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pinopipi
2026-07-14 08:08:32
26803文字
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きみがいい
ヌヴィフリ/貴族パロ/捏造&改変だらけ/1P目の注意書き必読
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翌朝。王城内、ヌヴィレットの執務室。始業1時間前に出勤し、スケジュールの確認を行なっていると、不意に小さく扉を叩く音が静寂を破った。
ヌヴィレットが「どうぞ」と扉の向こう側へ声を掛けると、淡いブルーの華やかなドレスを纏った少女と、紫色の近衛服をきっちりと着こなした若い女性が入室した。
「
…
ヌヴィレット大公、失礼するよ。」
控えめな声色でそう挨拶をしたのは第2王女フリーナだった。その3歩後ろには近衛クロリンデが控え、敬礼をしている。
「朝早くにすまない。少し話せるかな。」
「ごきげんよう、フリーナ殿下。ああ、問題ない。」
ヌヴィレットは席を立ち、フリーナを来客用ソファーまで丁重にエスコートする。フリーナはヌヴィレットから僅かに視線を外しつつも、抵抗することなくエスコートを受け入れ、勧められるがままにソファーへ腰掛けた。クロリンデはフリーナの斜め後ろに立っている。
ヌヴィレットは対面の席に腰掛け、フリーナへ用件を話すよう促した。
「昨日のことだけれど
……
誰にも言わないでほしい。
…
お願いだよ。」
"昨日のこと"、つまりコリオの正体と舞台活動のことである。
フリーナは拳を握り締め、気まずそうに俯いている。どこか怯えているようにも見えるフリーナに対して、ヌヴィレットは表情を変えないまま問いかけた。
「私からひとつ質問なのだが、劇団で得た収入はどのように管理している?」
「
…
え?えっと
…
収入はないよ。
…
あ。いや、全額孤児院に寄付をしている、っていうのが正しいのかな。僕の報酬分は劇団名義で直接寄付してもらっているんだ。」
フリーナの説明にヌヴィレットは驚いた。まさか全額寄付をしていたとは。だが、その言葉は事実なのだろう。劇団からは収益の一部を寄付にあてていると報告があった。その時期は確かに、コリオの活動開始時期と一致している。それに、先程まで伏せられていたフリーナの瞳が、今は真っ直ぐヌヴィレットを捉えている。ゆえにヌヴィレットは、フリーナの申告に嘘偽りなどなく、全て事実であると結論付けた。
「そうか。ならば殿下個人に納税の義務はなく、法的に何も問題はない。舞台活動について、一切他言しないと約束しよう。」
「っえ??ほ、本当にいいのかい??」
「ああ。」
「あっ
…
ありがとう
…
!」
フリーナの表情がパッと明るいものへと変わり、先程まで張り詰めていた緊張感が一気に和らいだ。
ヌヴィレットもまた、フリーナの瞳から恐れや不安の色が消えたことに気付き、自然と柔らかい笑みが浮かぶ。
これでひとまず万事解決。フリーナはこれからもコリオとして舞台に立つことができる。
「用件はこれだけだよ。それじゃあ、僕たちは失礼するね。」
フリーナはそう言って美しく踵を返し、クロリンデが後に続く。執務室を出た2人は、扉が閉まった直後、静かに顔を見合わせた。
「
…
ねぇ、クロリンデ。」
「はい、フリーナ様。」
「こんな簡単に口止めできるなんて思わなかった。"他言しない"っていう彼の言葉は信じて良いと思う?それとも
…
何か裏があったりするのかな?」
「そうですね
…
私も驚きました。ですが、私の目から見てあの方が仰ったことに裏はないと思われます。フリーナ様のご希望通りに事態が収束して良かったです。」
緊張が解けたフリーナは、未だドキドキと早鐘を打つ心臓の上に手を当て安堵の息をついた。
「
…
ヌヴィレット大公って怖い人だと思っていたけれど、僕の思い違いだったのかも。」
ひとりごとのように小さく呟かれた言葉は朝日に溶けるように儚く消えていったが、クロリンデは聴き逃さなかった。
クロリンデは知っている。ヌヴィレットがどれだけコリオーーー改め、役者としてのフリーナに入れ込んでいるかを。彼が贈る花束やファンレターの本気度はもちろんだが、毎公演舞台上のフリーナを見つめる真っ直ぐな熱い視線は、第三者から見ても他の観客とは一線を画していた。例えるならばあれは、崖上に咲く高嶺の花に恋焦がれる魚のような。その視線に明らかに特別な熱を孕んでいるのは明らかだった。当の本人が自覚しているかは定かではないが。だからこそ、先程の短いやりとりのみでヌヴィレットが他言しないと約束したのも、少し考えてみれば当然のことと言える。フリーナの秘密をバラしてしまえば、最悪もう二度とコリオの舞台を観られなくなってしまうのだから。
だが、フリーナ本人にそれを伝えられるわけもなく、クロリンデはただただ「そうですね」とだけ返した。
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