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akinoshiroihana
2025-10-31 01:18:47
17272文字
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名刺置き場13
ゲッター25年後半
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リク戴きましたv『サーガでパーカー着てる竜馬』
サーガなら隼人が白衣パイスー着てますよねという枕詞的な部分がでっかくなりギャワー
サーガ竜馬はややラフにしゃべるけどナンチャッテ江戸っ子にしちゃだめだぞそれじゃ新ゲだぞと思いつつ引っ張られ苦戦。サーガ竜馬ある程度書き言葉でしゃべってる、読み物のキャラである感が残ってるのがたぶん正解ではとう~~~~~ん💦
「サーガでパーカー」なので70年代映画である『ロッキー』ネタをやろうかとも思ったんですが、調べたら公開は76年_(┐「ε:)_真?真の短編エピ期?
しかしそれ以前に「エイドリアーン!」を「ハヤトー!」にする勇気が足りませんでした
霜月の暮れ、月改まらんとするあたり
いつになくよく冷え込んだままの午後
パイロットスーツで待機状態の彼らは薪ストーブの前たむろする
ったくこの寒さ恐竜帝国じゃないだろな、一回あいつらのせいだったことあっただろ、てめぇらが変温動物で先にヤベえだろうにトチ狂いやがって
あっわかるぞ一昨年ぐらいの列島全部凍っちまったあれだろ正月早々に!あの事件の頃俺はよ
―――
―――
おう、交通機関も動かねえから国外脱出もできやしねえ、日本にいるやつだけ全部死ぬって、空港がダメなら港はさぞかしパニックだったんじゃないのか、まあ外がどうなってようが俺達はここに詰めてて出る以外できる事なかったんだけどよ。ぉっとぉ
―――
他にやれることあっても忙しすぎて死ねるだけだってなぁ今でもあれ見りゃわかる。
ストーブに貼り付いていられない待機組が約一名、纏った衣服の裾をひらめかせ、白くなる息とともに足早に、ドックからこの詰所前をまた行く。パイロットスーツの上に羽織る白衣は、今この瞬間の神隼人の立ち位置、責任と権限が決戦用巨大ロボットのパイロットではなく、この施設における技術者研究者、副指令としてのものになっているというわかりやすい目印であり、そうであるから「今忙しいからよっぽどでなけりゃ声掛けないでくれ頼んだぜ」という約束であり、なんなら書類にするときは上司上官の立ち位置にもなっているから、いつもの気安さのつもりでちょっかいでも出したら、冬の雷の様な何かとても真面目な鉄槌が落ちて来る可能性と前例があった。
であるから「なんかそれ変だぜ」と始まり、「いや結構アリなんじゃねえかそれにうん、お前の場合エロいかも」に変質したちょっかいは二度目を言って揺さぶってみるというチャンスはなかなか回ってこない。世のX-Menらアメコミのヒーローがボディスーツの上にフライトジャケットや白衣を重ねるようになるのもあと十年は先になるだろう。だがしかし
「隼人の奴、もう息が白くならねえな」
もはや肺腑の奥まで凍てつく外気で一杯なのだろうに表情は涼風を受けるように悠然と職員らと受け答えし指示を出すその姿を、橙の炎が照り映える熱いソファに肘を乗せたまま首だけ巡らせて竜馬は見る。
絞ってはいるがどちらといえば短距離向きな筋肉の付き方の竜馬には、息が白くなくなるほどの冬の長距離走のようなストレスはけして慣れたものではない。針金体形の典型的なアキレス型の隼人はあるいは経験ありで、あの不快苦痛にも慣れているかも知れないが。あの肺だけじゃない、胃もその奥も、はらわた全部固まっていくような、のどぶえがおかしな音しか出さない笛のようになって戻らない、あれ
―――
その不快を我が身に代えて思い出し。眉間にしわを寄せ戦友の身を案じていれば、しかし何をどう間違ったか脳内の隼人は彼の下で息も絶え絶えに身を震わせていてまともな声など出なくなっており。ばか、そうじゃねえと竜馬は激しい勢いでソファから身を起こした。
「おう」
そうとだけの声と共に飛んできた物体を、相手は不審物ではないと判断し、叩き落さず手のひらで受けた。そして先程までストーブの上焙られていて焼け焦げたその温度に顔をしかめるが
「焼きミカン、こんなもんしかねえけどよ、そろそろ冷え切っちまってるだろお前」
「ン」
緊急招集がそのまま解除になりそうだったので、今日彼を捕まえられたのはこれ幸いと職員達に連れまわされていたのだとは傍に残っていたメカニック担当の補足であり、隼人当人はもはや出力を最低限にしてしまっている、普段血の気をはっきり透かして見せる赤い唇まで紫に凍てつかせて。そこに黒く焼けた果皮を割り開けて出て来る、湯気まで挙げてる果実のひとふさが押し当てられ「ほらクチ開けろ」と彼の戦友は無骨な甲斐甲斐しさを見せた。
普段、問えば相手のレベルに合わせてしっかりと応えてくれるものだが、なにぶんわかりやすい愛想だけは圧倒的にたりない隼人に付き従うメカニックは、その意外なほどの手厚さに驚きもせず、そうそうこのひとちゃんとわかってる、とばかりに黙って頷いた。扱いの難しい、手入れを間違っていない水槽でも覗いた通人のように。
「よし。で、もうこっち着とけ」そんなペラペラじゃなく。
あっためてたんだぜと。戦闘服に白を重ねていた隼人に対して竜馬は彼自身、パイロットスーツの上に羽織った厚手で前開きの黒いフード付きジャケットをもう一着脇に抱えている。襟周りにふわふわのボアが付いている方を友にと選んだのは、ボッティチェリ描いたところのシモネッタ嬢に負けず劣らず長い隼人の首を愛でるのも吝かでない竜馬であり、嘗ての有名画家たちのミューズであった、かの令嬢の名が笑いのツボに入ってしまった竜馬だった。(『この絵のお姫さん、隼人ぐらい首なげえな、え?エエひでえななんでそんな名前付けられちまったん、くっ、はははははは』などと)
これ、研究所の支給服ってよかペアルックってやつじゃねえのかとの楽し気な声での言葉に対し、いや、あれだ、これから暗くなってくるのにこんなの着て歩いてたら、多分俺達のサイズ重量からして、
「子熊だと思われるぜ」
「いいじゃねえか、いい肉は花の香りのクマ!」
「子熊の兄弟だよ」気のたった親が近くにいるあぶねえって撃たれ
「いいねいいね、今日も仲良し!」
「ばぁか、まったくお前
…
」
ヘルメットもかぶらずヘッドセットだけカチューシャかカンムリみたいにかぶって、真っ白い服ををひらひらさせたお前に「頼むぞ」ってお願いされんのも悪くねえんだけどよ、やっぱりさあ、などいいつつ枯葉と山の峰から飛ばされてきたような氷のかけらめいた薄い雪を踏み、ふたりゆく。既に玄関口のあかりが灯る宿舎へと
霜月の、終わる頃。まだものみな凍てつくときではないがゆえに、下界の者どもの幸せな恋愛惚けの真似なども楽しみ、ふたりゆく。
おおい帰るんなら起こしていけよとは、母グマならぬ巨体が追いすがる抗議の声。
銃声のしなかった日。
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