この者を毒として、愛と成す(Dom/Subユニバース うちよそパロ)

うちよそオスラッテ、またパロった。リクエスト多かったDom/Subユニバース初めて書きました。

















 目の前に敷かれた布団、彼はあの時と同じ部屋で静かに眠っている。

 分かっている、こんなことをして彼の信用を壊してしまう可能性があることも。それでも、手に入れられると分かってしまった以上、容赦が出来なかった。
「どうして、兄さんはいつもそうなんですか」
 先程まで診察をしてくれていた彼女もあの時と変わらない半分呆れ、半分怒りの表情だ。この1ヶ月彼を診てきた治療師として、この屋敷で暮らしていた身内として、俺の行動には容認できない部分が多いのだろう。
「クルーシュさんが起きてから、何を言われても自業自得ですよ?」
「分かってるさ、ウゲツ。覚悟はしてる」
 起きたら、彼には真実を告げるべきだろう。そうしなければ、この関係性はいつまでも偽物のままだ。



 今から1ヶ月と数日前の出来事。
 俺は幕府からの、そして父上からの命令に従い、クガネに赴いて1人の有力だった役人を処した。罪状は密輸、遠き西のエオルゼア、砂の都ウルダハで禁制とされている香や麻薬をクガネに大量に持ち込み隠していた。それらがもしここで蔓延すれば、民は快楽をただ追い求めるだけの廃人となり、国にとって悪影響でしかない。そう判決が下されたことにより、俺はあの日の夜に根城に忍び込んで奴を切り裂いた。何も分からないまま絶命したであろう奴の驚愕した表情は、貼り付いたままゴロゴロと床に転がった。
「いくら上からの指示があったとはいえ、跡を残すほどやるものじゃないよ。片づけが大変になるじゃないか」
「そう言いながら、仕事が終わった後の奴のテリトリーで一服してるお前もどうかと思うが」
「いいんだよ別に。俺らの仕事は証拠物品の押収だけで、それもすぐに終わって暇だったんだから許してよ」
 同行してくれた師匠たちのやり取りでも、そう苦言を呈されたような覚えがある。金茶色の髪をしたヒューラン男性からは濃い煙草の香りがしていた。
「そうだディル。証拠の書類の中に1つ気になるものがあった」
 自分と同じ黒い角を持つ黒髪のアウラ男性から渡された1枚のメモには、数日後にウルダハからある職人が派遣されることについての詳細が書かれていた。奴の手配で望海楼の1室は既に予約されており、そこで落ち合うことになっているようだ。その職人にはウルダハ式の錬金術の心得があるようで、そこから予測されるのは密輸していた品物に関することだろう。
「エオルゼアから来る、ということは恐らくはもうこの職人は船に乗っているだろう。もしこいつから情報を引き出すことができれば、ウルダハから関連してると思われる商人たちの炙り出しも出来るかもしれない」
「そうですね、ではこの職人がクガネに到着したところを狙って事情を聞いた方がいいでしょうか」
「うん。でもいつもみたいに尋問はできないよ、外の国の者に対して危害を加えた場合は面倒なことになるからね」
……なら、この職人についてはおふたりに任せてもいいでしょうか。俺は立場上、むやみやたらに外で動くわけにはいかないので」
「へえ、じゃあ今度はもう少しお淑やかに仕事したほうがいいよね?」
 先程まで奴が転がっていた、壁や床にべったりと血が付いている部屋の中。俺に冷笑を向ける彼らには今も昔も逆らえない。それはもう充分に分かっているのに、この時は異様に苛々していて仕方なかった。



 そして、職人がクガネに到着するであろう日の昼過ぎ。
 現地での交渉については俺の師匠であり、父上の優秀な部下でもあるヴァスクさんとシンさんに任せ、俺はクガネにある我が家が所有する屋敷で今回の件についての報告書を作成していた。元々ああいった話し合いには慣れている人たちだ、大雑把に0か100しか出来ない自分よりも上手く情報を引き出してくれるだろう。彼らの連絡を待つ間、書き損じた書類をくしゃくしゃに丸めては後ろに放り投げ、なかなか進まない作業に気が滅入りそうだった。
 しかし突然、予定よりも早く手元のリンクパールが光り鳴る。そこから聞こえたのは、普段では滅多に聞くことのない焦りの含んだヴァスクさんの声だった。
「ディル、今すぐそこにウゲツさんを呼んでくれ。緊急事態だ」
「ウゲツを? 何故……?」
「標的が突然倒れたんだ。意識がなくて、呼吸や脈も弱い。恐らくは……いや、詳しくはそちらに運んでから話そう」
 そのまますぐに通信は切られた。俺はそのまま速やかに、妹であり優秀な治療師を勤めているウゲツに事の次第を説明し、彼女の指示で空き部屋に布団を敷いて彼らの到着を待った。