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Nagisa_burn
2025-10-25 00:39:42
32070文字
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破面パラレル
尸魂界生まれの一護が死んで破面になるお話です(未完)
ベースは白黒、海一あたりです
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白い地平線を見ていると心が落ち着いた。色のない世界は味気なかったけれど、一護はこれが好きだった。沈むことのない三日月がいったいなにで出来ているのか。遠く彼方まで飛んでゆけば触れるのか。砂の果てには何があるのか。そういうことをぼんやり考えながら風を浴びる時間が、気に入っていた。
「一護」
声がかかると同時に、ばさりと視界を布が覆う。そこから抜け出しながら顔を上げれば、眠たげな顔をしたスタークが立っていた。
「スタークだ」
「そうだよ」
「めずらしいな」
「リリネットに蹴っ飛ばされてな。おまえのこと探してこいって」
「リリネットは?」
「あー、なんだったか。茶会? とかなんとか。用意するから手が離せねえって」
「
……
お茶会
……
」
そういえば、誘われたような気もする。スタークの宮はクッションがたくさんあって、そこに埋もれて寝るのが好きで、横で寝ているスタークを起こさないようにして潜りこんで。
同じようにして間に挟まったリリネットが、機嫌よく笑っていた。今度一緒に、と。今度、がいつなのかは、あいにく聞いていなかったが。
「戻ってやれよ。寒いだろ、ここ」
「
……
でも、落ち着く」
「そうか」
白と黒で構成された、生き物の気配のない世界。虚夜宮のてっぺんからは、何もかもがよく見える。
「オイ、寝るな」
「
……
でも、眠く、て」
「ったく。白はどうした」
「遠征、って。だから、待ってよう、と、」
砂よけの羽織で暖まったせいか、どろりと頭が重たくなる。いつもそうだ。ずっと眠い。寝ているとき以外、ずっと。
主人である藍染は、これを副作用だと言った。無理に魂を分けるからだ、と。スタークとリリネットにできたことが、自分にはできなかった。きっとそれが、出来損ないの所以なのだろう。
何をやってもうまくいかない。ノイトラのように強く在れない。グリムジョーのように気高くない。ウルキオラのように頭が良くもない。チルッチのように器用じゃない。ドルドーニのように紳士じゃない。ハリベルのように落ち着きも持てない。アーロニーロのように貪欲になれない。ザエルアポロのように賢くない。
白のように、戦えない。
ただここにいるだけ。垂れ流しの霊圧で、弱い虚を殺してしまうだけ。害はあっても益はない。それが自分という弱い破面だった。
腹が痛む。頭痛もあとからついてくる。リリネットには悪いが、お茶会には出られないだろう。また迷惑をかける。
「一護、触るぞ」
「ぅ、」
スタークの腕が伸びてきて、ぐらぐら不安定に揺れる体が抱えあげられる。広い背中におぶさりながら、いつかの日のことを思った。
あの日、彼らに出会えたその瞬間に、きっともう、すべての運を使いきったのだ。
なんにもできない、出来損ないの破面。けれど一護は、もうさびしくはなかった。誰に何を言われようとどうでもよかった。そっくりな双子の弱いほう、と笑われようが、その通りだから気にしなかった。
スタークにはリリネットが、リリネットにはスタークがいるように、一護には白がいた。見様見真似で魂を削りだした結果、一護を構成するものの半分以上をごっそり持っていった唯一の半身。死ぬまで、死んでも、死ぬときもずっと一緒の存在。
「
…………
スターク、」
「なんだ」
「リリネットに、ごめんって、言っといて
……
」
「自分で言え」
軽く足を叩かれる。風が吹いて髪が揺れる。
なにもできないなら、せめて誰かにとってのやさしいひとになりたかった。まずは白の。スタークとリリネットの。
それすらも大それた夢だということくらい、身に染みて知っている。
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