お芋さん太郎
2022-06-03 21:08:54
21068文字
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ドキッ! 護衛なしでお友達と初めてのお泊り花火大会 in 熱砂の国

※ツイステ
※ディアソムニア寮
※オリキャラ
※アリアーブ・ナーリヤ

以前pixivに投稿していた作品です。





『こちらゾウさん組。ザハブ市場と看板のある市場にて寮長を発見した』
「でかした! 寮長は無事か!?」
『無事ではあるが少々やっかいだな」
『なんだと!?』

ゾウさん組がマレウスを見つけたのはラクダバザールからさほど離れていないザハブ市場。
いたるところに色の溢れる場所ではあったが、幸いマレウスは誰が見てもうっとりするほどの美しさだ。
遠巻きにされるか、逆に寄り付かれるか、人の流れに不自然さを感じる場所を上空から探せば自ずと場所は絞られる。

上空からマレウスを発見したゾウさん組は地上班が到着するまで二手に分かれて、ジャスティンとホーレンスの二人が地に降り立ってマレウスを見守ることとなった。
そしてよくよくマレウスの状況を察し、かすかに顔をしかめた。

「これは俺の幻覚じゃあねェよな、相棒」
「お前にも『強引な女店主に踊りながら商品を売りつけられてタジタジしている寮長』が見えてるってのなら幻覚じゃあねェな」
「まいったな」
「幻覚の方がいくらかマシだ」

ザハブ市場のとある陶器の屋台。
定番のブルーをはじめ、鮮血のような赤、新芽を思わせる緑、深みのあるグレーなど、色とりどりの陶器が並ぶ。
繊細な熱砂特有の形をしたティーセットや重量感と高級感に溢れた水盆など、品質はかなりよさそうだが、その分値札に書かれてある価格はゼロの数がやたらと多い。
万が一にも傷などつけないように、二人はそろりそろりとマレウスとの距離を詰めた。

女店主は気さくで陽気だった。服と雰囲気からマレウスを高貴な者とアタリを付けたのだろう、商品の間をクルクルと回りながらアレはコレはと商品を勧める。
いつしか年頃の娘もダンスに加わり、隣の店主とその子供たちがコーラスのように歌い始める。

宴好きのスカラビア寮生であれば迷いなく一緒に歌って踊りそれでいてあっさりと断ってしまうのだろうが、普段から静かで厳かなディアソムニア寮で暮らすマレウスにとってそのハードルは姫の囚われた塔よりも高いというもの。
完全に雰囲気に酔ってしまっていた。

「アーこれは俺らが」
「何とかするしかないよなぁ」

混乱したマレウスが無意識に魔法を使ってしまえば、良くて迷子、悪くて更地だ。
楽しい旅行の続行のためには、なんとしても阻止しなければならない。

ジャスティンとホーレンスは帽子とサングラスを装備し直し、互いに目を合わせて頷いた。
何のことは無い、女店主の気を逸らすだけだ。

そして商売人の気を逸らすといえばこの手しかない。

「アー店主さん、こちらの皿が欲しいのですがおいくらでしょうか?」

ホーレンスが歌の合間に店主に声をかけた。

商売人の気を逸らすには商売の話がもってこいである。
店主が近寄ってくる間に二人で「お前、手持ちいくらだ?」「もっと小さいやつにしろよバカ!」と小声で話す。

「お客さんお目が高いね! 自分で使うのかい?それとも土産かい?」
「祖母が器に目がないもので、お土産にと」
「これはここいらじゃ有名な職人の一品さ、アンタの祖母も気に入ること間違いなしだよ! 見ておくれ、シンプルに見えるがこの文様は水を表しているんだ。色合いが華やかで~そして実に!」
「「「美し~~~い~!」」」

ミュージカルが始まった。
寮長、今だ。今のうちに逃げてくれ。