森野 霞
Public
 

変わらない8月と君がいる9月_メインストーリー_9月

公式Twitterアカウントで画像で投稿しているメインストーリーを文章の形でまとめ直しております(複数画像やツイートに分かれていて見返しにくい部分もあるため)。
日付でページを分けています。こちらは9月更新分です。ストーリーをまとめて見返したい際などにどうぞ。
※多少修正や変更、増減している部分もあります。内容に大きな違いはありません。


■8月21日(日) 晴れ


[トアside]

気合いを入れるように、スッと空気を吸い込むと、俺は通話ボタンをタップする。相手は蒼葉くんだった。
数コールで蒼葉くんが応答し、『もしもし?』と電話口の向こうでいつもと変わらない調子の声が聞こえた。

「蒼葉くん、今日会えるかな?」

『?トア?どうしたんだ?別にいいけど

通話口で蒼葉くんが意外そうな声をあげてそう答える。別に俺から連絡することは珍しいことではない。二人で話すこともそれなりに多いし――俺と蒼葉くんとでないと話せないこともある。彼が意外そうにしていたのはきっと、別に今話すべき内容がなかったからかもしれない。

「うんごめんね、急に。ただどうしても話しておきたいことがあって」
『別に気にしてねぇよ、今更。ちょっと用事あるけどその後でもいいか?15時くらいには終わると思う』
「あぁ、いつでも大丈夫だよ。ありがとう。……どっか、待ち合わせしよ、いつものカフェとか」
……直接じゃないとダメなのか?分かった、15時にカフェに行くわ』

蒼葉くんは真剣味を帯びた声でそう言い、俺たちは2、3言交わして通話を切った。

……蒼葉くんが自殺してしまうまで、時間は少ない。今度こそ俺が二人を救うんだ。

*

カラン、とドアベルの鳴る音が響く。




……蒼葉くんのおかげで、心晴ちゃんは確かに生きてるよ」

……!そう、か。でも俺にはその記憶はない

「うん……、俺たち――いや、俺はまた8月を繰り返してるんだ。でも蒼葉くんとの時とは違う。俺たちは8月1日からやり直してる。今度は蒼葉くんを、救うために」

……、そうだったのか……何が原因か分かんねぇけどループは止められないんだな」

……ループを抜けた先に、蒼葉くんがいないなんて俺は嫌だから。前回の蒼葉くんの自殺でループが明けなくて良かったと思ってるよ?」

「ふは、何言ってんだよ、橙明。お前にとっても辛いだろ、繰り返しの世界なんて。……橙明の努力がなかったことになるの、俺、やだよ」

……蒼葉くんはこんな時でも優しいね。だからさ、俺、今度はちゃんと二人を助けて未来に行きたいよ。………でも蒼葉くんはまた自殺するつもりなんだろ?」

………まぁ。だって前回の世界で心晴は死ななかったろ?」

「確かにそれはそう、だけど。でも心晴ちゃんはきっと蒼葉くんを助けに行くよ。」