伊紀の話

終さよキャラ化の話

独白


「死にたいと言葉にしたことはあったけど、本当に死にたかったことは一度もなかった。
 死ぬことも生きることも強く願ったことはなくて、ただ死んでないから生きていた。
 大学行って、就職して、結婚して家庭を持つ人生を、ぼんやりと描いていた。
 そのための努力なんか、特にしないまま。
 『そうするのが当たり前』だと思っていたから、そうしていた。
 その『当たり前』の中で、なるべく疲れなくて、楽しそうな道を選んできた。
 失敗もたくさんして、面倒になって全部放り投げたくはなった。
 気づいたら俺の人生は終わってた。
 もう元カノとどんな顔で会えばいいと悩まなくていい。
 眠い目擦って興味のない講義に耳を傾けなくてもいい。就活しなくていい。
 結婚して家庭を持ったりしなくていい。
 親の老後の面倒をみなくてもいい……もう何もできない。
 父さんと酒を飲み交わすことも、母さんの料理をもう一度食べることも、妹のワガママを聞くことも、二度とできない。

 立野伊紀は、死んだから。
 もう何もできない。

 じゃあここにいる『俺』は?
 死んで何もできなくなったのに、まだここにいる俺の意味は?
 できないことを嘆いたってなんにもならないんだから、じゃあもう今の自分にできることを満喫するしかないだろ?
 『立野伊紀』は死んだ。
 だから『今の俺』がいる。
 この町で興味のあるものについて調べる、調べて自己満足のためだけの論文を書く。
 完成したあとどうするかは、完成したとき考える。
 俺に過去はもうない、未来もきっとない。
 だからただ『今』を楽しみ尽くす。

 それしかできないから」


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 2019/09/28 ツイートまとめ