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鹿
2023-10-07 22:53:16
10468文字
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ある狂人の独白
凄烈鬼と自由の剣、開催誠にありがとうございます。
このお話は土斎と思って書いておりますが、斎藤は最初から最後までずっと死んでいて、土斎はお互いモブ女性と結婚しています。
予めご了承ください。
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窓に叩きつけるような雨音で目を覚ます。会社からは出社を見合わせるよう指示が出た。伸びた髭もついた寝癖も直す気力がなかったのでちょうどいい。だが身だしなみも整えられない状態だと、結局リモート業務にも身が入りきらないものだ。ダラダラとした進行で業務を進めていると、ふと、携帯にメッセージが来ていることに気がついた。
『風すごかったけど落ち着いてきたね、そっちは大丈夫だった?』
リモート勤務だったし特に困ることはないと返した。しかし頭がぼんやりしていて誰からのメッセージか認識できていない。たっぶり二時間考えて、自分の婚約者からであることに気がついた。
そして、気づいた瞬間に全てが間違っていてずれていて気持ち悪くて仕方がなくなった。
斎藤一が死んだのに、一丁前に幸福を掴もうとしている土方歳三とはなんなのだ? それのどこが最後の新選組だと言うんだ?
以前に自分に問うた答えが見つかった。許せないのは死んだ斎藤一ではなく、自分だ。新選組がぶれていては、新選組を絶対に裏切らない男だって立つ瀬がない。
そうだ、こんなのはおかしい。正さねばならない。
──あんたはそうやって死ぬまでやってりゃいい──
あの日斎藤は、絞り出すような声で戦場にゆく自分を見送ってくれたではないか。
これ以上、あの男の献身を、踏み躙って良いはずがない。
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