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戌丸アット
2022-05-29 23:52:24
38106文字
Public
Fate
その肌へ口づけを
槍弓
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あまりにも浅ましい、と。
ただただアーチャーの心の中にはランサーからされた辱めよりも変わってしまった己の身体への失望が大きかった。
脳内で必死に羞恥から声を抑えようとすればする程、快感が背筋を通って吐息と喘ぎとなって出ていくのを止められない。
無遠慮だが何処か愛おしさのある指の熱と快感を感じて締め付けてしまう有様だ 。
「ぐ、ぁ、はっ、んんん!」
「ちゅ、んっもうそろそろ良いよな?」
「ひぅぁ
…
っ
…
へ?」
「アーチャー、しっかり呼吸しろよ」
「ぁぐっっ!?」
必死に口付けをして紅潮したランサーがあまりにも可愛らしいと惚けていたのがいけなかったのだろうか?
それともランサーが恋しくて堪らないのがいけなかったのか。
後ろから突然、生まれたあらぬ所からの慣れない痛みと混乱からグルグルと奥に潜めていた苦味にも似た悩みが頭を占めてアーチャーは錯乱からポロリ、ポロリと涙を流しながらも手懐けられ火照った身体は突き入れられたランサーの性器をめいいっぱい広げて包み込む。
するとランサーは凶悪的な自身とは違い、捨てられた子犬のようにアーチャーの様子に慌てていた。
「っぁ、アーチャー!?い、痛かったか?」
「ん、ぁ!ちがっ!う、動かな、ひで、く、れぇ!」
「ふぅ、わりぃ
……
アンタも気持ち良くするって言ったのに、俺」
「は、ぁ、気にす、るな」
最後に涙を流したのは、いつだったろうか?
未だ熱は突き入れられた事でグルグルと凶暴的に下腹に居座っていたが、首筋から背中にかけて慰めるかのように降り注ぐランサーからの口付けでアーチャーは再び火照るのを自覚しながらも混乱していた。
何故なら幾ら色恋沙汰に鈍いと自覚している己でも感じる程にランサーの行為は恋人に送る優しさのように、慈愛と思いやりに満ちていた。
「ぁ、んんっ!?ら、ランサー?な、何を!」
「ん、少しでもアンタに気持ち良くなって貰わねぇと俺が自分を許せねぇ
……
」
「いぁ、か、まうなっ!も、早くっはあ!お、終わらせ
……
っぁあ!?」
終わらせて欲しいと口にする前にカプリと甘噛みが突然、後ろから降ってくる。
止めろ、頼む、もう限界だと言った気はするが、いずれも言葉になったかも怪しい程に降ってくる強さの違う甘噛みに喘ぐしかない。
何より挿入されているアーチャーは、すぐに気付いたが甘噛みと甘噛みの間から蝕むかのように快感が襲ってくる。
ランサーが腰を動き始めているのだ。
そしてアーチャーが脳内を快感で埋めつくしてしまった頃には部屋中に響く程の水音が出ており、最早アーチャーに普段の厳格な様子など無く、あるのは女性と分からぬ程に嬌声を上げる喉と艶のある蕩けきった顔である。
「ひ、ぁあ!や、ぁ!ぐっんぁ!」
「はっん、あーちゃ、顔っ!」
「あ、らんひゃっ!?や、みな、い、ぁああぁあ!!!!!」
ぐるり、と非情な程の乱暴さでアーチャーは仰向けにされると抜けてしまったせいで何度、出されたか分からぬ為にゴムから溢れ出た精液を秘穴から零しつつ再びランサーの性器で蓋をされて頭を振る。
頭を振った所で快感はアーチャーの身体中を駆け巡り、ランサーを恋しげに締め付けて逆効果なのだがアーチャーには、そんな事は関係ない。
溶けてしまった頭で嫌がるのは情けなく声を上げる己の顔を見られたくなかったのだ。
今更だと思われようとも今の状態でアーチャーはランサーの顔を見れば何を口走ってしまうか分からなくて嫌だった。
だがアーチャーの気宇よりも先にランサーの口から、しみじみと告げられる。
「あぁ、好きだ
……
」
「ぅ、ぁ?ら、んさー?」
「好きだ、好き、やっぱり
……
すげぇ可愛いな、アンタ」
「な、に?っ!!?ぁ、や、だめっぁ、ひ、ぐっぁがっ!?」
痛みは無い。
あるのは混乱だけだ。
彼は今、なんと言った?
好き?誰を誰が?
勿論、ランサーがアーチャーをだろう。
だがアーチャーは己の耳を疑った。
熱に浮かされたのだ。
このように無様を晒す男にランサーが好意を寄せる筈はないと。
しかしアーチャーの願いにも近い予想は外れているとばかりに苦悶混じりの嬌声を出すアーチャーの耳元で熱に浮かされ、掠れた熱の篭った声は止まらない。
「なぁ、アーチャー、はっ、どうしたら、俺のモノに、なる?」
「ぁひ、な、にをっ!?ぁあ!!!」
「好きだ、んっ、俺、アンタがどうしようもなくっ!」
「ぁ、だめっ!ら、っさぁあ!」
「俺にアンタの全てをくれてやる、だから」
「っぁはぁああ!ひ、がぁっ!らんさぁっ!」
アンタの全てを俺にくれよ。
何処か懇願している、とアーチャーは思った。
嫌と言う程に最奥に叩きつけられる熱い情欲に眩暈を覚えるが、それでもランサーの首に縋り付くようにして意識が離れようとするのを舌を噛んで耐える。
度を超えた快感と痛みにガチガチと歯が鳴るが気にせずにアーチャーはランサーの耳元でポツリと呟くと満足そうにして意識を手放した。
これが夢でも、その場の戯言でも構わない。
もう良いのだとアーチャーはドロドロに精液に塗れていたが胸中はスッキリとしていた。
故に、すっかりアーチャーは幸福感から、すっかり忘れていた。
明日も仕事がある上に調査が今居るホテル周辺である事を。
そして義務として渡されて所持している警官用の携帯にはGPSが付けられている事を。
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