pinopipi
2026-07-14 08:08:32
26803文字
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きみがいい

ヌヴィフリ/貴族パロ/捏造&改変だらけ/1P目の注意書き必読


一方その頃、ヌヴィレットは。
可決した法案を正式に法典へ記載するにあたり、それの体裁を整え、女王へ直接提出すべく執務室前に来ていた。
しかし何故か、扉を守る兵士の姿がない。例え女王が不在であろうとも、いつも必ず2名立っている筈であるというのに。ヌヴィレットは少々違和感を感じた。もしや何かトラブルが起こったのでは?と考え、一先ず状況を確認するため扉をノックをしようとしたところでヌヴィレットの動きがピタリと止まる。

『僕は、』

執務室の中から聞こえたのは、数週間振りのフリーナの声で。
そしてーーーー

『ヌヴィレットのことが好き。もし結婚するなら……ヌヴィレットとがいい。』

その美しい声色で紡がれたのは、ヌヴィレットの名と真っ直ぐな好意だった。

……………は、」

ドクン、と大きく心臓が跳ねる。
一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまう程の衝撃。
今、彼女は何と言ったのか。
好き?結婚?一体誰と…………今、私の名が聞こえたような……

ヌヴィレットはバクバクと暴れる心臓のあたりをギュッと押さえながら、半ば逃げるように素早く踵を返した。
ーーーー懸念するようなトラブルは何もなかった。兵士が立っていなかったのはおそらく、女王が人払いをしたからだ。今は取り込み中のようだし、また時間を置いて訪ねるとしよう。
普段よりも大股で急ぎ歩く最高審判官の珍しい姿に、すれ違う貴族、兵士、使用人の誰もが驚き、皆思わず振り返る。
だが、様子のおかしい最高審判官に声を掛けられる者など、その場には誰ひとりとしていなかった。

ヌヴィレットは自身の執務室に駆け込み、すぐさま扉に鍵をかけた。扉に寄りかかるようにぴたりと背中を預け、肩で息をする。
扉越しに聞こえたフリーナの声が頭から離れない。脳内でそれが再生される度にヌヴィレットの鼓動は早くなり、全身を巡る血液が沸騰したかのように熱くなった。汗ばんだシャツが肌に張り付いて不快である。喉が渇いて仕方がない。だが、水を取りに行く気にもなれない程に、ヌヴィレットは動揺していた。

……っ、これは夢に違いない。王女に対して失礼に値する。フリーナ殿下が私を………など、万が一にもあるわけがない!」

髪を両手でぐしゃりと乱しながら、ヌヴィレットは頭を抱え、きつく目を閉じた。夢なら早く醒めてくれと、必死にそう願いながら。