この者を毒として、愛と成す(Dom/Subユニバース うちよそパロ)

うちよそオスラッテ、またパロった。リクエスト多かったDom/Subユニバース初めて書きました。



「久しぶりだな、ディル」
「お久しぶりです、ラインハルトさん。いつもシェイの奴が世話になってます」
「なに、アイツがいると旅路が賑やかになって飽きることがないよ、まあ今ははしゃぎ過ぎて疲れたのか寝ているところだけどな」
 再びエオルゼアから連絡がきたのは、クルーシュが来てそろそろ1ヶ月になろうかという頃だった。
「この間話した件のウルダハの商人についてだが、不滅隊によって密輸の裏がとれたことで身柄が拘束された。お前が提示してくれた証拠についても役に立ったと感謝していた」
「そうですか、よかったです」
「彼らが問い詰めたところによると、奴らの目的はウルダハの禁制品をそちらに一度輸送して、手の届きにくい他国で量産してから再び売り出すことだったようだ。今は香や麻薬の材料となる草花をそちらで育てる手筈を整えている段階だったようだ。エオルゼアの裏社会では中毒性故に今でも根強い需要があるものだ。高い輸送費などを考えても利益は莫大なものになっただろう。そして、その利益はそちらの奴と折半にするという条件で幕府の目をかいくぐれるように手配していたようだ」
「なるほど……では、クルーシュについては何か情報はありますか?」
「彼については、冒険者ギルドから正式に派遣された職人であるということで間違いはない。ただ、彼が派遣された目的についてはギルドと商人で相違がある。元々ギルドに依頼されていたのは『ウルダハ国内における長期的な薬品製作のために、ウルダハ式の錬金術を技術を持つ職人を派遣してほしい』ということだった。しかし実際……商人と奴としては『ひんがしの国での禁制品製造のために、ウルダハ式の錬金術の知識を持つ職人が欲しい』ということだったようだ」
「つまり、元々交わされた契約とは異なっていたということですか」
「ああ、それに万が一そちらの職人がひんがしの国での仕事を嫌がった場合は、禁制品を使って薬漬けにして無理やり働かせるつもりだったとも言っていたな。つまり彼については、可哀想なことだが奴らによって巻き込まれただけだ」
 これで、クルーシュ自身には裏がないことが確定した。同時に、これからの彼についてどのようにすればいいのかという問題も浮上した。
「ラインハルトさん、職人の処遇について不滅隊やギルドはどのように考えているかは分かりますか」
「ひとまず、彼について今回お咎めはないらしい。あくまでもギルドの契約に従って仕事をしようとしていただけだからな。冒険者ギルドについては厳重注意、商人については然るべき裁きを受けて牢にぶち込まれるだろうな。ただ、あの商人の名がそれなりに広まって醜態を晒している以上、こちらに帰ってきた時の彼の安全は保障できない。ウルダハは商人たちの結束が強い国だ。奴らに援助してもらっていた商人たちの逆恨みが、その職人に向けられる可能性も充分にあるだろう」
 今までの話を聞く限り、クルーシュにはもうこちらでの仕事はなく、エオルゼアに帰ったところで何をされるかは分からない。それに俺自身、彼に対して情が移ってきたところがある。今まで自分たちに対して最大限の恩を返してくれた彼を、このまま帰してしまうのが惜しくなってきていた。
……分かりました、なら今後については本人とも話し合った上で改めて決めようと思います。報告していただきありがとうございました。今回の調査依頼の報酬についてはまたご連絡させていただきます」
「了解した、報酬については特に待たないからゆっくり考えればいい。では」
 そう言って通信が切れた。今までの情報を改めて振り返りつつ、俺はクルーシュが本当に信頼に足る人物なのかを確かめる1つの策を思いついた。正直、彼についてはここでずっと暮らすことになっても大丈夫だと思う。だからどうなっても、きっと、俺はクルーシュをここに引き留めてしまうだろう。
 あちらにとって厄介の種になるのなら、こちらで育てて根付かせればいい。



「クルーシュ、奴から連絡が来たんだ」
 ラインハルトさんから連絡がきた次の日の朝、俺はクルーシュを執務室に呼び出した。
「明日、同じ待ち合わせ場所で待つそうだ。道が分からないようなら俺が送っていくが」
 俺が伝えたのは嘘の約束。彼が奴らのために逃げ出すか否かを見極めるためにこのような芝居をすることにした。しかし、彼は俺の言葉を聞くとしゅんと耳が垂れ下がり、俯いてしまった。少しだけ思考をしてから、クルーシュは口を開いた。
……そうですか、分かりました。では明日ここを発ちます。場所は道を教えていただければ一人で向かいますので、大丈夫です」
「そうか、なら後で道順を紙に書いて渡しておこう」
「ありがとうございます」
 ああ、分かりやすい奴だ。今ここで本音を言えSayと命令してやりたい気持ちもあるが、まだ我慢だ。一度ここに縛り付けてしまったら、立場的にも個人的にも離してやれそうにない。彼の言葉はあとでゆっくりと聞いてやろう。
 クルーシュが深々とこちらにお辞儀をしている間、俺は思わずにやけてしまう表情を抑えるのに必死だった。