伊紀の話

終さよキャラ化の話

バイトの話、数年後


こういうの書くの初めてだから、読みにくかったらごめん。
でもずっと誰かに聞いてほしかったんだ。

学生時代の話なんだけど、日雇いバイトやったんだ。
やることは町の清掃で、雇い主は役所。
別にやばい仕事じゃないだろって思ってたら、とんでもなくやばかった。
まず、掃除する町ってのが、廃墟になってる隣町。
公務員のお兄さんに車で連れてってもらったんだけど、掃除する必要ある?って感じのボロボロの町だった。
道どころか家の中にも草が生えたりしてるから、それを撤去するのが主な仕事だった。
運悪くその日は俺しかバイトがいなくて、指定された範囲を一人で黙々と片付けた。
(公務員のお兄さんはお兄さんで仕事があるみたいで、俺を案内したあとは廃墟の中で唯一生きてる感じの建物に戻ってった)
昼前から始めて、比較的きれいな家の中で支給された弁当食ってちょっと休んでたら、同い年ぐらいの男が外にいるのが見えた。
バイト他にいないって聞いてたのになーと思いながら声かけたら、そいつこっち見てたくせにめちゃくちゃビックリした顔したのを覚えてる。
でもすぐに馴れ馴れしい感じに話しかけてきて、ちょっと話を聞いたら、論文のために町のこと調べてるとかなんとか言ってた。
こんな廃墟調べてるとか物好きだなーって思いながら、思ったより仕事が重労働だと愚痴ってたら、そいつが意味深に笑った。
この町が廃墟になってるのは、昔災害があって人がたくさん死んだからってのは俺も聞いたことあったんだけど、そんな人がいなくなった町が放置されてるのは「再開発しようとしたけど重機が故障したりして工事か進まないから」だとそいつは言った。
それが事実なら俺もなんか祟られたりしそうで文句言ったら、祟られるならバイト雇わないだろと笑われた。
それもそうだし、祟りがあるならこいつの方が先に祟られるよな。
そいつは話すだけ話して、俺を手伝ったりはしてくれずにどっかに行ってしまった。
その後仕事を再開したけど、変な話を聞いたせいか、その後視界の隅をなんか影がちらついてる気がして仕方なかった。無視したけど。
日も暮れかけた頃に、そいつはまた俺の前に現れた。
仕事を切り上げて、そいつと一緒に公務員のお兄さんがいる建物まで戻ろうとした。
ただでさえ歩きにくいボロボロのアスファルトの道は、外灯もないし夕暮れで伸びた廃墟の影で足元もろくに見えなかった。
だらだら話しながら歩いてたけど、何話したのかは忘れた。「また来るの?」と聞かれてもう来ないよって答えたのは覚えてる。
暗くてそいつがどんな顔してるのか見えないな、とか思ったらつまずいた。
倒れる俺に手が差し伸べられて、俺もその手をつかもうとして、そのまま手がすり抜けて思いっきり倒れた。
顔を上げた時には、周りに誰もいなかった。
ゾッとして、俺はダッシュして公務員のお兄さんのとこに駆け込んだ。
俺の様子を見てお兄さんはビックリしてたけど、俺の膝から血が出てるって慌てて救急箱を持ってきて手当してくれた。
そしたら、お兄さんの後ろの方に、あの男が立ってた。
お兄さんには見えてないのか、そもそも後ろにいるから気づいてもいないのか、男はしーってジェスチャーをした。
お兄さんが救急箱を片付けに行ったら、男がこっちに近づいてきて「内緒にしてね」って言った。
「もし誰かに話したら逃げられなくなるからね」
そう言って男はどっかに行ってしまった。
俺は怖くて全く動けなくて、公務員のお兄さんが戻ってきて声をかけてくれてようやく動けた。
その後、給料もらって、お兄さんに車で、送ってもらったんだけど、それっきり俺があの町に近づくことはなかった。

ずっとあの男がなんだったのか、あの町で死んだ幽霊だったのか、今もわからない。
あの男の最後の言葉が怖くてずっと誰にも言えなかったけど、あの町が更地になって再開発の話が出てるって風の噂に聞いたから、あれっきり幽霊とか見ないし、もう大丈夫なのかなって。
そんな怖くないかも知れないけど、俺はめちゃくちゃ怖かった。


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 洒落怖っぽく見えたらバンザイ。

 2020/06/27