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戌丸アット
2022-05-29 23:52:24
38106文字
Public
Fate
その肌へ口づけを
槍弓
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最初アーチャーは何を言われたのか分からず、ただ頭を後ろから殴られたような感覚でショックに襲われていた。
ランサーは確かに知り合った店の喫煙所でノーマルであると言っていた筈なのに何故、そのような事を口にしたのか理解が追いつかなかったのだ。
しかし先程、異質な形で知り合ったばかりの青年は口元を歪ませていながらも瞳は真っ直ぐにアーチャーを見つめている。
その瞳にかち合った瞬間、アーチャーは直感的に己に拒否権は無く、そして彼は撤回する気は無いと悟ったのだ。
ただ分かった、と小さく同意と共に頷くと美丈夫の前にスーツである事を気にする様子も無く、ランサーの前で片膝を着いてみせた。
「
……
これで構わないか」
「そうだなぁ。とりあえず手始めに上だけでも良いから脱いでみてくれねぇ?」
「な!?君は本気で言ってい」
「こっちはアンタにも少しは良い思いをさせてやろうと思ってんだ。黙って従ってろ」
「はっ
……
分かった
……
」
顎に触れられたかと思うとランサーに顎を上げられ、目が合ったかと思うと鋭く熟れた果実のジャムを思わせる程に赤々しい瞳と、荒々しく掠れているが掠れている事が逆に色気を増加させており、声も低く落ち着いているが冷たい言葉は美しい顔と共に近付いて来るので思わずアーチャーは顔を背けてTシャツのボタンに手をかけた。
すると顔を背けた事を咎めるように耳朶に微かな痛みと痺れが首筋を通り抜けてきて、目の前の美丈夫に甘噛みされた事実を突きつけられたような気がして早くも逃げ出したくなった。
だが、これはまだ始まってすらいない。
「痛いか?」
「
……
いや、別に」
「ふーん
……
ふっ、アンタって甘い匂いする。いい匂いだから女にモテそうだな、香水か?」
「そんなものはっ、ん、仕事の邪魔っぅい!!?」
スリスリと頬にかかる鮮やかな青い髪が視界で動く度に泣き出したくなるような思いが溢れてくるのを抑え、くすぐったさに耐えながら答えていると突然、耳朶を噛まれたかと思うと濡れた感覚が首筋を襲ってきた。
思わぬ感覚に思わず咬み殺せなかった声を上げ、意識を逸らしている内にあっという間にアーチャーはソファに押し倒されていた。
どうせ言葉だけだろう。
まさか本当に身体を欲する訳はないだろう。
私で遊んでいるのだ。
本当に私の身体が欲しい訳でない。
きっと私に性的に、この美しい青年が触れる筈はない。
などと何処かでアーチャーが考えていた事は見事に打ち砕かれた。
「ムカつくな。何もしてねぇで、そんな甘い匂い出してんのかよ
……
何食ってたら、そうなんだ?」
「な、にを訳の分からない事を!」
「肌も触り心地が良いし、これが東洋の神秘って奴か?」
「は、ぁ、会話を、しろ!」
鼓膜をランサーの熱の篭った吐息と蕩けるような色気のある声で直接、震わされているような感覚に背筋に甘い痺れが走る。
その感覚に覚えはあるものの久しく感じていなかったアーチャーは、どのように流せば良いか分からず喉だけでなく節々を震わせて耐えるしかない。
どんなに話しかけられる内容が下らなくとも自分を見つめてくる赤く輝く瞳の奥には明確に欲情していると分かる熱があり、アーチャーの心の奥底で歓喜の声が上がっていた。
そんな現金な自分に落胆や幻滅、そして歓喜の気持ちを認めそうになるが己の身体を楽しむように触れてくる熱すぎる手にアーチャーは頭を振る程に悶える事で己の心から意識を逸らす事が出来ていた。
「なんだ、アンタ。俺とピロートークがしてぇのか?」
「っは!?何故そうなる!」
「なら大人しく声出してろよ。俺は俺で楽しませて貰わねぇとアンタ、俺にツケが貯まるぜ?」
「
……
くそっ!」
何をされるのか不安感に駆り立てられるのをアーチャーは噛み殺し、ランサーから香る整髪剤の独特な香りにすら緊張感を煽られる。
そんな今までに感じた事の無い興奮に動揺しているとタコで節々が硬く、しかし男らしい手のひらが愛撫をしていると言うより懐いているように首筋から唇を離す事なく、胸へと下がると服を脱がされた事で無遠慮に触れてくる。
「っふ
……
」
「思ったよりもアンタ感じやすいみたいだな。女でもそんなにすぐに火照るか怪しいもんだ」
チクリと小さな痛みの中にジワジワと広がる熱はドロドロに溶けた鉄が流れるように緩やかでアーチャーには、あまりにももどかしいものだ。
歯を食いしばり、唇を震わせて耐える姿は瞳を閉じていようとも頬の火照りにより隠し切れてなどいない。
触れて欲しくない事実を何処か茶化すような青年の言葉に思わず耐えきれなくなり、アーチャーは抗議しようと頭を上げる。
「なっ!そんな、事は!」
「女の場合は大概、演技だったりするもんだぜ?
