mishiadd
2024-11-17 18:56:00
50668文字
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Gothic.

生き血を啜りながら永遠の時を生きるセイバーといつか彼に仲間にしてもらうために後をついていく伊織くん(少年期~青年期)の時系列ぐちゃぐちゃ連作ゴシックホラーパロ。いつもの感じのろくでもない剣伊。【型月世界の『吸血鬼』概念ではなくもっと一般的な(村が死によって包囲されてたりギムナジウムに小鳥を迎えに行ったりニューオーリンズでフランス貴族に自分は与えられなかった選択肢を与えられたりする)所謂やつです】成仏できなかったハロウィンの亡霊とは私のことダヨォ!





奇妙なふたり連れだった。

見目は麗しく、身なりも整っており、女の方は奇妙な衣を着ていたが、とはいえ外見の上ではそれ以外に特に不審な点は見受けられなかった。
若い似合いの夫婦か、もしくは事情あっての駆け落ち――宿屋ここでは特に珍しくもない修羅場ドラマには目を瞑り、余計な詮索をせず、ただ粛々と宿泊の手続きのみを進める。

奇妙だ――と思ったのは、彼らが口を開いてからだった。
ふたりのうち、すらりと背の高い、二十代前半頃の若い男が言ったのだ。

兄さん。部屋は一部屋でいいな?」
「イオリ」

女の方――だと思っていた、可憐な顔をしたせいぜい十代の白い衣を着た方が、にこやかに言った。

「そうだな。わざわざ分ける必要はない。――ああそうだ、忘れぬうちに言っておこう。食事は不要だふたりで、外で食べてくるのでな」
……あい」

男の方が一部屋分の金子を払い、それから悠々と――随分仲睦まじい様子で、ふたりで連れ立って廊下をくだっていく。



その背中をなんとなく遠目に見送り――「それにしたってその呼び方はよせ、イオリ」と少年がいたずらっぽく笑うのをかすかに聞いた。









《最終話・浅草寺にて》・了



Gothic. 了