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さの
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一次創作BL
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〈前編〉紺色彼氏とオートクチュールプラン
16000字ほど〈前編〉 一次創作BL「レンタル彼氏」物 社会人CP 眼鏡年下大型ワンコ×紺色が好きな、しっかり者だが変わっているところがある美人 ハンドルネーム上の名前は櫂人(かいと)×透萌歌(ともか)です。一日デートと後日談。
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熱っぽく、ふわふわしかける頭をなんとかしたくて降り立った駅のホームで、出発する電車の強い風に吹かれた髪を疏いたフリをしてかすかにふるふると頭を振り、しっかりしろと思う。
後ろに立つ櫂人に顔を向け、手に意識をやった。ここでつなぎ直すか、ためらって、かわりに僕は、「櫂人くん」とはっきりと呼んだ。
並んで歩く。
改札から、駅を出る。
午前中の薄く曇ったほの明るい空はところどころ雲のすきまから弱い陽射しが地上へ落ちていた。
街路樹というよりも林のような生籬の続く道で、曇りのせいか、景色の輪郭は淡く滲んでいるように見え、緑の匂いがする。
今日の完全に僕の好みの、行きたい場所のひとつめの美術館へ。
全国的に高い知名度はないがこの地方の観光スポットとしておなじみで、雑誌によく載っている。
事前に、プランの全容は文面で送ったから、櫂人もこの道がどこへ向かっているかわかって歩いている、おそらくきっと。
目指している美術館はメルヘンとか思われる類いでそういった場所にひとつも興味なさそうだと僕は横顔を観察して、やっぱり不安に思った。このあたりはもっと有名な、デートに適したレジャースポットやご当地の土産物市場のようなスポットもある。
手をつながないで、とことこ歩く足に目を移して考えて、そう、ここで予定を変更したって全然かまわないと告げようとした。
あたらめて見上げて口を開くまえに、櫂人の横顔がほんの少し、何か思い出したように、やわらかく笑ったのを見て僕はびっくりした。
「
……
しおり」
と、おかしそうに呟いて櫂人は携帯を持ち上げて見た。
たぶん、そこで見ているのは、櫂人から「楽しみ」と返事をしてもらったあとに、僕が作って送った、今日のプランの旅のしおりのような画像だろう。
僕はデートプランを決めたら、ポップなかんじのしおりの画像を作って送るのが常だった。これは女性にはウケが良く、わかりやすいと好評だった。
でも今回は、作ったらいいか相当悩んだ。
しかしプランを、一枚にまとめたものがあると便利だろうと作った。
それでも、送信した後も、べつにこんなの要らないかとも思った。
そして、送った後の反応も、「よく解った」しか無かったから、ほら要らなかったと僕は、送らなければよかったと少しベッドで落ちこんでいた。
だから、こんな、やわらかく笑う櫂人の姿に、僕はびっくりするとともに、作ってよかったと思うとともに
……
優しい、楽しそうな笑みに、キュンとした。
こんなキュンとしたことは初めてで、ぽわぽわして足元がおぼつかなくなりそうだった。
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