akinoshiroihana
2025-10-31 01:18:47
17272文字
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名刺置き場13

ゲッター25年後半




「神さ~~~ん、はい、よくわかんねえけど俺なりに選んだ!」
「ん、日陰にだけ置いてくれ、お前の気遣いを無駄にしたくない」
「おうっ」
復旧作業の現場に立つ上司にサンドイッチを届けに来た號は、監督と話を詰める様子の彼にそれ以上構ってくれとの秋波を出すでもなく、軽いフットワークでまた走り去った。秋の高い空、嵐と嵐の間の澄んだ青の下。
しかしやがて號は首を捻りひねり、白いナイロン袋を風に吹かれつつ提げ帰って来て、ようやく身体の空いた隼人の傍にいそいそとでもなく黙然と座った。
……ニホンゴなのに何言ってんのかわかんねえ事ってあるよね」
「しょっちゅうさ」
「いや神さんみたいな難しいのじゃなくて、おっさんが。なんだったんだあれ」
ライ麦パンにマスタードを添えた由緒正しいパストラミサンドは、ミルクティーに生姜を加えることもある隼人の為に確かに「選んだ」ものだったのだろう、静かに咀嚼する上司の隣りで號は取り出したカツサンドをしげしげと眺める
「『何でもいい』つったのに、『そんなパンに天婦羅挟まってんのはいらねえ』ってさ」
言いつつ、かぶりつく。
「ああ」
俺達の世代は最後でもハムカツサンドが上限だったからな、不審物なんだろう。あいつは家庭状況も厳しかったと聞いている
「ハムとチーズのサンドイッチには大喜びで、早乙女家の娘さんが作ってくれたコンビーフのサンドイッチには無言で後ずさりした。作戦中にスパムを焙って焦げたトーストに挟んだのを分けてやったら『幸せ過ぎて怖え味』なんて言ったこともあったか」
「そりゃニクの概念が今と違ってんね」
「そうともいう」
次は照り焼きか焼肉サンドから始めてやってくれ、めんどくせえとこあるなあ、など言い交わすも秋。
芸術と読書はついぞ知らぬが馬肥える秋、
遠方より来たる友もまた、再会の良き日和。