mochita_rj
2024-11-16 15:41:19
27131文字
Public TwitterのSS
 

ss2022年分

1Pに各ssの内容があります。飛んでね!
※一部ここに載せてないのがpixivにあります。最初の5作と露仗週間で書いたものなど



「やっぱこれ飲みやすくて美味いッスね〜!これだったら康一と億泰も飲めるのかなあ」

ぼくが趣味で酒を集めているのを知った途端、成人したばかりの元高校生3人組はうちに乗り込んで好き勝手酒盛りを始めた。最初は人の家で好き放題されてムカついてたが、なんだかんだ人と呑む酒は新鮮で楽しい。だんだん興が乗り出したぼくは3人にカクテルを出し始めた。シェイカーを振る楽しさを思い出してつい強い酒ばかり作りすぎてしまったところ、億泰と康一くんは慣れないアルコール度数に酔い潰れて早くも酒には懲りたらしい。外国の血が混じっている仗助だけがピンピンしていて、いつの間にか仗助1人でうちに酒を飲みにくるようになった。

「あんずの香りがして美味いだろう。アマレットさえあれば後はどこでも手に入る材料で作れるんだぜ」
「へえ、思ったよりカクテルってお手軽なんスね。すいすい飲めるし」
「それはお前が強すぎるんだ。最近やたら酒の減りが早いったりゃありゃしないよ」
「はは、悪いっスね。でも露伴先生金には困ってないしいいでしょ」

仗助は特にアプリコットフィズが好きらしい。最初に1人でここを訪れてきた際に作ってやったら気に入ったというので、毎回それを出してやるのがお決まりの流れとなっていた。にこにことそのカクテルに隠された意味も知らずにグラスを傾けている。いつも通りの風景に少し呆れながらへらへらとした間抜け面を眺めていると、琥珀色の炭酸を飲み干した仗助が立ち上がって言った。

「ごちそうさま!なあ露伴。今日はおれがアンタにカクテル、作ってやりますよ」
「そうか?お前に酒なんて作れるのか」
「仗助君を舐めないでもらいたいっスね!ちゃんと調べたから大丈夫だって!ほら座ってて」
「ふうん?美味いの頼むぜ、マスター」

仗助は氷、ホワイトラム、コアントロー、レモンジュースをシェイカーに注ぎ、しゃかしゃかと音を立てて振り始めた。酒を作るなんて慣れてないはずなのに、仗助の大人びた雰囲気にシェイカーを振る姿がよく似合っている。そう考えながら先程入れていた材料を思い出してハッとした。この酒は、確かいやまさかそんな。仗助がぼくにそんな感情を抱いてるはずはない。でも、他にいくらでもカクテルなんてのはある。その中からこれを選ぶって、期待してもいいのか?

「はいどうぞ。xyzです」
「お前、このカクテルって、」
「お返しに露伴にお酒作ってあげたくて最近レシピ本見てたんだよ。そしたら端っこにカクテル言葉なんてのが書かれてたの。アンタ、今まで随分かわいいことしてくれてたんスね。わかりにくいなあほんと」
今まで全然そんな素振り見せなかっただろう。てっきり気づいてないと思ってた」
「ずっと酒を介して告白し続けてるなんて思わないだろ。最初はおれだって全然その気は無かったんだからさ、上手くいってよかったじゃん」
やれやれ。バレたならしょうがない。ぼくも熱烈なお返事を頂けて嬉しいよ。よりによってこのカクテルを選ぶなんてまるでプロポーズみたいだけど」

2人してけらけら笑いながらぼくは立ち上がって仗助の横に並んだ。不思議そうな顔を横目に、見よう見真似でぼくに差し出してきたのと同じものを作ってやれば、仗助は少し驚いた顔をした後くすりと笑って受け取った。

「お得意のヘブンズドアでおれのこと好きにさせれば良かったのに」
「そう言われたらそうだなまあそんなことする必要なかったみたいだしいいんじゃあないか?」
ふふっ、確かに」
「まどろこっしい関係もこれで終わりってことで。乾杯」
「乾杯」

静かな部屋に2つのガラスを合わせる音が響き、ぐっと白い半透明を一気に煽る。コアントローの甘みとレモンの酸味が鼻に抜け、約25度のアルコールが一気に回って頭がクラクラとし始めた。

「なあ仗助。ちゃんとした言葉は酔いが覚めたら言うから待ってろよ」
おう、待ってる」

照れたようにはにかむ仗助にギュっと痛いほど胸が締め付けられた。お前と飲む酒はなんでも美味い、そう気づいた頃からこのどうしようもない胸の苦しみは始まっていたのかもしれない。




アプリコットフィズ:振り向いて下さい
xyz:永遠にあなたのもの