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鹿
2023-10-07 22:53:16
10468文字
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ある狂人の独白
凄烈鬼と自由の剣、開催誠にありがとうございます。
このお話は土斎と思って書いておりますが、斎藤は最初から最後までずっと死んでいて、土斎はお互いモブ女性と結婚しています。
予めご了承ください。
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斎藤一が死んだ。
これはかの男を誰より信頼した土方歳三にとって信じ難いことであったが、世間にとっては稀に起こり得る不幸のひとつ、ニュースにもならない出来事でしかなかったらしい。
『はい
……
体は丈夫なたちだと思っていたので、私もまだ、驚いています』
病気というのは、人から信頼されているからといって防げるようなものでもない。そんなことは百年以上前からわかりきっていたことだ。それにいくら生き残りに長けた男とはいえ、別に不死身なわけでもない。
だから、土方の預かり知らぬところで、斎藤がこんなにつまらない死に方をするのだって、当然あり得ることではある。
そういう理屈は理解できても、土方はまるで納得できていなかった。ご愁傷様ですとか、そうとは知らずに申し訳ありませんだとかいう言葉を口にはしたが、全く実感がわかない。
『
……
あの、すみません。主人とはどのようなご関係で
……
?』
電話口の向こうの声は、困惑しつつも落ち着いた、聞き取りやすい声で、斎藤もそういうところを気に入っていたのだろうかと考える。斎藤がいつこの女性と結婚していたのか、それも土方は知らなかった。
「大学のOB会で知り合って
……
一時期、親しくさせてもらいました。最近は連絡できていなかったのですが」
今日初めて話した、いかにも善良そうな女性に伝えるべきでない情報を省くと、自分と斎藤はその程度の関係でしかないと、土方は今更になって気づく。
「式に、来てもらいたかった
…………
残念です」
『ご結婚なされるんですか?』
「
……
ええ、はい」
それは、おめでとうございます。何もうがったところのない声が、いやに遠く感じられた。
その後どのように会話を切り上げたのか、よく覚えていない。
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