……
ん、美味そ」
「そ、いう、事で、はっはぁ!」
何やら聞きたくない言葉を言われたような気がしたアーチャーであったが胸に感じた乳首を覆う狂暴だが温かく、優しさに満ちたように、ねちゃり、ぴちゃ、と小さくだが確実に鳴っていると自覚したくはない水音が確かに己の胸の上から与えられ、背筋から下半身へと走る熱い刺激に力の抜けた口からは、とうとう熱い吐息と共に音を奏でる。
男でありながら艶のある聴いていて不快よりも快感を呼ぶ声色にランサーは喜びで暴れ出しそうだった。
普段ならば冷水を頭からかけられたように冷静になる筈の男相手でも口元に含んだ熱が上がり、快感を確かに拾って固くなった乳首に背徳感や征服感は満たされ、同時に煽られる。
「そうそう、そうやって素直に喜んでおけよ。俺もやる気が出る」
「んはっ!き、みは
…
ひっ!
…
男は好きでは無いと!ぁつ!」
「今もその言葉に偽りはねぇよ。だが不思議だな
……
アンタを見てるとどんどん煽られる」
静かに諦めたように、しかし何処か懐かしむ優しさを垣間見せた男の口から出る出会ったばかりでありながら容赦の無い腹が煮えくり返るような言葉も今はランサーからすれば興奮材料でしかない。
言葉を交えているこの瞬間も胸の飾りと赤く染まった耳を少し虐めただけなのに呼吸を乱し、耐える姿は独占欲が溢れて止まらないランサーからすれば絶品と言える代物だ。
オマケに強がってはいるが未だ脱いでいなかったスーツのズボンは少し視線を寄越すだけで解放を今か今かと待ちわびたように布を押し上げ、テントを作り、水分も含んでいる。
「あぁ、そんなに睨んで来ると思ったら辛そうだな」
「や、やめ、触るな!はひっ!」
「触って欲しいの間違いだろ?
……
俺も確かめてぇしな」
「え?今、なんと
……
」
「何でもねぇよ、こっちに集中しな」
「はっぁぁぁあ!!!!!」
少し手のひらで張っているテントを押し返しただけで、すっかり力の抜けた口からは素直に悲痛だが歓喜にも似た叫びを惜しげもなくランサーの前で披露して見せる。
そんな数時間前までの清涼感すらあったアーチャーの整った姿は無く、己の色付いた褐色の肌に閉じる暇がないばかりに零れてしまっている固唾で自らの肌を汚す。
すっかりランサーの前に寝転がる生贄と化したアーチャーの快感に身を震わせる隙にランサーは手早くズボンのチャックを下ろすと身を縮めた事で浮いた下半身の動きを見逃す事なく、ズボンから足を抜く。
「ふっ、良い反応だな
……
本当に初めてか?」
「ふ、ざけるな、当たり、前だっ!ひぁ」
「ははっ、本当にそうみてぇだな、綺麗なもんだ」
「うるさ、い!早く、ぉわ、らせてくれ
……
っ!」
語尾の方はあまりに小さな声であったが普通に対峙している訳ではないランサーにはバッチリ泣きそうな声は聞こえていた。
目元は携帯を握りしめている事も忘れているかのように両手で隠してしまっていたアーチャーは、自分に対して何処か困ったような泣き出してしまいそうな滅多に打ちのめされないランサーの表情があったのだが、気にかける余裕はない。
すぐにランサーは気持ちを切り替えると整理の出来ていない心境のままアーチャー自身へと手を伸ばして掴んだままだった手を動かし始めた。
テントを張っている程に張り詰めていただけにアーチャーの性器はすぐに激しい水音を立てる。
あ、ひ、ぅ、と短く声を上げながら目元を隠すアーチャーの様は泣いているようにも喘いでいるようにも見えたが、掻き乱されたランサーの心境では前者に見えてしまったのだ。
それが何処か自分でなくとも良いように感じられたランサーは焦燥感を消化できぬまま、アーチャーに当たるように言葉を気付けばかけつつ、アーチャーの性器の根元を自分のネックレスを外すとグルグル巻きにして緩くせき止めた。
「なぁ、俺にアンタの身体をくれるんだろ?ならアンタだけじゃなく俺を気持ち良くさせてくれよ」
「ひ、ぁ、な、にを!」
「こうするからさ、アンタ動けよ」
