はるのの(太陽暦)
猟友会の皆さんは出ません 五半でちょいリョハヤ ハルニラは実のところ青みじゃなく薄紫みを帯びていますが、わかってやってますので見逃してください

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近場の野においては最近様相がやや変わり、春の草が一人生えしてくれぬ、こんなときのため里の者が寄せて植えた蕗(ふき)ばかりがやたらむくむくと育ち日々の菜として膳を飾ってくれるーーが、
「蕗は手伝いで剥き飽きたわ」
と、このところ暇な五右衛門が転がり込んできた、「蕗は食い出があるでの、いきおい他の菜にもろくに肉っ気がつかねえ」
味噌汁のなかでふやけた煮干しばかり噛み締めていたら、自分まで干物のような顔になってきた気がして逃げてきたのだと言う。伊州はほんのわずか、彼の今の根城より海が近く川もある。
「なんじゃろうな、あそこも昔は近場でお釈迦様の花祭りの花もいっしょに篭いっぱい摘んだじゃろ」
「ああ」
「おぬしがげんげのかんむりを編んでくれたんじゃったのう」
あれでな、わしは俺は、しあわせだなぁぼくはきみといるときがいちばんしあわせなんだぼくはきみをいっしょうはなさないぞいいだろうと
「やめぬか、加山雄三が台無しじゃ」
遠い、遥か遠い昔には天真爛漫弾けるような元気な美童と呼んでなんらさしつかえの無かった男の、小山のような体躯を見上げ、
「植生が変わったんじゃろうのう」
と、半蔵は早乙女研究所の人々のような言葉を使う。変わりだしたらあっという間じゃ、と。
「さて着いたぞ、つくし御膳を振るもうて欲しければたんと摘んでこい」
「おお、良いのう、ヨモギも豊作じゃ春の匂いじゃ!」
アクを取ったら団子にしようなど言っているあたり、この野辺一帯と土蔵を食いつくされはしないかと要らぬ危惧もしつつ、半蔵もまた春の無邪気なほど熱い日差しとまだ幾分冷たい風に艶のある長い髪をなぶらせる
そういえば先日飛んだのはあの若者達が共に戦い始めて程無い頃で、同じ春であったなと思い出す。
あと三百年ほど後にようやく玻璃の花器と共にやってくる白い野の花を一輪摘んでみた竜馬はしかしそれをどうしたものか、手の中でもてあましたようだった。野の少し離れたところでは隼人がくさはらに無造作に寝転んで、組んだ両腕を枕に目を閉じていた。ちいさな雪洞のような白くまるい花がその寝姿の周り風にそよいでいた。研究所の庭からあふれた同じ白の花韮がそれにまじり微かな青を添えているところまで確かめたあと、「ああなんだ摘まなくてよかったんだ、これも花見か」と竜馬はすとんと花の上腰を下ろした。眠っていたはずの隼人がこっそり薄目を開けちらり笑った。
そんな光景を思い出していた半蔵の耳に、「はやとぉシシじゃあ」いったぞおとの叫(おら)びがあった。
子連れ猪(シシ)はかくて憐れ、春の思いがけない牡丹となりその日の里は一日煙と湯気がもくもくとし。半蔵は軽い溜め息とともに、少しばかり早いツツジの白をひとなでした。
ほんの数間先には母子を吊るして捌いたあとが、黒く乾いた水溜まりとしてそこにある
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