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akinoshiroihana
2025-03-30 21:14:51
28993文字
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ノーマルぷらいべったーゲッターネタ倉庫1
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午後三時
3/13がサンドイッチの日と聞いて、エロい方のサンドイッチが書けない俺はぼくはわたしは竜隼
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どうだい、何かあるかな
んん、明日の朝や昼に使う予定のありそうなもの、夜のおかずの主役になりそうなものは、やめたがいいぜ、きっとおばさんたちの不興を買うから
*
急襲に次ぐ急襲、欠席に次ぐ欠席
メカザウルスの兵装でやられたみたいに出席簿が穴だらけになった彼らは、その日特別集中補講を受けた。通常授業よりいささか長く、いい加減にさぼるには対象となっている学生の数が僅か三人と少なすぎ、理系と文系で内容が別れない科目をば暗記系小テストで授業内容が身に付いているか確認されていれば、他教室では四限目終わりのチャイムが鳴り廊下が騒がしくなり、トマホーク・ブーメラン!など叫んでスリッパを投げつけてじゃれていた生徒らが、教室から顔を覗かせた教師に叱られなどするのを聞いた後、
「では先月やった『山月記』は原稿用紙五枚の感想文を各自提出すること、いいね、はい起立
―――
」
大学生みたいな九十分授業がようよう終わった、というところで
「うわあああもうダメだぁおしまいだー!」
そう弁慶が絶望の声を挙げて椅子の上仰け反った。
購買のパン、絶対に売り切れちまってるよ!羊羹挟んだ"シベリア"さえ残ってねえやつだ!
授業中「居眠り対策らしいですよ」と他二人が解説すれば、その堂々たる早弁が見逃されていた弁慶は、つまり、正規の時間帯に食べるべきものが残ってないわけで。ふもとの飯屋から出前を頼んでいる身の教科担任はこそこそと退出していった。
「おいおい、そう腐るなよ弁慶」
「そうだぜ、しかしなんだって学校のパン売り場って、ああも世間の景気関係なしに見事にほぼ売り切れたがるかねえ」
ほぼ同じ予想の竜馬たちは「あれは残ってないかな、パンの間に違う生地のパン入ってるだけのカステラパンとか」「さてねえ」などとのやり取りの後
「やるよ」
「へ?」
「俺の体内時計じゃ昼食の時間を過ぎちまってるんだ」
俺の午後はあとテストだけだから、ぱぱっとやって帰るさ、と持たされた弁当包みを弁慶の顔の上に置いて、戸口で背を向けたままひらひらと手を振る隼人に、なんだい体内時計って、ハラ時計って言いやがれよぅと弁慶は悔しそうに言う、そこに
「じゃあ俺のも食っていいぞ、次は美術だから準備があるし俺も今日はそんなに腹減ってない」
そうかぶせた竜馬の方は、帰り路に友と買い食いする楽しみでも思いついたのかもしれなかった
*
「道理で」
お前さんのデッサンのサザエの貝殻がやたら食い気に満ち満ちてると思ったんだよ、と、早くにノルマを終えて、進捗を見に来た後つれなくも一人先に戻った隼人が言う。
「で、何なんだいそれは」
「パンでも焼こうと思ったけど、あの飛び出すトースターは絶対焦げる仕様なんじゃないか?」
「ああ
……
あーあ」
チンガシャンと賑やかなポップアップトースターの脇には一部黒く炭化したパンが何枚も積まれている。明日の朝食分が足りなくなるのではないかと隼人は危惧し、白い眉間に手をやる
「それで、なんだいそれ」
「焼くのは諦めてパンにマヨネーズ塗ってチクワを巻いてみたんだが
……
これが果たして旨いんだか何だかわからない」
そうなにやらしょんぼりとした風情のある竜馬は、そんなものをもぐもぐやりつつ薄暗いキッチンに立っていた。
「パンはさ、網で焼きなよ、ガキでも失敗しねえから」
「あ、そうか」
がちがちになっていた黒い食パンの表面を削り、ミチルが菓子を作る時の霧吹きで水分を含ませ、バターを乗せてガスコンロの青い弱火であぶりしみ込ませ、ポケットにあった板チョコを一列分挟んで二つ折りにしたのを手渡せば、不審げに口にした竜馬の精悍な顔がぱっと幼な子のように輝いた。
チョコレートパンの中味が固まってて板チョコっぽいと逆に得した気になったことのあるガキだったらこれは地味に旨かった、と隼人は覚えているという。内緒ごとのように彼が小さく笑うので、なんだどうしたお前も買い食いか盗み食いなんかすることがあったのかと竜馬が聞けば、お袋の病気がわかった直後とかはお手伝いさんが出払っちまってよ、との返事。慕わしい調子に乗って、後ろから肩に回された竜馬の手が、それ自体子犬か何かのようにとまどい、うろうろとした後、そっと戦友の肩に寄り添った。
ああ、そうだ、と竜馬は思う。こいつは警戒心を解く前から心から愛し愛されたからこその喜びと悲しみが垣間見え、今となって心許す相手にはなおさらなのだ、それに嫉妬なぞ覚えたこともない、ただいくばくかの光に満ちたような好ましさと羨ましさ、それにもっとずっと小さくも強い焦燥のようなものがあるだけで。母か明日香さんの仕草をそのままなぞって育ったのだろう、丈高い今の姿にはわずかながら違和感のある優雅な所作指運びを学校の連中は気持ち悪いという者もいるが、じぶんにはそれが異質で不思議で美しかった。もっとよく知りたいと心躍るか急くように。そんな思いとともにか彼の手は新たに食材を手にして、
あとは、そう、そうだな
ミチルが何かに使おうと買ったきりで賞味期限が近い生クリーム
納戸にあった、半ば死蔵の瓶詰めの栗の甘露煮
罪にならなさそうなもの探し
「けっこう失敗しちまったがおやつ作ってたんだって言って3時に出しちまおうぜ」
そうすりゃ明日の分のパン使っちまったのは何とかごまかせらあ、と、栗を挟んだクリームサンドに製菓用のスライスアーモンドを炒って振っていた隼人は、今度は動物性たんぱく質の焦げる臭いにすん、と鼻を鳴らした
「
……
こんどこそなんだいこれは、」
リョウさんよ
「見てくれ、お前のやり方でトーストを復活させた上に、チクワを網であぶって、しかも中にウインナーを挿入したやつをのせてみた!」
「挿入」
「チクワの穴にウインナーはきついかと思ったんだが、ここにマヨネーズを塗ると潤滑剤として見事にはたらいてくれて、これがじつに気持ちいい、一気に入れられる!」
ああそうか肉も食べたかったんだな俺は、すごくスッキリした!としみじみ感じ入った風ないい声でいう竜馬の罪汚れなさっぷりにくらりと眩暈さえ感じ、隼人は
「 」
柱時計がぼぉーんぼぉーんと鳴り言葉をかき消す
今日の三時のおやつはサンドイッチだ。
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