森野 霞
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変わらない8月と君がいる9月_メインストーリー_9月

公式Twitterアカウントで画像で投稿しているメインストーリーを文章の形でまとめ直しております(複数画像やツイートに分かれていて見返しにくい部分もあるため)。
日付でページを分けています。こちらは9月更新分です。ストーリーをまとめて見返したい際などにどうぞ。
※多少修正や変更、増減している部分もあります。内容に大きな違いはありません。


■8月28日(日) 曇り


ずっと、ずっと考えていた。

自分が何を望んでいるのか。そして自分が――死ぬ理由は何なのか。アオバくんに――いや、蒼葉くんと橙明くんに、事実を告げられた日から、配信もせずに塞ぎ込んで、布団に包まっていた。

「(そんなの分かんないよ。私にはこの記憶しかないもの)」

ずっと一緒に活動していた仲間である二人からそう告げられて、それでも、そんなにすぐ結論は出なかった。
自分が死ぬという事実でさえ――受け入れることは出来なかった。そんなこと、考えたこともなかった。

「(でも、今私が死ぬ気がないのが本当に蒼葉くんのおかげなんだとしたら……。それは、そんなの、どうしたらいいの?)」

私が死ぬ未来を変えるために、蒼葉くんが死んでしまうなんて、そんなの許せるはずがなかった。私のせいで蒼葉くんが死んだなんて……もう、訳が分からなくて、頭の中が後悔で埋め尽くされて、ぐちゃぐちゃになる。

布団の中で自分を抱き締めて、硬く目を閉じる。
このまま何も考えずに眠ってしまえたら、どれだけ楽になれるだろう。

*

もうすっかり空が暗くなる頃、目が覚めた。
ふっと目を開けると、見慣れた部屋が視界に入る。枕元に置いていたスマホを半分無意識に手に取ると、チカチカと通知ランプが点滅しているのが見える。

……、?」

まだ働かない頭で、ゆっくりとスマホのロックを解除し、画面を覗く。SNSの通知などもたくさん流れていたが――橙明くんから不在着信が1件来ていたらしい。

「とあくん…………、」

呟いた声は虚空に飲まれて消えていった。
……橙明くんの名前を見ていると、色々なことを思い出す。蒼葉くんを救おうと決めた日のこと、一緒に水族館に行った日のこと、たくさん相談をしたこと、――私が死ぬと知った日のこと、そして自分の悩みのこと。
色々な思い出が浮かんでは消える。楽しかったことも、悲しかったことも。苦しかったことも嬉しかったことも、全部、大切な思い出だった。

「(私が……、私の、望みは……)」

そんな大切な思い出を、これからも出来るはずの思い出を、自分のせいで壊す訳にはいかなかった。私はスマホを手に取ると橙明くんにリダイアルする。橙明くんは意外にもすぐに応答してくれた。

『心晴ちゃん?ごめんね、突然電話して――

「ううん、ありがとう、橙明くん。あのね聞いてほしいの。私の本当の気持ち」

……え?』

橙明くんの声を遮る勢いで私は話す。
空では眩しいくらいの星が瞬いていた。