「んな!?」
張り詰めきっている性器をジーンズとパンツを下ろして取り出してきたかと思うとアーチャーの性器に重ねたランサーにアーチャーは生娘よろしく驚きっぱなしの様子にランサーは、気分が上がるのを感じる。
どうした事なのか、アーチャーの反応は男でありながら同じ男である筈のランサーの情欲を上手く駆り立てて仕方がない。
その理由をなんとなく察していながら目を向けないランサーはアーチャーの耳元へ口元を寄せて、腕を使わずに動くよう、命令を下す。
ゴクリと喉を動かすアーチャーの首筋にカブりつきたい思いを堪え、アーチャーの口から震えた声でだが確実に分かったと言わせたランサーは自ら性器を更に押しつけるように近付ける。
それを確認したアーチャーは、困っているが高揚した表情でゆったりと腰を動かし始めた。
だが分かりきっていたとはいえ、ランサーにはアーチャーの腰の動きはあまりにも物足りない。
「っふ、は、そんなの、ん、足りねぇ
……
」
「そん、な事、を言われても、はぁあっ!」
「なら俺にどうして欲しいか、は、ぁ、言わねぇなら、アンタは、このままってだけだっ!」
それとも大事そうに持ってるこの携帯の連絡先にでも電話を繋いでやろうか?と耳元で吐息をかかるのも気にせず、自分の中で一番低い声を心がけて語りかけた。
するとビクリと身体を震わせて、一瞬だけ動きを止めたアーチャーを見たのがいけなかった。
ランサーはアーチャーが泣きそうな顔をしていると思ったのだが、両腕から出ていた顔は快感に汚れていながらも強い意志を持ってランサーを怒りから睨みつける輝く鉄のような瞳と表情だった。
挑戦的と言えるような表情を向けられて支配欲を刺激されないと言う男は玉無しだろうと後々、風呂場でランサーは拗ねたのように思うのだが。
そんな余談は置いておいて、アーチャーのその表情を見たランサーの薄れていた理性にヒビが入った。
「そんな顔はずりぃ
……
」
「何がっぁあ!?ひ、ぁ、あ、やめ、はげしっ、や、出した、ぃい!う、うご、動かす、なぁあ!!!っ!」
突然、追い詰めるように性器を半ば乱暴とも言える程に激しく揺さぶられては直接的であまりに刺激が強すぎてアーチャーと言えど、緩くなった口では堪える事もままならない。
あまつさえ普段の彼を知る者からすれば驚愕し、数時間前の落ち着いた様子しか知らぬランサーでさえも今のアーチャーは自分がココまで快感から変えているのだと言う背徳感や支配欲を見事に満たす反応であった。
すると人間と言うのは現金なもので、先程までの焦りも相手の可愛らしい反応で満たされさえすれば優しい声や言葉をかけられる。
「ならちゃんと言えるな?」
「ひぅ!やめ、言う!言うから!止めぇっ、ぁ、はあ!」
「そうかよ、なら待ってやるから言ってみな」
例え抵抗する手段や技術があろうと、アーチャーはランサーに今日の事実を誰かに語ってしまえば終わりだ。
特に拘束されてはいなかったが精神的には雁字搦めだ。
泣きはしていないとはいえ、アーチャーからすれば今すぐに終わらせてしまいたいたかった。
「っはぁ
……
はぁ
…………
はっ、イかせて、欲しぃ
……
った、のむ、頼む、から!」
「ん?よく聞こえねぇ」
「なっ、貴様!?っぁあ、ひぅ!」
「あぁ、名前でも呼んでくれたら聞こえそうだわ」
こつん、と硬い額が当たる感覚と音と言う今の雰囲気には似つかわしくない。
しかしランサーの言葉や何よりも眉を下げてアーチャーを見つめる表情は、何処か恋人同士のような甘さや甘えを彷彿とさせる。
そんな今までの嵐のような愛撫や行為とのギャップや雲泥の差のような優しげな手つきでアーチャーの頬を撫ぜる手には、アーチャーでなくとも動揺して当然であろう。
「え?な、な、まえ?」
「あぁ、クーって名前、読んでくれるよな?」
「く、くー?っんん!?」
「はぁ、えみや、って言うんだよな?アンタ
……
ん、くっ!」
