Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
Nagisa_burn
2025-10-25 00:39:42
32070文字
Public
Clear cache
破面パラレル
尸魂界生まれの一護が死んで破面になるお話です(未完)
ベースは白黒、海一あたりです
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
「なんで白は、俺に優しいの」
静かな部屋で、思いのほかその言葉はよく響いた。
ベッドシーツに埋もれた一護が、丸くなりながらこちらを見上げている。眠るときに腹を押さえるのは一護のクセだ。
最期まで痛かった場所
を、今もまだ無意識に引きずっている。
「
……
なんで、っつってもなァ」
「だって、俺はなんにもできねえのに」
「出来の良さ見て優しくすんなら、俺ァウルキオラあたりにゃ甘々だろうな」
「ふ、
……
茶化すな、って」
「てめえがバカなこと言うからだ」
吐息だけで笑った一護の頭を撫でながら、さてどうするか、と考える。下手にはぐらかすと拗ねて面倒なことになる。相手をしてやるぶんにはいいのだが、妙なところで頑固で行動力がある男だ。飛び出した先が虚圏の砂漠ならまだマシだが、とち狂って現世にまで向かう可能性もある。
「
……
逆に聞くがよォ、」
「ん」
「優しくされんの、嫌なのかよ」
琥珀の瞳がまたたいた。難しいことを聞かれました、という顔をして、視線がうろうろと部屋の隅をさまよう。
「
……
嫌じゃない」
「ならいいだろ」
「でも気になる」
「あのなあ。ンな大層な理由なんてあるわけねえだろ」
「
……
ねえの?」
「大事だから優しくしてんだろうが。それ以外に理由がいるか?」
血色の悪い頬が、ほんの少し赤くなった。布団の中に消えていった一護を見下ろして、隠れきっていない角を撫でる。散らばったオレンジが波打つのが面白い。
「一護」
「
……
」
「いーちご。機嫌なおせって」
「
……
悪くしてねえ」
「そりゃよかった」
「
……
しろ、」
「ん?」
「
…………
なんで、俺なんか、大事なの」
今日はどうも卑屈になる日らしかった。一護の精神は振り幅が大きい。基本的に浮きがなく沈んでいるが、特に沈みが深いと常にも増して暗くなる。それでもベッドから顔を出してくるあたり、多少はマシだろうが。
「
……
約束したからな」
「
…………
?」
「なんでもねえよ。ホラ寝ろ寝ろ。おまえ今日ずっと腹痛えんだろうが。寝て忘れろ」
「
……
白も寝る?」
「おー。そっち詰めろ」
「ん」
「おまえこのクッションどけねえのか。邪魔じゃねえ?」
「だって、リリネットがくれた」
「あっそ」
かわいらしいピンクのクッションを脇に追いやって、同じベッドに潜りこむ。さっきからずっと眠気をこらえていた瞳は、引き寄せて背中を叩いてやるだけでたやすく溶けた。
言動も思考も、まるきり赤子の相手だ。何もかも置き忘れてきた半身からは、あらゆるものが欠けている。
今は、それでいいと思った。まだ早い。あともう少し。この馬鹿みたいに生ぬるい平穏が終わるまでは、彼を取り巻く世界が、少しでも優しいものであればいい。
───ほんとうに、助けてくれる?
砂漠の真ん中で、泣きながら呟いた子どもを思い出す。
もう取りこぼして忘れ去られてしまった、始まりの記憶。白だけが抱え込んだ、ふたりになる前のふたりの話。
「おやすみ、一護」
伸ばされた手を掴んだあの夜を、俺だけは絶対に忘れない。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内