akinoshiroihana
2025-10-31 01:18:47
17272文字
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名刺置き場13

ゲッター25年後半





「フレア霜害ですね」
復活に40時間のアップデートを要しますとの報告。極北ではない、せいぜい晩秋以降の窓辺でボールペンが凍り付く程度の緯度の雪国には赤い極光がたなびき息をするように膨れる。ハード自体の交換を要する部位の手配を急がせる人物の後姿は、嘗てのその地の主のように老いをものともしない意志力と恰幅を見せる代わりに彫像のように丈高く、長い銀髪にはもう一筋たりと往時のいろを残していない。

「衛星なんぞと連携するようになったからの体たらくじゃのー、機械の脳味噌までよく狂う狂う、ひひっ」
「敷島博士」
ならば人間が、電解質の固まりが無事であるものか
降り注ぐ太陽波を圧縮できる、もしくはそう信じた老人が最後に引き籠った地下施設をも残す、この山城では。

「だがあなたはゲッター1の心臓もしくは腹―――人の魂が宿るとされた辺りに大事に匿われる格好であったから繰り返しのアップデートでここまでやりすごし生き抜いた、
方や流竜馬はその分たった一度の接触で、ただの一度の来訪者メッセージで脳を焼かれてしまったってわけだ」
それがひとつであった心のかなしい別離のきっかけだ、たぶんね、と言ったのはカムイだっただろうか
太陽って奴は、あなた達にだって、貴方にだって酷いことをする、と。

だが、青白い頬の彼が太陽の下に引きずり出されたからこそ、彼の物語は動き出した

『出て来いよ』
『来いよ、きもちいいぜ』
『ひなたぼっこしようや』

そう彼を嘗て呼んだ声、差し招いた手

「あんたを迎えにきたんだ」