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さの
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一次創作BL
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〈前編〉紺色彼氏とオートクチュールプラン
16000字ほど〈前編〉 一次創作BL「レンタル彼氏」物 社会人CP 眼鏡年下大型ワンコ×紺色が好きな、しっかり者だが変わっているところがある美人 ハンドルネーム上の名前は櫂人(かいと)×透萌歌(ともか)です。一日デートと後日談。
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物陰とはいえなかったが、人の行き交いとやや離れた、街路樹のあいだにベンチもあるようなスペースだった。このあたりでいいかな、というかんじで見回しつつ歩みをゆるめる。
近い距離で、レンズ越しで無く、ごく自然に見上げて眺めた。
櫂人くんの、印象
……
黒髪で地味というより、むしろ高身長で目立ち、全体的に、真面目な、沈黙を好む、物静かで几帳面そうな男性だった。
手荷物のバッグというかカバンもセンスが良いというか、似合っている。シンプルなモノトーンの。
「
……
あらためまして、えぇっと
……
っ透萌歌です。今日はよろしくおねがいします」
僕は可愛い子ぶって頬に片手をやって、名乗った後にゆるく小首をかしげるような調子で言った。もう遅いかもしれなくてもプランの通りのキャラクターをがんばる。
が、それはそれとして、ちょっと現金な話を、文字通り、前提システムの料金の払いの話をしなくてはならない。
デートの前に、携帯で支払いの、前払いのやりとりをするのは何も可愛い話ではないから、もはや、こそこそしたかんじで携帯を掴み寄って、一日デートコースについて、払ってもらう額について話す。
でも女性相手になら、こんなシーンも普通にスマートに器用に、流れるようにできるのに、と僕は苦く思った。
初めてで、全然、今日のこのシーンの勝手がわからない。
「新人だから僕
……
それと櫂人くんは初回なので、二十パーセント割引。あと
……
」
僕は最後、言いよどんだ。
そうしたら、なぜだか、背筋を伸ばすようにして櫂人は、何かかまえるように表情に力が入った。唇がむすと歪む。
何だろうと思った。
「
……
? あの、六月は
……
ジューンブライドキャンペーン実施中で、僕はノミネートしているから、さらに五百円割引して
……
」
と言うと、櫂人は、かまえた表情から、なぜか当惑した表情に変わった。僕に何を言われると思ったのだろうと考えながら、よって、この請求額ですと携帯を操作し、支払いの画面のコードを送った。
六月のジューンブライドキャンペーンにノミネートしているということを言いよどんだのは、僕はもう今日で辞めようと心のなかで決めていたから、なんとなく「ジューンブライド」という単語が、すぐに口からでてきてくれなかった。
同性も結婚できる法律ができて幾数年。
櫂人くんみたいな人
……
と僕はついさっき出会ったばっかりの年下の青年をそういう気持ちでちょっと見てしまっていた。だから、「ジューンブライドキャンペーン実施中」をすぐに口にできなかった。
こちらも少しだけ「確認してもらっても?」と戸惑いの顔で見ると、当惑を真面目な表情に近いものにして、無言で櫂人は掴んだ携帯の画面に眼鏡越しに目を落とす。
大きい手の、使っている携帯のカバーを観察していると、僕の携帯画面の表示がコードから支払いが終わったことを知らせる。
次回、使えるクーポンを、続けて渡すのだが、僕は迷った。
今日で辞めるのに。
次はないのに。
でも、そうか。
別に、僕がいなかったら、僕じゃない人にクーポンを使うのかと思って、僕は息を吸って「気が早いけどぉ、コチラまたのご利用お待ちしています♡」と誘いかける文句を軽く言おうとして、櫂人の顔をまっすぐ見て
「
……
」
言えなかった。手元の携帯の、クーポン送信も、できなかった。
見上げて黙りこんで立ち尽くしたような僕を、櫂人は「どうしたのか」というように難しいような仏頂面で睨んでいた。
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