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望月 鏡翠
2026-01-22 20:21:07
30877文字
Public
庭師は何を口遊む 霊山班
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やばい店に潜入捜査するパロ その2
自陣の二次創作/庭師通過済み前提/
https://privatter.me/page/696cf10600785
の続き
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インカムの音声がつながっているときの、微かなノイズ音。
それは手の届かない場所にいる人間の無事を知らせる、微かな縁のようなものだ。
改造したインカムは、チャンネルの切り替えや手元の操作を行わずに、店内連絡に使っている回線とこちらからの連絡両方を行うことができるようになっている。常時、接続中の微かなノイズが聞こえている。
ハウリングがしないように調整したマイクには、店内の音は遠くの喧騒にしか聞こえない。近くで話している人間の言葉すらも巩心の言葉を通じて、推測できる程度のノイズだった。
今まで店で作ってきた仮初の比叡の態度からして、店にいるときに巩心を呼ばないのは不自然だ。彼を自由に動きやすくするために、今日は比叡は店の外から状況を伺っていた。
営業中で店内が忙しい時間を見計らって、バックヤードに侵入し、比叡が作ったプログラムを仕掛ける。
『行ってきます』
「くれぐれも、気をつけてください」
『了解っス』
平生通りの軽やかで元気な返事を聞くと、むしろ不安になる。その声は周りに聞き咎められてはいないだろうか。
IDカードを使わなければ開かない扉の内側に潜り込むために、休みのスタッフのロッカーから、カードをこっそりと盗み出す。
それぞれ鍵がかかっているが更衣室のロッカーの鍵は、セキュリティの高いものではない。道具があれば簡単に外れる。
『これから、向かいます』
USBを差して戻ってくるだけなら、十分とかからないはずだ。その僅かな時間が、途方もなく長く感じられる。道中誰かとすれ違って、ここにいるべき人間ではないとバレたらどうするか。
巩心はうまく誤魔化せるだろうか。
プログラムがうまく動かなかったら。
霊山はそうなったらフォローをすればいいと言ったが、比叡はとても心が休まらなかった。
『パソコンが置いてある部屋、見つけました。これでいいですか?』
「駄目なら、やり直せばいい。ひとまずやってみてください」
う〜んと何かを悩む声が聞こえる。途中でイテと聞こえたのは、机の下にでも潜って頭をぶつけたのだろう。
『いきました?』
「
……
来ません。電源は入っていますよね」
『モニターついてます』
ミスをした?
首筋に、じんわりと汗をかく。
仲間を危険に晒して、その上で仕損じたのか。
「原因を考えます。少し待ってください」
血の気が引いて、視界がじわりと狭くなる。
考えろ。考えろと自分に言い聞かせる。
『他のパソコン探すので大丈夫ですよ』
インカムの向こうから聞こえる声の方が、落ち着いている。
まだ五分。時間はある。
「この部屋の回線は切断した。君のような人間がいるからね」
部屋の入り口から投げかけられた声はを、マイクは拾わない。巩心にだけ聞こえた言葉だった。
『あ〜、明治サン。すみません、ちょっとまずいことになったかもしれないです』
「巩心さん?」
問いかけに、返事はない。
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