伊紀の話

終さよキャラ化の話

続・生き延びた話


 古彩町の火災は、それはもう想像を絶する規模で、文字通り町がなくなってしまった。
 もしあの日こっちに帰らず、あのまま古彩町に留まっていれば、無事では済まなかっただろう。
(みんな死んだのか……
 民宿のおばちゃん、羽多野のじいちゃん、タバコ屋のばあちゃん、三笠のばあちゃん、楠木のじいちゃん、矢田のおっちゃん、クソガキ共……
 あの町で出会ったいろんな人の顔が浮かんでは消えていく。関わらなかった人もたくさんいた。夏祭りの準備をしているのを遠目に見た。
 それがみんな、燃えてしまった。実際目にしたわけじゃないけど(一般人が現場に近づけるわけがなかった)ニュースで見る限り(うちにテレビはないけど、店先のテレビでニュース映像を見た。ネットでも写真は出てるし、火災の記事が載ってる新聞もコンビニで買った)みんな燃えてしまったって言っていいだろう。
 もう古彩町はない。住民はいない。俺があの町に行くことはもうできない。
 今まで集めてきた資料で、あの町について論文を書いている。全く資料が足りてる気はしないけど、少しでもあの町について記録を残しておきたかった。みんな燃えてしまった以上、俺がやるしかないという気持ちになっていた。
 これもまた縁というやつなんだろう。たまたま古彩町のことを調べていた俺が生き延びたのだから、残さなければ。俺が知っているあの町のことを。歴史を。面影を。消さないためにも。
(将来的には資料館とか……なーんて、さすがにそれは無理無理、金が無いもん。ああでもいつかせめて、本とか出せたらなあ……自費出版?そこまで熱量もつかなぁ、俺だし。それ以前に論文なんだけど。これでいいのかな、わからん。あとで教授のとこ行こう。なんか真面目にやってるじゃん、笑える)


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 伊紀生存if、続き。
 この世界線の伊紀はその後、古彩町について本を出す(予定)

 2019/11/21