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ロンド
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奈落の大穴
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極星ノスタルジア【再録】
「まなざしのいろ」「きんぎんすなご」
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五章 Side.O
「苦労をかけるね。あの子はどうだい?」
「先日赤笛に昇格しましたがね。探窟量は中の下でしたが、ちょろまかそうとしていたので仕置き部屋に一晩繋いでおきました」
本のページを丹念に調べているベルチェロは淡々と、並の子供なら一晩中泣いているだろう仕置きを話す。
「効果はあったのかい?」
ベルチェロは首を横に振った。
「翌日に様子を見に行ったら、ロープは自力で解いて拷問具をいじって遊んでいましたよ。嘆かわしいことに反省の色さえありません」
「裸吊りでもしてやれば良かろうに」
「効きやしませんよ、ひん向いたところで顔色ひとつ変わらないんですから。まったく手が焼けます」
「いやに肝の据わった子だねェ。鍛え甲斐がありそうじゃないか」
「そう云うのは貴女だけですよ」
オーゼンが寄付に持ちこんだすべての書物のチェックを終えたベルチェロは、謝礼金代わりの報告書を執務机に滑らせた。
報告書は子供たちの記録をリーダー職の月笛や蒼笛が日々書いているものである。オーゼンが目を通すと、ジルオは探窟成績は可、座学は優をつけられていたが、素行が不可だった。窃盗罪、の一文が付け加えられている。
「こいつは?」
「他の子供の私物を盗ったんですよ。これまで『盗窟』して生きていたからか、信頼関係にはとんと無頓着でしてね」
ベルチェロは背後の窓の外を見やった。中庭で自由時間の六人ほどの子供たちが玉遊びに興じている。その中にジルオの姿はない。
たいてい他の子供から離れてひとり図書室で本を読んでいるのだ、とベルチェロは云う。
「生活態度はずいぶん手をかけて矯正しました。食事の仕方から挨拶に読み書き、規則正しい生活を送ること、
……
ただ、信頼や信用というのは言葉で教えられるようなものではありません。他の子たちと打ち解けているように見えて、どこか一歩引いて付き合っています。窃盗も育ちによる手癖と云えば仕方ないことのようですが、蒼笛に昇級したときには厄介な爪弾き者にされるでしょう。組合の探窟家として、いざというとき仲間を頼りにできないのは致命的です。岸壁街の子供はみなそうなんですかね」
「さてねェ。私は知らんよ」
頭を悩ませているらしいベルチェロに比べて、オーゼンは楽観視していた。盗窟家あがりのならず者はオーゼンの
地臥せり
ハイドギヴァー
にもいるが、組合に見咎められるためにオースに長期滞在させられないこと以外は、裏を知る彼らはすこぶる使い勝手が良く、それなりの価値がある。オーゼンは赤笛のうちに気を変えさせれば一向に構いやしないのだった。
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