osorakirei_
2024-05-20 18:18:49
19184文字
Public 小説
 

# いいねした人をイメージして小説の書き出し一文

※前提としてタグ改変をしています。書き出し一文でイメージが伝わるわけがないため、500〜1000(+100)の掌編として書いています。



さんがつの歌

「本日の議題」
……世界平和」
「うーん、今日は規模が大きいなあ」
 背もたれに体を預け、天を仰ぐ。煌々と輝く蛍光灯が眩しい。目が焼けるほどではないけれど、これだって長い間直視はしない方が良いんだろうな。あまり言われてない気がするけど。
「世界平和って結構メジャーな願いだよね、七夕の短冊によく出てくる文字列トップ10くらいに入りそう。統計とか知らないけど」
「でも実際問題無理じゃない? 戦争や暴力がない状態って、戦争はまだ分かりやすいとしてもさ、暴力ってどこまで? 喧嘩あるなら暴力が伴う場合もあるし平和じゃなくない? でも喧嘩出来るだけ平和なのかな、ぶっちゃけ無駄だもんね。内容にもよるか」
「くだらないことに熱意を持って興じれる状態は平和と見られやすいかも」
 室内は静かだった。そう、わたしが話し出すまではとても静かな空間で、元々おしゃべりが推奨されている場所ではないのだからそれは当然のことなんだけど。
 金曜日の放課後、図書館に訪れる人は殆ど居ない。それをいいことに委員会の仕事なんておざなりに、ここで毎週のように会議――とは言いつつかなり一方的なものだ――を行っている。やり始めたの二月とかだけど。隣に座る彼は控えめで、わたしが十を話しても返ってくるのは一程度。カウンター内に漂う言葉は殆どがわたしのもので構成されている。今日は一より増えるかな、と思ったところでずっと気になってたんですけど、いいですかと彼が切り出す。増えたね、どうぞ。
「これ、楽しいんですか?」
「君は楽しくない?」
「まぁ、正直……
「だろうなあ。わたしが楽しいものに付き合わせている自覚はあるよ。ごめんね!」
 彼の時間を食い潰していることに対して素直に謝罪をすれば、いや……と曖昧な返答。言葉を濁すにもほどがあると思わない?
「意味もないのに……
「ないからこそ、ね」
 意味や必要があることだけやってたら気が狂って死んじゃうよ。人生を豊かにするのは無意味なことだよ。言えば彼はえぇ……と眉を寄せる。どうも腹落ちしないらしい。分かりやすく話してるのに。でもまぁいいよ、君はわたしじゃないから。
「じゃあ来週の議題はわたしが出そう! せっかくだし。宿題」
……変なのはやめてくださいよ」
「失礼な! 大丈夫だよ、むずかしくないから」
 わたしたちはこうして同じ言語を使うけど、見事に同じことがない。言い方も、抑揚も、意図も、全部何もかも。重ならないのが別個体だという証左。異なるからこそどれだけ月並みで使い古された言葉でも、他人の表現として聞きたくなる。
「卒業するわたしに贈る言葉は?」





・・・・・・ ○風味さん
もち 骨あるらしいってほんと? 考えるのが好き パズルが好き ぬれた猫
ふわふわ ○○の歌が実は地味に好き これはイメージではないな
マギロギの人
“クロスワードパズル” 正解はない あなたとわたしの共通項
足りなくなったらまた枠を広げて埋めていく
縦5列、横5列 25マス 交叉する言葉を探している 同じ言語を使うのに同じことがない

ついぞ交差もしなかったけど、そんなもんだ。
・・・・・・

クロスワードパズルやらあなたとわたしの共通項やらいい感じのものを挙げていたのにどうにも書きにくくて一切使いませんでした。方向性を変えたらめちゃくちゃ書きやすくて慄きました。
さんがつがひらがななのはすみません、スラングです。普通に三月の意味もあります(卒業シーズンだし)。
三月って卒業生は授業もないし委員会も多分ないと思うんですけど、記憶がもう曖昧なので、この学校では好きにしてもよいということとします。
毎週金曜日の会議は確かに彼女の人生を彩る時間でした。