伊紀の話

終さよキャラ化の話

別れ話


……は?」
 寝耳に水、とはよく言ったもんだ。寝起きではないけれど。
「え、待って、なに?」
『だから、別れよ』
……なんで?」
 別れ話を切り出された。明日デートの約束をしている彼女に。
『伊紀、あたしのこと別に好きじゃないでしょ?』
「付き合ってるのにそんなわけないだろ」
『言い方が悪いか。あたしのこと、特別じゃないでしょ?』
「そんなこと……
『別に嫌いになったわけじゃないのよ、あたしも。伊紀のことは今も好きだけど、これって恋愛の好きじゃないから。だから、別れよ。休み明けたらまた友達に戻ろ』
「いやちょっと待てって」
『じゃあね、伊紀。あたし、新しい恋探すわ。気持ちの整理つけるためにmixiも切るけど、ほんと嫌いになったわけじゃないから』
「キョーコ!」
 名前を叫ぶのと、プツンと通話が切れるのはほぼ同時だった。
 駅の前で呆然と立ち尽くしたまま、無言の携帯電話を見つめる。
 即座に番号を押して電話をかけ直そうとしたが、着信拒否されていた。あのアマ……
…………
 もうすぐ電車が駅に来る時間だったけど、くるりと背を向けて来た道を戻る。
 明日はキョーコに会うから帰るつもりだったけど、これならもう一泊して明日の祭りを見に行こう。
 その前に酒を買って飲もう。飲まなきゃやってられない。
 確かにまあ、就職先が離れたりしたらそのまま別れそうだなぐらいには思っていたけれど、今か? 今って別れるタイミングだったか?
 わからん。何が悪かったのかもわからん。考えたくない。飲もう。飲んで忘れよう。今日はもう、終わり、終わり。
 これからのことは明日考えよう。


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 その明日は来ないんですけど。

 2020/10/23