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望月 鏡翠
2026-01-22 20:21:07
30877文字
Public
庭師は何を口遊む 霊山班
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やばい店に潜入捜査するパロ その2
自陣の二次創作/庭師通過済み前提/
https://privatter.me/page/696cf10600785
の続き
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話が終わると、巩心が机に項垂れた。
「あ〜、出勤の準備しなくちゃな」
彼らの生活は夜の時間と昼の時間に二分されている。元々の生活習慣が規則的なものほど、辛いだろう。
「お疲れ様です」
「明治サンは徹夜っすか?」
「いえ、流石に頭を動かないし、一度戻ってちゃんと寝ますよ。着替えたら店に行くと思います。少し日も空きましたね」
「了解で〜す」
井伏と巩心が去ったあとのオフィスには沈黙がある。
比叡はテーブルの上の資料を睨むように見つめていた。
毒。正体不明ということは、解毒の手段がないということでもある。
霊山に話しかけようと顔を上げたところで、彼がずっと比叡の横顔を眺めていたことに気がついた。
「なんです?」
「いや」
含みのある言い方で語尾を跳ね上げる。
その片目が何を見通しているのか、読み取れたことはない。ただ、何かを見透かされているような気がして焦るのだ。
「
……
今後の方針について、相談があります」
胸の内側で沸いた動揺を、押さえつけた。咄嗟に棘のある言葉で、その態度を否定したくなったのだ。
全ては気のせいだ。追い込まれたように感じている、これは錯覚だ。
何かを見抜かれたわけではない。見抜かれて困る動機があるわけでもないじゃないか。嘘を吐こうとしているわけでもない。仕事をする上で必要なことを伝えるだけだ。
「悪巧みか」
「仕事の話ですよ」
「なら、どうして山穂が居るときに話さない」
返答に窮した。
わかっている。
彼は比叡の案を、おそらくは認めない。だが必要なことだ。
「
……
今、思いついたので。きっとこれが一番、合理的です。でも彼は認めないでしょう」
「お前の中で、それは合理的な判断なのか?」
どうしてそんなことを聞くんですか。霊山に幾度となく投げた問いだ。そしてその問いには常に、比叡が求めるような形は与えられない。
手にしていた捜査資料を、テーブルに投げる。
ゆっくりと椅子から立ち上がると霊山に歩み寄った。
相手が椅子に座っていれば、比叡でも見下ろすことができる場所に顔がある。やろうと思えば、霊山の胸ぐらにも手が届く。
オフィスチェアの肘掛けに両手をつき、その顔を見下ろした。
「自我でも煩悩でも、わがままでもいい。一番危険な場所に飛び込んでいる彼らを、危険から遠ざけられるなら、なんだっていい。あなたは、僕の案に対して一言〝やれ〟と言ってくれればいい」
「お前の提案に価値があれば、検討はする。だが、お前たちは駒で動かすのは俺だ。賢い犬なら、噛み付くべきときまで牙は隠しておけよ」
霊山が、二人の間に火のついていない煙草を差し出す。
「どうだ。お前は上手にできそうか?」
比叡は懐から、夜の店に合わせるために買ったジッポを取り出す。蓋を跳ね上げると、金属が澄んだ音を立てた。
「
……
ワン」
煙草に火をつけてやると、霊山は満足そうに煙を吐き出した。
あるいは、比叡の答えに満足をしたのかもしれないが。
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