akinoshiroihana
2025-03-30 21:14:51
28993文字
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ノーマルぷらいべったーゲッターネタ倉庫1




sirloin / sur loin

エイプリルフールネタの筈が失敗、竜馬嘘つかない
(サーガ+東映)/2
なのでこの隼人はどうやら煙草吸いません(チェンゲのファーストシーンの喫煙は大好きです)
竜隼

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オーロールは旨かった
次はジュールを

代わりに出された子羊料理に、人喰い皇太后は舌鼓を打った
"不穏当"と削除された童話の一幕で

「鹿か、いやな奴が出て来ちまった
 いちど出て来ると花も木の芽もなんでもむしって食っちまうから、一番風情の無いことにされちまう
 遠目にゃ可愛いけどよ、農家サンが猟友会に電話して頼んでくれねえかな」
「おいっ」
強い動物愛はあるものの、獣害についても見ないふりはできないタイプの弁慶が、方針として反対はしないが気に入らん、的に制する分の声を挙げる。春の早乙女邸への侵入者に渋い顔をする竜馬に

明日の夜には王妃をお出し
百年眠ったあの若い母を
心優しき料理人は大いに困る、光る肉切り包丁を手にして
あのお方の肉だと胡麻化すならば
一体何を殺せばいいのか、ああそれとも私は遂に

「鹿なんてよお、上手く料理できなきゃ、ツクダニくらいにしかならないじゃねえか
 そりゃあサルたちよりも撃つのは気持ち悪くないらしいけどよ」
罠にかかったら下手すりゃただの市役所の職員がただのヤリ携えて処分に来て、大きな生き物殺したショックでゲーゲーやってんのも気の毒だったらねえや
「ええ?あれは純粋に気持ち悪いのもあるんじゃないか?」
命を手放した身体から、それをいち早く悟ったダニ達が黒々と蠢いてざあっと音まで立て毛の下から這い出すさまなど。

かくて料理人は鹿を殺したから
そんなものも目にしたかもしれない

だけどこの童話で気になることは

「ねえ凄いわ、今日はお肉の処理のプロが同行してくれたんですって
 だからこのお肉、お刺身にだってできるんですってよ」

茨姫の王子様は
勇気ある優しい王子様とは
人食い鬼の子ではないのか

「へえ、魚じゃないのに生で?
 そりゃ面白いや、たしかに旨そう。」

きれいに成形された真っ赤な肉片は
繊維が密で細やかでとてもとても柔らかだった
柔らかい肉になるよう囲い込まれ、撫でまわされて育てられたのではなく
天然の、上手に殺されたがゆえの柔らかさで
美味とは,快感にさえ直結しているとわかるものであるところに
「悪い、すごくお前が嫌がること言っていいか弁慶」
うっとり目を閉じて咀嚼する彼に、竜馬の声がした
「この柔らかさってさ、とっても―――に似てる」

学会帰りの早乙女と隼人は、隼人が新幹線で煙草の臭いをたっぷり付けられた髪を、何をおいても洗いたいとシャワーに直行し、多分戻らないと思うぜそのまま寝るおやすみとまで言って行ったから、部屋着に着替えた早乙女だけが、おやこちらの夕食は何だったのかね随分賑やかだったようじゃないかと聞けば

隼人の腰肉(サーロイン)だったそうですよ、と、なぜかぜいぜい息を切らし、たいそう不本意そうに弁慶が言い、
こちらも散々走り回ったか逃げ回ったように肩で息をしつつも、至福の歯ごたえ舌ざわりあふれるもの嚥下の感触を脳内で反芻していた竜馬は噎せた後、それ言っちゃうかいとくすくす笑った
暖炉の炎が若い満たされた表情の頬をてらてらと赤く照らした。

四月一日
嘘をついてもいいというのに、誰もそんな柄じゃなかった日。


(fin)