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pinopipi
2026-07-14 08:08:32
26803文字
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きみがいい
ヌヴィフリ/貴族パロ/捏造&改変だらけ/1P目の注意書き必読
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3日後。宣言通り、ヌヴィレットはフリーナの部屋の扉を叩いた。
「ごきげんよう。フリーナ殿下、いるだろうか。」
ヌヴィレットの声掛けから数秒。部屋の中から物音が聞こえ、扉に近付いて来る足音がした。
「ヌヴィレット
…
?」
フリーナが扉越しに名を呼ぶと、ヌヴィレットは「ああ、私だ。殿下に会いに来た。開けてもらえるだろうか。」と出来る限り穏やかな優しい声色で返した。フリーナは数秒間躊躇いを見せた後ーーー扉を小さく開け、その隙間から控えめに顔を覗かせる。ヌヴィレットはフリーナと目が合うと安堵の笑みを浮かべ、その場に跪いた。
その瞬間、ヌヴィレットがフリーナに向かって何かを差し出す。至近距離でふわりと香った花の香り。フリーナは目を見開いた。ーーーーレインボーローズの花束。それは今までヌヴィレットがコリオに贈ったどの花束よりも大きく、そして美しいものであった。
「えっ
…
と?こ、これは
…
?」
「私から貴女への贈り物だ。無論、コリオ宛ではない。フリーナ第2王女殿下の為だけに用意したものだ。」
「へ
…
?」
フリーナの色違いの瞳が揺れる。ヌヴィレットの発言に、理解が追いつかない。それでも、フリーナの頬はレインボーローズの花弁と同じ色に色付いていた。
ヌヴィレットはフリーナの愛らしい反応を前に思わず口元が緩んだ。鏡を見なくとも、今自分はとてつもなく分かりやすい表情をしているに違いないとヌヴィレットは思ったが、敢えて正すことはしなかった。そのまま、穏やかな熱を孕んだ瞳でフリーナだけを見つめ続ける。
「私を生涯の伴侶として望んでもらえたこと、光栄に思う。殿下の純粋で直向きな好意が、とても嬉しかった。」
「っ!こ、婚約の話はもう取り下げたはずだよ
…
?!」
フリーナは慌ててヌヴィレットから目を逸らし、咄嗟に扉を閉めようとする。しかしヌヴィレットはすぐに立ち上がり、自ら差し出した花束ごとフリーナを抱き締めた。
「わっ
…
!」
「すまない、今だけは無礼を許していただきたい。」
ヌヴィレットは両腕に力を込め、フリーナが逃げてしまわないようにしっかりと抱き込んだ。
フリーナは突然の抱擁に腰を抜かし、全体重をヌヴィレットに預ける形になってしまったが、ヌヴィレットはしっかりとフリーナを支えた。
「3日前、私はここを立ち去った後
…
女王陛下へ再度謁見を求めた。その場で、まだ婚約を取り下げないで欲しいと願い
……
チャンスを与えてもらうことになったのだ。」
ヌヴィレットは当時のことを回想する。エゲリアへ誠心誠意謝罪し、自分の意思を告げた後。エゲリアは女王としてではなく母親としてヌヴィレットに忠告した。『フリーナを二度と悲しませないこと』、それが婚約継続の条件だった。それに対しヌヴィレットは即答で『我が生涯をかけて、ありとあらゆる悲しみや苦痛から彼女を守る。そして、私がそれらを彼女に一切与えないと誓う。』と発言し、深く頭を下げた。
ーーーーまさか、あのヌヴィレットが。
そう実際には言われなかったものの、エゲリアの大きく見開かれた瞳がまるでそう言っているかのように、大層驚いている様子だった。
ヌヴィレットは礼儀作法の一環として形式的に礼をしたこと自体は何度もあるが、本気で誰かに頭を下げたのは生まれて初めてだった。水龍の一族の末裔としての誇りと矜持があるゆえ、現在統治権を有し良好な関係を維持している水神の一族にさえ何かを乞うことはしてこなかった。
だが今回、ヌヴィレットは矜持を捨てて女王に頭を下げ、願ったのだ。それにどれ程の重みがあるか、正しく受け止めたエゲリアは表情を正し、『
…
良いでしょう。もう一度チャンスを与えます。けれど、結局はあの子次第よ。貴方のその愛をきちんとあの子に伝えてごらんなさい。』とだけ言い、ヌヴィレットを下がらせた。
謁見後、フォカロルスにも謝罪をしに行った。『やっと自覚したみたいだね。』と、フォカロルスは思いの外柔らかい声色だったが、目は全く笑っていなかった。実際に言葉にはせずとも『今度フリーナを泣かせたら死刑だ。覚悟するといい。』と色違いの青が強い意思でそう忠告していた。ヌヴィレットはフォカロルスの意思を正しく汲み取り、『心得ている。二度と彼女を悲しませないと、先程女王陛下にも誓いを立てた。』と返した。すると、フォカロルスはいつもの穏やかな笑みを浮かべ、『わかっているなら良いよ。
…
キミには期待しているんだ。失望させないでくれ。』と言ってヒラリと手を振り、去って行った。
それから今日まで、ヌヴィレットはフリーナのことだけを想いながら準備を進めた。何と伝えれば自分の気持ちがフリーナの心に届くのか、考えて、考えて、考えてーーー結局のところ、恋愛初心者のヌヴィレットにはこの短期間で答えを見つけることは難しかった。しかし、公演毎に送り続けてきたファンレターへ綴った熱い想いの数々のように、ありのまま全てを告白しようと決意して今日、フリーナの元を訪れたのだ。
フリーナを抱きしめるヌヴィレットの腕の力が、ほんの少しだけ強くなる。けれど決して痛くはなく、より身体が密着する形となってフリーナの心臓が強く脈打った。
そして。
「私からも改めて伝えたい。フリーナ殿下、貴女を愛している。無論、"ファンとして"ではなく"ひとりの男として"であり、私は貴女に"恋心"と"唯一無二の愛"を抱いている。もう二度と悲しませないと誓う。私の持てる力を尽くして貴女を幸せにしてみせる。ーーーだからどうか、伴侶として私と生涯を共にしていただけないだろうか。」
ヌヴィレットはフリーナの耳元でプロポーズの言葉を述べた後、腕の力を緩めてフリーナを解放し、再度その場で跪いた。フリーナの色違いの瞳を真剣な表情で見つめながら、左手でレインボーローズの花束を、右手で大きなダイヤの指輪を差し出し、フリーナの返事を待つ。
ーーーーところが、その瞬間。フリーナが顔どころか全身を真っ赤にして目をぐるぐるとさせた後。なんと、返事をする前に気絶してしまった。間一髪、ヌヴィレットがフリーナの身体を受け止めることができたものの、ヌヴィレットは大いに混乱した。
その日、第2王女を横抱きにして医務室まで全力で走る最高審判官の姿を見た人々が様々な悲鳴を上げ、王城内が大騒ぎになったという。
後日、2人の婚約成立の報道が正式にフォンテーヌ王国全土へと広まり、国中から驚きと祝福の声が上がった。
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