osorakirei_
2024-05-20 18:18:49
19184文字
Public 小説
 

# いいねした人をイメージして小説の書き出し一文

※前提としてタグ改変をしています。書き出し一文でイメージが伝わるわけがないため、500〜1000(+100)の掌編として書いています。



私のエゴだ。

 拝啓から始まる手紙の書き方を私は知らないものとしている。
 広げた紙の中に頭語の二文字は収まらない。代わりに切り取られた今日が、狭苦しく居座っている。ペンと思考を伴うだけで、たった一ミリの段差に躓いて出てこられなくなる。こんなに大きくたって。本来は果てがないものなのに。
 一日に一度、窓の横に置かれた机に向かう。手紙を書くのだ。夕暮れ時に広がる赤に目を細めながら、早朝の白に大きく羽を伸ばしながら、夜の深い紫に身を委ねながら、真昼の日差しに耐えながら。誰に見せるわけでもなく、渡しもしない手紙を。私にとってはそれは、手紙なんかじゃなくて日記なのだけど。とにかく毎日、一つずつ。一筆箋、便箋、コピー用紙、スケッチブック、原稿用紙、半紙、チラシ。使う紙は日によってまちまちで、インクの色も定まらない。不揃いの手紙は不作法だけど窮屈なのは言葉だけでいいから改めない。重なった封筒は私のための小さな人生の寄せ集め。
 地球儀を作りたかった。積み重ねた手紙を切って、貼って、それで。
 日々の切り取りは私の一部と同義だ。何を見て何を感じたか。何を食べて何を気に入ったか。何を嫌ってどこで泣いたか。空の色はどう映っているか。雨音はどう聞こえているか。言葉という枠は狭く、果てない世界にはあまりに窮屈で、質量を伴った瞬間形が変わってしまうことはさみしかった。この感情だってもう本質とは異なるのかもしれない。だけどどうしても、私は見たかった。表現したかった。欲しかった。私の言葉で具現化させた世界が。言い表せもしないような、心を惹きつける景色や概念を、捕まるはずのないものたちを踏み荒らしてまで、どうしたって。
 私のものにしたかった。





・・・・・・ ○あまゆぎさん
天球儀? 空!!小説!!あと最近めっちゃ料理頑張っててえらい すごい
渡せない手紙 日記 ただ誰に見せるでもなく ひとふでせん 便せん コピー用紙 スケッチブック 原稿用紙 半紙
切って貼って、それで、地球儀をつくりたかった 私の世界を私の言葉で表現したかった
言葉という枠に収めてしまうのはあまりにきゅうくつで形が変わってしまうことにさみしさを感じた 制限のある世界の美しさを見たかった 私のエゴだ 私のものにしたかった

窮屈さは美しさ、だって十七文字は皆を惹きつける。
・・・・・・

以前にTwitter(現X)で「言葉にしてしまうと限界を決めてしまう(本来はもっと違うもののはずなのに)」のようなツイートを見て、そういった話も入っています。
言葉でもって表現をする我々は、ただ近いものを必死に探してそれと定義することで見せかけているだけで、果てなんかないものを型に押し込めて固めてしまうのはもしかしたらとても酷いことなのかもしれませんね。自分にとっても。全ての感情や感性を言語化する必要は本来ならないはずで、形を持たせてしまえば目に入れないわけにはいかなくなりますから。