この者を毒として、愛と成す(Dom/Subユニバース うちよそパロ)

うちよそオスラッテ、またパロった。リクエスト多かったDom/Subユニバース初めて書きました。



 次の日の朝は、ばっちりと目が覚めた。元々朝が弱いのでどうしても覚醒まで時間がかかるのだが、今朝はそんなことが全くなかった。もしかしたら、クルーシュとプレイをした影響なのかもしれない。枕元には1枚の小さなメモが置かれており、内容はクルーシュの荷物の調査結果についてだった。そういえば昨晩、師匠たちからの報告を聞きに行くのを忘れて寝てしまった。詳しい報告についてまとめた書類は俺の自室に置いてあるらしいので、あとで読ませてもらうことにする。
 隣の布団を見ると、クルーシュは昨夜と変わらずスヤスヤと寝ていた。その様子を微笑ましく思いながら見ていると、少し経って目を覚ましたクルーシュがこちらを見て驚いてしまったようで、布団の中でピョンと軽く飛び上がってしまった。
 それから一緒に朝食を食べて、ウゲツにクルーシュの診察をしてもらった。昨日と比べると飛躍的に回復しているようで、しばらくは軽いプレイや触れ合いをしながら様子見をすることになった。その後は溜まってしまった書類仕事をこなすために執務室に行こうと思ったが、そうすると日中のクルーシュは暇になってしまうだろう。そこで、俺はあえてクルーシュを執務室に招いてみた。彼はそのまま素直について来てくれて、試しに膝枕をしてみないかと提案してみると、彼は一瞬困惑したものの横になってくれた。そうして彼の頭を撫でつつ書類を片づけていたが、昨日と違って効率よく進めることが出来ている。これもまた、プレイによるものだろうか。彼もこちらのやることを覗き見する様子はなく、ゆったりとくつろいでいた。詮索する様子がないことも俺にとっては信用に値する。
「ふぁ……
 ふと聞こえてきたクルーシュの欠伸に気が付いて、一旦書類作業を中断する。
「眠いのか?」
 頭を撫でてあげながら彼を見ると、昨夜と同じように眠そうにしていた。一度布団に寝かせてあげてもいいが、今は傍を離れてほしくない気持ちもある。
「ちょっと、だけ」
「まだ身体も本調子じゃないだろうし、寝ておきな」
「う……
 クルーシュはそのまま動かず、目を閉じて眠り始めた。このままだと膝を貸している俺も動けないままだが、むしろサボりのために動けなくなったと考えればいいだろう。結局作業は最後まで捗っていた。



 もうそろそろ正午になるであろう頃、もぞもぞとクルーシュが動く感触がした。
「ぅ……う、んん……っ」
 このまま目を覚ますならちょうどいい。起きたら昼食へと誘おうかと思っていると、ポツリとクルーシュが呟いた。
……ぇ、っと……ぁ、に……
 どうもまだ夢を見ているようだ。ただ彼は少し顔をしかめていて、このままだとまたあの時のように苦しんでしまうのではないかと不安になってくる。
……ねぁ…………く」
 表情が戻る様子はない。悪夢を見ているかもしれない。眠っている途中で起こしてパニックになってしまう可能性もあるが、それでも俺は既に行動していた。
「クルーシュ、聞こえるか? 起きてくれ」
 軽くクルーシュの身体をポンポンと叩いて刺激する。するとすぐに目を覚ましてくれて、ボーっとしつつもこちらを見てくれた。
「クルーシュ、ごめんな起こして。そろそろ昼飯が出来るから食べようか」
「んー……う、はい……
 身体を起こした彼はまだ眠そうに目を擦っている。そんな彼の目の前に俺を手を差し出した。
「ほら、おいで」
 その手に気が付いたクルーシュはすぐに嬉しそうに微笑んで、そっと優しく触れてくれた。



