望野おもち
30059文字
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DRAPLS/Prologue④

楽しんで書けました。頑張って読んでください。
感想などは #DRAPLS を付けたりfusetterを使ったり何なりでお願い申し上げます。



「ボクお手伝い完璧だから任せて! なんでも言ってね」
「ほんといい子だねきみ……いつもやってるの?」
「えっへん。コンシェルジュという名の何でも屋さんだから、基本なんでもできちゃうよ。こんなの日常茶飯事の朝メシ前」

 頼んだぜーと、食事スペースのテーブルを思い思いの面々で陣取って寛ぐ超高校級の高校生を脇目に、私たちは併設の厨房へ足を踏み入れている。別に構わないが、上げ膳据え膳はさせないようにしよう。なんかこう、ダメな気がする。私のストレス値的に。ご馳走様したら皿くらい下げなさいよ。

「見て見て、ある程度は揃ってるよ」
「ほんとねぇ〜。和歌ちゃん、メニューは何にする〜?」
「うーん……

 好き嫌いはいちいち叶えてられないから文句は言わないこと。味についての好みは個人で調整すること。食物アレルギーだけ申告すること。これだけ念押ししてるのだから文句は言わせまい。無論、不味くないよう努力はするが私だって別に得意というわけではない。偶然、高校へはお弁当持参なだけで、偶然、我が家は看護師の母が夜勤の日があるだけで、偶然、自分で作る日があるだけのこと。腕前については発展途上なのだ。

「16人分なんて作ったことないよね……
「じゃあ、ビュッフェスタイルにしようよ。ボクん家そうだよ、色んな料理を何種類か作るんだあ。要は早い者勝ちだよ」
「確かに、ホテルとかって品数が沢山あるわよねえ。でも大変じゃないかしら〜?」

 厨房へ送り込まれたのは超高校級のコンシェルジュ海月坂くらげざかあおい、茶道部の一福いっぷくさん、そして私だ。私は戸棚を開けたり、冷蔵庫を覗いたりしながら食事メニューの組み立てを開始。

「多分だけど一気に16人分作る方が大変かも、鍋が重くて。モノにもよると思うけど」
「それもそうねぇ……じゃあ、あおいちゃんの"いろんなものをちょっとずつ沢山作る作戦"がいいかもだわあ〜」

 人がいない、居た形跡もない、そんな不気味な地下都市のレストランに何故か備蓄されている食材。賞味期限も余裕があるし、野菜も新鮮で傷んでおらず、調理器具も真新しい。

……。(今度宝生さん達に相談しよう)」

 私は念の為、戸棚の中や冷蔵庫の中身など、目ぼしい箇所を写真に収めた。複数人で厨房へ入るのは毒物などの混入の懸念を晴らすため。絶望の残党は何をするか分からないので、相互監視は重要だと頭脳派陣からお達しが出たのである。あらぬ疑いをかけられるのも困るので念には念を入れる、使用前の証拠だ。

「邪魔するで〜」
「邪魔するなら帰って」
「はいよ〜」

……和歌ちゃん、あなたほんとに凄いわね」
「陽ちゃん帰っちゃったよ」
「や、なんかそう言わなきゃいけない気がして……

 小さいボケに対してお決まりの返しを反射でやってしまった。なんでやねん、と再入室した難波の顔がキラキラしている。喜んでる場合では無いのだが。

「綴りん、おれ今めちゃくちゃときめいてる」
「ほんと帰って」

 と、平和で気の抜ける話はさておき、元気がある数名が周囲を探検してきたそうで結果報告に訪れたそうだ。そうならそうと本題をサクッと話して欲しいものだ。
  
「結構色々揃っててん。ラプラスに聞きたかったんやけど今省エネ?らしくて返事来やんかったし、明日聞こか〜って。これ写真な」
「おお〜ほんとだ、それだけあれば暫く困らなさそう! あったのは食べ物だけ?」
「聞いて驚け、なんとその通り」
「「キャッキャ!!」」
「(うるさ)」

 真面目に聞くと疲れる気がしてきたので、難波の相手はあおいに任せて冷蔵庫の中の食材と格闘を始める。とりあえず業務用炊飯器があったので2台で10合ずつ、合計20合をといだ。1時間弱で炊けるらしいから、それまでにおかずを作り切りたい。

「多分やけど、発電施設?的なのを修理したらラプラスが元気になって色々便利になるんちゃうかって話。ムズいの分からんから詳しくはかしこチームに聞いて」
「その賢いチームが伝達に来てくれたら早かったのでは?」
「優雅にちゃあシバいてんねん」
「ほんとね、いい匂いがしてきたわあ〜」
「(マイペースが過ぎる)」

 コーヒーの香ばしさが鼻をくすぐった。どうやら豆から挽くタイプのようで、ワイワイ盛り上がっている声が聞こえた。先程の殺伐とした雰囲気はどこへ消えたのだろうか。曰く、「結構色々」揃ってた施設こと食料庫でコーヒー豆やフィルター、卓上ポットなど持ち帰って来たそうだ。楽しそうでなにより。

「とりあえずその報告だけ。ほな」
「あっ逃げた」

 早々に切り上げて難波は退散した。調理を手伝わされる可能性を回避したかったのかもしれない。こんな地下施設に長居はしたくないが、今後少しくらいは手伝ってもらうよう皆に打診しようと心に決める私であった。

「──慣れてないのもあるから、食材足りなさそうだったり時間配分的に無理そうなのがあったら適宜意見お願い。まず」

 冷蔵庫やパントリー内をざっと見渡して目に付いた材料をかき集めて、なるべく早く、簡単に、沢山作れるよう手順も含めて組み立てる。メモ用紙に献立と使う材料を走り書きしていき、調理チームに共有した。

「──で、どうかな。量は……ちょっと未知数だけど」
「十分だよ、さすが綴りん! あお頑張る! 福ちゃんも頑張ろ!」
「わたしにできることなら〜!」