短く、苦しげに息を吐く唇の隙間から覗き込むように、勿体ぶってチラリとしか見えない舌を見て、気付けばランサーは吸い出すように己の唇を重ねて舌を差し込むと舐めていた。
アーチャーはアーチャーで、己の舌の表面を這うランサーの舌の熱さに溶けてしまうような錯覚を覚える。
否、その熱はランサーに名を呼ばれて再びアーチャー自身からも発せられた為に汗が流れる程に火照っているのだが。
その事実はランサーもアーチャーも気付く事はなく、ましてや気付く暇もない。
「ふっんぁ、んんふぁ、っ!」
「んふっ
……
くっ!」
ただただ驚愕していたアーチャーは抗う事を放棄し、ランサーは己の押さえ込んでいた欲望の戒めを解いて互いに、相手の熱い舌、惚けた吐息、濡れた瞳をランサーは楽しみ、アーチャーは虜になったように逃げていた腕はランサーの首元へと縋りついていた。
しかし何事も始まりがあれば終わりは来るもので。
何時に達したか分からなず、ついさっきなようにも思えるし、あまりに身体だけでなく口が怠いので長く口付けていたようにも思える空間から一瞬だけ視線を交わらせてからアーチャーもランサーもどちらとも無く、身体を離した。
「は、は、ん、はぁ
……
」
「ん
……
ごっそさん。アンタのお陰で結構、良い思いが出来たぜ」
「
……
これも報酬の為だ。だから私の話した事は他言無用だぞ」
「分かってるさ。まぁ、口を滑らせそうになったらアンタにまたお願いするだろうしな」
幾分は熱が落ち着いたとはいえ余韻を残すアーチャーの火照る頬と蕩けた瞳に胸が熱くなるのを感じながらもアーチャーの髪を照らし始めている陽の光に、ランサーは完全にぬるくなってしまったお茶と共に己の冷めそうに無い熱を飲み下す。
露ほども感じ取っていないのかランサーに暗に告げられた次もあるぞ、と言われた行為に顔を暗くさせている。
そんな表情にそれなりに男としてのプライドがあるランサーとしては誠に不満であったし、同性愛者にしては喜びとはかけ離れた反応であった。
何故ならば。
アーチャーからしてみれば自覚した時点で最悪の結果となっていたのだから正しい反応とも言える。
まさか三十路手前にもなろうとするのに成人式が最近の出来事とも言える若者と性の匂いのする行為した事だけでなく、その相手に己の秘密を抱えられ、ましてや同じ男など。
恋をしたと言うには余りにも不出来で不誠実で不純に感じられたのだから。
しかしランサーとて、そんなアーチャーの絶望の真っ只中のような心情など知る筈も無いので、止めとも言える言葉を零してみせた。
「ま、これからも宜しく頼むぜ。おじ様?」
「ちっ!サッサと出て行け、青二才!」
まさに売り言葉に買い言葉。
瞳の奥が熱くなる感覚を押し殺し、犯罪者であろうと怯む睨み顔をものともしないで見目麗しい容姿を持った青年は行為で下りた男の灰色の髪をかき上げて、額に口付けると風呂場へと踵を返した。
to be continued?
ーーあとがきーー
ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!(落ち着け)
前回上げた、にゃーちゃーのアンケートを参考に頑張ってみたのですが難しい!!!!!
あとR18扱いで良いのか本当に分かりません
……
。
とりあえず濡れ場と言うことで注意扱いをしてみましたが
……
これはちょっとまだまだですかね?(´・ω・`)
ですが次の話ではガッツリしたのを書きたいし、今回は馴れ初めと言うか出会い編と言うことでストーリー面が強くなったように思います。
どれ位の量を書くか分かりませんが大まかな話は三分割ほどするつもりですし、もっと年齢差の描写もハッキリさせて行きたいと色々試行錯誤したいと思うので
良ければ、また読んだりご感想を頂けると幸いです!🙏
それではここまで読んで下さり、有難う御座いました!
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