 あれから、毎日3食きっちり食べてゆっくり身体を休めたクルーシュの体調は回復していき、1週間ほど経つとすっかり元気になっていた。
 そんな時にちょうど、エオルゼアの方から俺に連絡がきた。リンクパール越しに聞こえてくるシェイの声は相変わらず元気そうで安心した。
「兄貴、頼まれていた調査についてなんだが、ひとまずは今そっちにいるっていうクルーシュの情報については一通り集め終わったんだ」
「そうか、なら報告をしてくれ」
 そこから聞いた情報は、霊災によって家族を失ったことや、各地のギルドを巡り職人として活動していること、それから今回こちらに来た経緯についてだった。
……なるほど、その商人が奴と結託している可能性があるな。元々押収されたものがほとんどウルダハにおける禁制品だったからな」
「ああ、詳しいことは今後も調査は続けるつもりだ。今はラインハルトが不滅隊と協力して調査に向かっているが、相手はそこそこ名のある奴だから、すぐに尻尾を出すとは思えないしな」
「そうだな。もしそちらで証拠が必要なようなら、出来る限り手配することは伝えておいてくれ」
「分かった……ああ、そうだ1つ伝え忘れてた」
「なんだ?」
「そっちにいるミコッテ、クルーシュって名乗ったんだよな? それやっぱり本名じゃないぞ」
 やはりそうだったか。予想はしていたが、やはり明かしてくれない理由があるようだ。
「冒険者ギルドに登録されている名前は、イオ・ト・バスドーラ。クルーシュというのはどうも通り名的なものに過ぎないらしい。彼は仕事をするときにはいつも自らそう名乗っているみたいだが、理由はまだよく分からねえ」
「ふむ、そうか。ではこちらでも引き続き様子を見ておく。ラインハルトさんにはよろしく伝えておいてくれ。お前も迷惑かけるんじゃないぞ?」
「わ、分かってるよ」
 本名を名乗ってくれないというのがまだ引っ掛かるが、今までの彼の言動を見てきて不審な点は見当たらない。師匠たちの調査報告にも、荷物には怪しい点はないということだった。願うことなら、彼には裏切ってほしくないものだ。



「ディルさん、改めて危ないところを助けていただいて、本当にありがとうございました」
「いやいや、人として当然のことをしたまでだ」
 ウゲツからも大丈夫だと言われたことで、クルーシュはようやく自由に行動できるようになった。このまますぐに奴の待っていた場所へ向かうのか、はたまたエオルゼアに戻ろうとするのか。彼の次の言葉を予想しながら待っていたのだが。
「あの時に助けてもらっていなければ、生きていなかったかもしれない命です。そこでなのですが、向こうの依頼主と相談した上で、時間が許す限りこちらの家にも何かしらお手伝いをさせていただきたいのです」
 まさかの残ると言い出したから驚いた。とはいえ彼の言う依頼主は既にいない。例えば、奴に組する者の復讐のために、こちらの内部の情報を掴み取る可能性だって僅かに残っている。
「いや、そこまでしなくても大丈夫だぞ?」
「そうはいきません。俺はある程度の家事はできますし、武器の手入れや防具の修繕などもそれなりには出来ます。なにかお困りのことがあれば、是非やらせていただきたいのです」
 クルーシュが礼儀を重んじており、働き者であるということはこの1週間共に過ごしてみてよく分かっていた。単に彼の善意によるものであるとしたら、それを無下にする方が失礼だろう。とはいえ、ここにいる間は様子見を続けさせてもらう。
……ふむ、ならば、無理のない範囲でやってもらおうか。もちろん働きに見合った報酬も出そう。依頼していた奴にはこちらからまた連絡を入れておくから、返事は追々伝えておこう」
「ありがとうございます!」
 そうしてクルーシュにさっそく家事を任せてみたところ……それはもう恐ろしい速度と精度で次々と屋敷中の手入れを済ませてしまったのだ。そこそこ広い屋敷故に、普段は人が入らないような空き部屋を毎日掃除することはないし、俺たちは父上と母上の方針のもとに自分のことは自分でするようにしていた。それでも彼は朝早くから食事を仕込み、全員分の洗濯物を洗い、どの部屋も廊下の隅すら埃が溜まっていない状態を維持するように掃除をし、更には解れた衣類の裁縫から庭木の剪定、塀のヒビの修繕までやってのけたのだ。正直、彼がここまで万能に動けるとは思わなかった。特に食事についてはこちらの特有の調理法についてもすぐに覚えてくれたり、また彼から提案されてこちらでも簡単に作れるエオルゼアの料理を作ってくれることもあった。俺やウゲツ、世界のあちこちを巡ることがある師匠たちにもこれらの料理は好評で、彼が台所に立っているたびに食事の時間が本当に楽しみで仕方なかった。
 そして、何よりも武具に対する扱いもとても上手かった。元々はエオルゼア様式の剣や防具などを扱うことが多かったようだが、試しにこちらでの刀や防具の手入れについて勉強させてみたところ、ものの数日でやり方を覚えてしまった。話を聞いたところによると、稀にこちらの様式の刀の修繕もすることがあったらしいが、ここで教えてもらったことでさらにコツを掴むことができたという。彼が手入れをしてくれた刀はどれも切れ味を落とすことがなく、丁寧な仕事ぶりが伺えた。
 ただ、問題があるとすれば、彼は真面目だが限界を見極めてくれないのだ。