pinopipi
2026-07-14 08:08:32
26803文字
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きみがいい

ヌヴィフリ/貴族パロ/捏造&改変だらけ/1P目の注意書き必読


王都の片隅にある小さな劇場は、今夜も満員御礼だ。立ち見席まで定員以上の人で埋め尽くされ、賑わいを見せていた。
ヌヴィレットは今日も、期待に満ちた瞳で舞台を見上げ、熱烈な視線で彼の最愛の妻・フリーナの姿を追う。ただ真っ直ぐに彼女の姿を視界の中心に捉え続け、たった一度の瞬きすらも惜しんでいた。
そして夢中になって観劇していれば時間はあっという間に過ぎ去り、気付けば幕が下りていた。公演は無事大盛況に終わり、ヌヴィレットの心は今宵も満たされていた。

着替えと後片付けを終えたフリーナが控え室から出ると、外には大きな花束を抱えたヌヴィレットが立っていた。

「此度の演技も素晴らしかった。ゆえにこの花束は私からの称賛だ。受け取ってもらえるだろうか。」
「わぁ、ありがとう!これってもしかして、うちの庭で育てた湖光の鈴蘭かい?」
「そうだ。今年は与える水を更に厳選したので、昨年よりも美しく咲いた。やはりこの花は君によく似合うな。」
「えへへ、嬉しい。帰ったら寝室に飾ってもいいかい?」
「ああ、勿論だとも。君に贈ったものだ。好きに扱ってもらって構わない。」

ヌヴィレットはフリーナの手を取り、そっと引き寄せ、指先に口付けを落とした。

「フリーナ、帰ろう。今宵の舞台の感想を早く伝えたい。」
「ふふっ、キミは本当に僕の舞台が大好きなんだね。」
「当然だろう。私は初めからずっと君に夢中なのだから。」

ヌヴィレットが真剣な表情のままそう伝えると、フリーナの視線は照れを隠すように下を向いた。

いつも思うけど、キミってば愛情表現が豊か過ぎないかい?」
「そうだろうか。私はただ、本心をありのまま言葉にして伝えているだけなのだが
「もぉ〜〜〜〜っそういうとこ!僕の心臓がもたないってば!」

真っ赤に染まったフリーナの頬を、夜風よりも先にヌヴィレットの指が撫でる。フリーナが思わず顔を上げると、ヌヴィレットはとびきりの愛情を溶かしたような春色の瞳で微笑んでいた。それは大好きなケーキやマカロンよりもうんと甘くて、淹れたての紅茶よりも熱い。フリーナが「キミは僕に甘過ぎると思う」と言っても、ヌヴィレットはいつもと変わらぬ声色で「そうだな」と返すのみ。だが、言葉にはしないもののフリーナは満更でもなかったりする。

指を絡ませて握った手が引かれ、ヌヴィレットを追いかけるようにフリーナも歩き出す。彼の背中越しに見る夜空は今日も快晴で。その理由が目の前の人物にあるということに気付いたのは、つい最近だ。
瞬く無数の星々が見守る夜はいつも穏やかで、果てしない幸福に満ち溢れている。