巩心の動きを見ていた。気を失わせて、この場を切り抜けられるかもしれない。そんな考えを持つことができたのは一瞬だった。
彼が扉を開ければ、廊下に控えていた別の部下たちが、部屋に入ってくる。警棒と、スタンガン。ナイフや銃を手にしていないのは不幸中の幸いだろうか。
彼らもまたキャストの誰かなのだろうという体格をしていた。顔を隠しているものの、戦いに慣れた構えをしている。確かに店で働いているものの中には、、単に見栄えのために鍛えているのではなく、実用的な体をしているものが何人かいた。
体格の良さをキャストの条件にしているのなら、別におかしなことではなかったが、いざと言うときは私兵にするためだったらしい。
比叡が状況を確認しようと喋りかけてくるのは聞こえていたが、応答できなかった。
目の前の敵の一挙手一投足に注意を払いながら、頭の中で言葉をまとめるのは難しい。不用意なことを言ったら味方の情報を敵に漏らしてしまう可能性もある。それを判断するのは、難しかった。
「そのおもちゃをこちらに渡してくれ」
幼子に語りかけるように、男は目を細め手を差し出した。
「そうすれば君は少しだけ長生きできるし、映えある最後を迎えることくらいはできる」
巩心は答えなかった。策謀は苦手だ。この状況で、相手を言葉で絡め取り、情報を引き出す手段はない。ただ敵を利することだけは、したくない。
ただ、黙ってUSBを握りつぶす。プラスチックの外側と中の端子がひしゃげて足元に落ちた。
「残念だよ」
声をかけてきた男がインカムを操作する。
その手元を見た瞬間に、巩心は動いていた。
室内では助走をつける距離はない。踏み込んだ足を軸にして、蹴り上げる。増援を防ぐなら、どこかに連絡を取られる前に潰すしかない。店内で一般客がいるところまで逃げ出せば、まだ可能性はある。
しかし隣に控えていた敵が、前に出て警棒をふるった。
足を折られる。
反射で軸足の力を抜き、打点をずらして力を逃す。足に鈍い痛みが走る。体を低くしたまま地面に両手をつく。体をバネにして下半身を振り上げ、手近な男の体を挟んで体勢を崩す。
二人がもつれあうようにして床に倒れたとき、武器を構えた男たちの手が止まった。味方を攻撃することを躊躇ったのだろう。警棒を持つ男の手を力任せに握り込むと、関節の軟骨が割れた音がした。
突き出されたスタンガンを、奪い取った警棒で弾き飛ばす。
身を翻して立ち上がり、急所を守る位置に警棒を構える。腕の隙間から見た敵の人数は、全く減っているように見えない。
キャストの服では身を守る手段がない。その代わり、組みついたときに敵に掴まれる場所もない。
「殺すなよ」
男は冷ややかな言葉を残して部屋を出る。包囲網が狭まる。捨て身で飛びついてきた男が、巩心の腕を封じる。
脇腹に押し当てられたスタンガンを振り払うことができなかった。電流が体を貫き、意識が途切れた。
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